ご当地ロケで県内が盛り上がっている映画『バカ塗りの娘』を見て来ました。
先行公開からもう少しで1か月になるのに、客の入りが良く、ロケ効果を感じさせます。
それだけではない鋭さもあり、想像以上に良い映画でした。
【物語】
青森県、弘前市。
”バカ塗り”こと津軽塗の職人を父に持つ美也子(堀田真由)は、スーパーのパートで生計を立てつつ、父(小林薫)の仕事を手伝う日々であった。
ある日、廃校となった小学校のピアノに津軽塗を施すことを思いついた美也子だったが、父は反対する。
…東北に暮らして長いですが、東北の人って、冬の厳しい極寒の気候に象徴されるように頑固なのですね。反面、一度心を通わせた相手には温かく接する土地柄でもあります。
映画の人びとも同様で、頑固な職人役の小林薫はその典型。現実主義的な妻とは分かれていて、子どもたちとも隔たりがあり、ただ伝統を守る寡黙な男です。
主人公の”バカ塗りの娘”=堀田真由は、ふだんはぼーっと暮らしているのに、父の仕事の手伝いとなると眼光に鋭さが宿る。この娘の想いが大仕事を成し遂げることになるのですが、父ともども不器用な性格なのが映画を面白くしています。
決して東北のノスタルジックな面を強調するのでなく、もはや手遅れ感のある過疎や後継者不足といった問題を切り取って見せていて、これが30代前半の若い監督の語り口とは思えぬほどです。
ラスト、バラバラになっていた家族が食卓を囲むシーンが素晴らしく、演者、演出、料理が混然一体となって”場”を作り出す、そのシーンに感心してしまいました。
★★★★。津軽塗のごとく丁寧に造られた良作です。
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