１枚目 継体天皇像 福井市足羽神社 三国港を望む ウィキより
２枚目 戦後 昭和天皇の全国巡幸 浅間山の麓に作られた大日向開拓村 電脳大本営のブログより
（満州開拓団が戦後引き上げてきたときに、受け入れ地として各地に開拓村が作られた）
３枚目 中村岳陵「豊幡雲」 宮中晩さん会（トランプ大統領） ウィキより
世界的に歴史的にめずらしい存在
天皇と側近の藤原氏というコンビで世界最長の王政が今も続いている。
無論、国王には側近の有力貴族が付いているのだが、別の貴族に変わったり、その貴族が国王になったりすることが多い。中国史でも同様である。
500年頃（６世紀の初め）越前・北近江の豪族だった継体（天皇）が大和に侵攻して天皇位に就き、更に筑紫国豪族・磐井を倒し朝鮮との交易権を掌握した。大和朝廷は、瀬戸内海を地盤とした神武天皇系が途絶え、日本海沿岸系に交代したわけである。
645年大化の改新 中大兄皇子（天智天皇）と中臣（藤原）鎌足によって蘇我氏滅亡。 天皇家と藤原氏コンビの支配体制始まる。
更に、中大兄皇子の時、日本・百済連合軍が、白村江の海戦で唐・新羅連合軍に敗れ、百済王家は日本に亡命した。
大伴家持「海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ かへり見はせじ」
794年平安時代 桓武天皇、征夷大将軍・坂上田村麻呂が東北地方平定。桓武天皇の母は日本に亡命した百済王家の王女。
壬申の乱で天智天皇の王子を破って弟の天武天皇が皇位を継いだ。しかし、天武の男子系が途絶えて僧の道鏡が実質的支配者になった時に、貴族たちが天智系の皇子を天皇に推戴して桓武天皇の父が皇位に就くことができた。
つまり、天皇家の「万世一系」は藤原氏をはじめとする貴族たちの総意だったわけである。
天皇家は伊勢神宮の最高位の祭司を兼ねている。
この体制に似ているのが英国の王家で、チャールズ皇子の戴冠式に見られたように、英国王はローマ教会から独立した英国教会の首長を兼ねている（カンタベリー大司教の上）。
藤原氏が天皇位を乗っ取らずに共存する道を選んだのは、大災害や疫病を調伏する責任を天皇に負わせ、自身が負わないためだったに違いない。
また外敵や内乱への対処も行政官である藤原氏には無理なので、ここは天皇一族（つまり源氏と平家）に任せることになった。
藤原氏が戦後憲法まで支配的一族でいられたのは、律令という自身が作った法律を執行する行政官に徹していたからに違いない。彼らは日記と称する業務日誌を付けていて、これが慣習法として機能したわけである。
ただし失敗もあった。菅原道真を追い詰めたことで、憤死した道真の祟りで一族の長が役病にかかったりひどい目ににあっている。
鎌倉幕府は地方の大名を支配する正統性を天皇から受けている。つまり征夷大将軍位である。ただし、北条家（平家）が実権を握ったのだが、他の御家人と同格であり、有力御家人を滅ぼすことで、安定を取り戻そうとしたが、頼朝亡き後の源氏の長者になっていた足利尊氏に討たれることとなった。
というような歴史に学んだ松平（徳川）家康は、形の上で天皇家を立てる一方で、厳しく行動を制限し、270年の徳川の平和を実現した。
ペリー提督の黒船の威圧や砲艦外交がなければもっと長かったかもしれないが。
明治政府の実権を握ったのは徳川幕府の中堅官僚群であり、彼らが文明開化を推進することとなった。徳川幕府は攘夷を唱えた勤皇の志士の活躍による混乱によって倒れたのだが、彼らの明治政府は鎖国を止めて海外との交流を再開した。鎖国に戻ると諦めていた福沢諭吉はこの展開に驚くと共に、もう政府は信用できないと思ったのだろう。
1867年徳川慶喜は第２回パリ万博に自身の弟徳川昭武と渋沢栄一を派遣した。この成果が明治政府の文明開化に生かされ、一方では浮世絵などのジャポニスムが西洋の美術工芸に大きな影響を与えている。この時に同時に徳川慶喜が大政奉還して明治政府が発足した。
内戦がほとんどなない革命レベルの政権交代は、ヨーロッパ諸国を驚かせることとなった。
同じことが太平洋戦争の敗戦で繰り返され、ヨーロッパ諸国は日本の安定性に驚くこととなった。
★まとめ
794年平安京遷都から1156年保元の乱までの350年間の平和（処刑、特に政治犯の処刑がなかった。）
1467年応仁の乱から1600年関ヶ原の戦いまでの約150年間の戦国・動乱の時代以外は、短期間の幕府交代をめぐる内戦以外には大きな混乱はなかった。
戦国時代も天皇が上に存在することで、適当なところで和睦していた。強気の信長も四方を包囲された時には正親町天皇に調停を依頼している。だから天皇制を倒して「最後の調停者」なくしてしまうことはできなかった。
むろん、律令制度が確立して以降、天皇自ら政治を行ったことはない。天皇の役割は藤原氏や幕府による決定に正統性を与えることだった。明治政府でも、戦後でも同様である。昭和天皇が、大正天皇の皇太子時代に英国に留学し、英国王に立憲君主制のあるべき姿を指導されたとのことだが、実質的には日本はずっとそうだったのである。
要するに天皇制は、�仝�ているだけの存在によって日本の政治に安定性を与えたわけである。
「天が見ている」という心の規制があるわけだが、為政者は変なことをすれば天皇に説明できなくなることを恐れた。
その恐れが強くなりすぎて、松の廊下の浅野内匠頭事件が起きてしまったわけだが。
�∧顕修涼羶粥Ｆ辰膨疾駭族僚犬任△襦�今も、正月の歌会始に引き継がれている。
網野善彦は日本は稲作だけの国ではないとして、漁業や職人の存在を強調したが、当然、天皇も稲作だけの王権ではない。旧江戸城皇居の新宮殿は職人仕事の粋を集めたもので、
宮中晩餐会などに使う豊明殿の壁の画「豊幡雲」（つづれ織りで、原画は中村岳陵）は、テレビで見て印象的だった。天智天皇「わたつみの豊旗雲に入日さし、今宵の月夜清ら（あきら）けくこそ」に基づいているのだと思う。
旗雲というのだから横に棚引いているのであろう。
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