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2024年04月25日20:07

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「エロイカより愛をこめてに愛をこめて!!」を読む

ミステリーボニータに2021年7月号から23年8月号まで掲載された
「エロイカより愛をこめて」のトリビュート作品を集めた「公式アンソロジー」である。
連載開始が1976年(もはや半世紀近い)なので、
寄稿した顔ぶれも、大和和紀、木原敏江、萩尾望都など24人と何とも豪華だ。

読者としての熱い思いをつづったエッセイもあるが、
おおむね、原作に描かれなかったエピソードや後日譚/前日譚を描いてみたり、
名前も行動もよく似た人物が舞台を変えて活躍したりする二次創作が多い。

そんなわけで、クラウスは、
奈倒物産の鉄野クラウス(途中略)エーベルバッハ・大五郎だったり(酒井美羽)、
パタリロがバンコラン少佐にかけた電話が混線して別の少佐につながったり(魔夜峰央)、
三蔵法師になったり(青木朋)、男子校の風紀委員長になったり(遠野由来子)、
エロイカ保育園に入園してきた鉄乃喰介だったり(はるな檸檬)、
ゴッホの絵の中に入ってしまったり(萩尾望都)、
なぜか顔にモザイクが入っていたり(紫堂恭子)、赤ずきんになったり(浜田翔子)、
絆可良高校の応援団長だったり(山村東)、核兵器を憂うる子どもだったり(永野のりこ)、
鬼退治に向かう源頼光猪川(猪はエーベルバッハ市のシンボル)だったりする(木原敏江)。

ただ、初回の市東亮子がファン目線で「エロイカ」の魅力を4ページできっちり解説し、
2作目の酒井美羽が16ページの完コピの二次創作を描いてしまったので、
3作目以降の寄稿者が明らかに困っている感がある
というか、中山星香は、参考に送ってもらった市東作品が、
「完璧すぎて足す要素がない」と嘆いている(コマのある)エッセイを寄せている。

そんなわけで、愛情があるのはものすごく伝わってくるのだが、
原作の各キャラの立ち具合が強烈なので、
カッコよさもやらかすこともギャグも口調も似た作品が手を変え品を変え登場するため、いささか読み疲れしたキライはあった。
なんというか、漫才イベントで全組が「こんな先生いたよな」から始まる
「学校あるある」ネタだったような疲れ方だ。

なので、大和和紀が文章の合間に絵が置かれている絵物語風で、
ほぼ同期の立場から秘話やら戦友としての長年の思いを書かれているのを見ると、
少々ホッとするようなところもある。(色変わりだな。)

とはいえ、そんな二次創作が並ぶのも、
「エロイカより愛をこめて」の世界がモブに至るまで役割と性格がはっきりしており、
どうにも揺るぎようのない「お約束」を構築しているがゆえなのだろう。

巻末には、特別寄稿として2015年にプリンセスゴールドに掲載された
青池保子「いきなり日本昔ばなし」が収録されている。
なんと、クラウスが浦島太郎になるセルフパロディだった。やれやれ。
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