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2013年06月02日21:56

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時代の中で(93) 買春・奴隷・国家の起源について

 エンゲルスの「家族・私有財産・国家の起源」みたいになったが、先だっての「テレビタックル」での話題である。見てしまったので、いくつか論点を整理しておきたい。

 第1は、アメリカ人の経営コンサルタントの主張による「人身売買は奴隷であり、親に売られたという慰安婦は姓奴隷である」という定義である。コンサルタント氏は自信たっぷりで、私も初めて聞く奴隷の定義に言葉を失ってしまった。クリントン国務長官が慰安婦を姓奴隷と変えたのはこの定義によっていたに違いない。
 しかし、感心ばかりもしていられない。この定義にはいささか違和感がある。アメリカの黒人奴隷の場合、もちろん売買の対象だった。しかし、そればかりでなく、自身を買い戻すという権利があったのだろうか? つまり、代金を持っていけば質草を取り戻せるわけだが、黒人奴隷の場合は質ではなく、所有されていたはずである。だから、売ろうと、解放しようと、所有者の自由だった。
 遊郭に売られた女性の場合は、借金を払えば自由になったと思う。つまり、遊女は質草と同じであり、質屋の預かりもの(占有のイメージか)ではあっても所有されているわけではない。この場合の質屋は転売するのでなく、客を取らせることで貸金と利子をとって儲けるわけである。
 しかし、定義を決めるのは力の強い方であろう。クリントン長官にアメリカ人経営コンサルタントが・・・。

 第2は、やくみつるが言うように、国家とは為政者が好きにするもので、守ったり従う必要のないものなのかどうかである。
 リンカーン大統領の「of the people, by the people, for the people 」が民主主義国家の枠組みだと思うのだが、やくみつるの言う為政者とは、この中のどれなのだろう。第1項は、民主主義国家の政治の所有者は人民であるという意味である。第2項は、政治の実務は人民自身が行うとする。実際は、公務員テクノクラートが執行するのだが、人民の代表たる議員や大臣が監督しているのである。つまり、馬鹿殿様では悪家老のテクノクラートに乗っ取られると言うのである。第3項は政治の利益は人民自身が受けるということである。
 通常の理解では、為政者とは首相や大臣であろうが、好き勝手にできないように選挙をやっているし、新聞社は始終世論調査をやっている。政治家は、調査の結果に一喜一憂しないと言うが、実際は神経質に反応するのだが。
 やくみつるのいうような為政者のいる国は独裁国家であって、たとえば中国などもそうなのだが、やくみつるは中国の属国になった方がましだそうである。

 第3は、やはりやくみつるのいう、戦いたい人が勝手にやればよい、自分はさっさと降服するという言葉である。アメリカには徴兵忌避制度というものがあるらしい。クエイカー教徒など非戦思想の信者が、徴兵の代わりに何らかの奉仕活動を選べるというものである。「真昼の決闘」では保安官の妻になった女性がクエイカー教徒だった。
 やくみつるの言うような降服の自由を認めている国はないにちがいない。やくみつるのために将来をシュミレーションしておくと、中国に降服した彼は日系中国人となって、漫画家として中国共産党の宣伝活動に活躍することになるが、アメリカが中国と対決姿勢を見せる。ここでも、戦わない、勝つ方に降服すると宣言した彼は、無事、日系アメリカ人になれるのだろうか。いや、多分、中国共産党の手で消されてしまうだろう。
 やくみつるのようなことが言えるのは、日本という国家の中だけであろう。

 第4に、国家の意味だが、中近東やアフリカ諸国など、民族や部族があっても構成員を平等に扱う国家といえるかどうか、おおいに疑問である。どれかの部族が権力を握ると他の部族を弾圧して、国家を私物化する。今、シリアではアサド大統領を倒そうとしているが、そして、同じようなことは、いろいろあったが、熱心に反体制派の間での権力争いをやっているようである。
 国家を作るのは容易なことではないと言わねばならない。しかし、国家嫌いの無政府主義者が多いようである。


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