映画化・映像化されることの多い筒井康隆の原作小説を映画化した『敵』を見て来ました。
フランツ・カフカ風とも言えそうな不条理スリラーで、筒井康隆・吉田大八監督・主演長塚京三の個性がぶつかり合った良作でした。
好みは分かれそうですが、自分は好きです。
【物語】
フランス文学のもと大学教授で、今は一人で暮らしている渡辺儀助(長塚京三)。
贅沢はせず、規則正しい生活を送り、エッセイの原稿料や講演料を収入としていたが、いつかそれが尽きたときに人生を終えようと考えていた。
ある時、「敵について」というメールが届く。気にも留めない儀助であったが、それを境に、異常が日常を侵食し始める。
…全編モノクロで撮影された、筒井康隆の映画化作品群の中でも特異な印象を受ける作品です。
敵の正体は明確ではなく、ただ「北からやってくる」「難民が増えている」「TVや新聞では報道されていない」といった断片的なものだけ。漠然とした不安がじわじわと日常を侵し、主人公を追い詰めていくのが怖いのだけれど、一方ではどこか達観した表情を見せるところに人間の二面性の矛盾を感じます。
知的で穏やかで、でもしっかり欲望を秘めている元大学教授という役柄に、長塚京三はぴったり。河合優実や瀧内公美のような、旬で怪しい女優を揃えているのも良いアクセントでした。
★★★★。
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