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2010年12月24日10:01

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小説の中の謎(50)  美人の三要素の原産地

 グリム童話集の「白雪姫」は、雪のように白く、血のように唇が赤く、黒檀のように髪が黒いとある。グリム兄弟は、ドイツ民衆の伝えてきたメルヘンを採集したという触れ込みであった。したがって、これはドイツ民衆の美人三要素のはずであった。
 ところが、ジョン・エリス「一つ余計なおとぎ話 グリム童話の解体」新曜社1993 によれば、カトリックとプロテスタント間の宗教戦争をのがれてだと思うが、フランスから移民してきた使用人や友人家族からの聞き取りをもとに作ったものだという。だとすれば、これはフランス民衆の伝承になる。
 フランスはユリウス・カエサルのガリア戦記にあるように、ローマの植民地になった。したがって、フランス語はラテン語族であり、人種的にも文化的にもラテン系との混血のはずである。髪が黒いことが美人の条件になるのは、多民族国家ローマ帝国の影響なのだった。
 それに対して、ドイツにいたゲルマン諸族は、紀元後すぐの頃に、おびきよせたローマの大軍を北ドイツのトイトブルクの森で包囲せん滅し、ローマの占領を受けなかったのであるから、金髪のゲルマン系が主流であろう。
 つまり、白雪姫(snow white)はドイツ美人ではなく、混血美人であったことになる。
 むろん、どちらでもよいのだが、グリム兄弟がいい格好をしたから、無用の混乱を招いたのである。
 
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