ローリングズ「ハリー・ポッター」の面白さは、まず、多彩なキャラクターや小道具たちにあるのでないだろうか。パリーの保護者で巨人族と人間の混血児ハグリッド、そのペットの竜、誇り高いケンタウロス、暴れる木、小人やゴブリンたち。おかしな菓子や動く人物絵画、ダイナゴン横丁などなど、これでもかとでてくる。ほかのファンタジーより多いのでないかと思うが、読んでいないのもたくさんあるのでさだかではない。
物語は、全寮制のパブリックスクールがモデルになっている、ホブワーツ魔法学校の生活と競技大会などの行事を軸にして進行する。寮生たちはむろん後にしてきた両親を懐かしむのだが、伯父一家に虐待されていたハリーにはそれがない。
そこに活躍するのは個性的な先生たちである。その中には、魔王のヴォルデモート卿に取りつかれたものもいる。誰がハリーを狙っているのか、それが毎回はらはらするところだろう。
ハリーと優等生ハーマイオニー、できはわるいが友情に厚いロンの3人組は、さながら少年探偵団で、ヴォルデモートの手先を追いつめる。
アンドリュー・ブレイク「ハリー・ポッターの呪い」といういささか皮肉な本が、いろいろなところからネタを集めて合成した、と言っている。その線でいけば、これはイギリスのアーサー王物語に出現する魔法使いマーリンの流れをくむ魔法使いたちの内部抗争劇で、その下でギリシャ・ローマ神話とゲルマン神話のキャラクターが活躍する物語である。
長大な物語であるが、当然キリスト教関連はキャラクターも小道具も一切出現しないと思う。
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