源氏物語は「雨夜の評定」から始まる。宿直当番の若い貴族たちが恋の相手となる女性のタイプを品定めをしている。そこで身分の低い女にもいいのがいるとの意見があり、光君も興味を示す。
それもありかと、街を牛車で散策している時に夕顔に出合う。ところが彼女は身分は高いが嫉妬深い六条御息所の生き霊に殺されてしまった。
ということで、品定めに続いて怖い女、はかない女、逃げてしまう女などいろいろなタイプの女性たちが紹介されていく。
藤壺、朧月、明石の君、紫の上など。
つまり、光源氏は主人公のように見えるが、事実上の役割は舞台回しなのである。
紫式部のパトロンは藤原道長だったわけで、彼の経験も聞いたのだろうが主目的は若い貴族のための女性指南だったに違いない。
源氏(つまり皇族)の友人に藤原家の藤(頭)の中将がいるのだが、必ずしもモテるわけではない。表面的には皇族の源氏に光が当たって、パトロンの道長に失礼ではないかとの意見を見たことがあるが、更に大河ドラマでは光源氏のモデルは道長だとされているようだが、どっちにしても大事なのは女性の描き方なのである。
また、源氏や頭の中将たちの宮邸での政治が描かれていないわけだが、紫式部が知らなかったはずはない。(日本書紀を読んでいたわけだし、ひょっとして史記も?)父親が越前の守になって少女時代には越前にいたわけだから。
「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな」
これは越前に一緒にいた友人が訪ねて来てくれたのだが、顔を見せただけで牛車が待ってるからと言ってすぐに帰ってしまったことを詠んでいるとされている。
で、その友人を「夜半の月の君」というのだそうである。
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