安部公房原作、勅使河原宏監督、勝新太郎主演という不条理現代劇『燃えつきた地図』を配信で見ました。DVDが出ていたもののなかなか見る機会がなく、ちょっと見たかった映画です。
1968(昭和43)年、勝プロ=大映作品。シネマスコープ・サイズです。
キネマ旬報ベストテン第8位。
【物語】
ある男が失踪し、その妻(市原悦子)が興信所に調査を依頼する。
興信所から派遣された探偵(勝新太郎)は、男の足取りを追う内に、依頼人の弟(大川修)と出会うが、まもなく弟は死んでしまう。
次に男の部下(渥美清)に接触した探偵だったが、この部下も不可解な最期を遂げる。
やがて探偵は、抜け出すことのできない迷路にはまりこんでいく。
…「座頭市」全盛期をちょっと過ぎた、しかしまだまだ脂の乗っている勝新太郎主演による珍しい現代劇です。安部公房原作・勅使河原監督といえば『おとし穴』『砂の女』『他人の顔』があり、どれもシュールな作品ですが、本作が一番分かりやすい・かつ抜けられない無間地獄のような映画です。
現れる人物が次々に不可思議に消えていく悪夢のような展開、でも失踪者の妻だけがぴたりと探偵に寄り添う不気味さがフランツ・カフカ的で何とも言い難いです。
「寅さん」直前の渥美清も不気味だし、悪魔的微笑をたたえた市原悦子は何を考えているか分からず、ただ勝新太郎演じる探偵だけがまともな人間だったのが、ラストでは……となるのが怖かった。
この映画、フイルム原版が紛失しているとかで、海外公開向けにタイトルを英語字幕化したプリントだけが残っており、かえってそれが作品のシュールさを際立てているようでした。
★★★。
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