大ヒット作『あゝ野麦峠』の続編、『あゝ野麦峠 新緑篇』をWOWOWで見ました。
2010年代に入ってやっとソフト化された前作とは違い、こちらは未ソフト化作品。
国立映画アーカイブの貴重なマスターによる放送でした。
1982(昭和57)年、東宝映画作品。ビスタサイズ、2時間16分です。
【物語】
大正末期、岡谷の製糸工場。劣悪な環境下での過酷な労働は、なおも女工たちを苦しめていた。しかし全国各地では労働争議が相次ぎ、女工たちの工場でも組合結成の機運が高まっていく。
…監督は引き続き”赤いセシル・B・デミル”山本薩夫。前作との物語上の関連性はなく、舞台は大正末期から昭和初期へと変わり、キャストも入れ替わっています。
機械が導入されても女工たちの作業は過酷さを増し、前作にも増して悲惨な労働実態が描かれます。映画の後半は女工たちの組合運動を描いており、前作からだいぶ毛色が変わりましたが、こちらの方が山本監督のカラーがより色濃く出ているように見えます。
中央政財界とパイプがあり、諸悪の根源のような描かれ方をする工場長役の神山繫と対照的に、時代から取り残されたような(でも女工たちには信頼されている)小さな工場の経営者を演じる下条正巳が、「男はつらいよ」の3代目おいちゃんそのものなのが微笑ましい。
『女王蜂』『病院坂』と比べて格段に芝居がうまくなった中井貴恵や、のちに政治家となる三原じゅん子、若くて驚く風間杜夫などが出演。男として情けない役の極致のような労働監督官をなべおさみが憎々しく演じておりました。
国立映画アーカイブからのお蔵出しマスターのためか、映像はとんでもなく綺麗。
「新緑篇」のサブタイトルにふさわしい、緑に覆われた野麦峠のラストカットに希望を感じます。
★★★。
ログインしてコメントを確認・投稿する