mixiユーザー(id:34218852)

2023年02月21日17:38

40 view

時代を越えて(215) 木佐芳男「反日化するドイツの正体」ワック株2021

 著者は1953年生。読売新聞記者を経てフリーランス。

 なぜドイツが日本を批判するのか? 意味が分からなかったのだが。
 大体ドイツ人は論理的で、日本人が感情的だと思っていたが、どういう根拠と論理があったのだろうか。

 1.ドイツでは30万人の南京大虐殺が信じられている。これは、韓国人による慰安婦強制プロパガンダに影響されてのことだが、慰安婦問題の発信元は実は日本である。
左派の南ドイツ新聞は韓国人慰安婦が人間屠殺場に閉じ込められていたと伝えたりして、 ドイツに次々に慰安婦像が建てられている。日本は謝罪すべきなのにしていないと。
 さらに、連邦議会でも日本軍・慰安婦非難が決議されている。ドイツには慰安婦問題をホロコースト化したい勢力が存在する。

 一方、ドイツは1970年ブラント首相によるゲットーでのひざまづいての謝罪。1985年ヴァイツゼッカー大統領の謝罪演説があった。
 ドイツ人はそれを前提として、南京大虐殺や韓国人慰安婦に謝罪しない日本を非難するわけである。

 2.著者の木佐は、その論理にはインチキがあると反論するのである。
 1)ニュルンベルクや東京裁判で日独の戦争犯罪が裁かれたのだが、その時にA級(平和に対する罪、侵略戦争の計画・遂行)、B級(戦場・占領地などでの犯罪、民間人殺害や捕虜の虐待など)、Ⅽ級(人道に対する罪、ユダヤ人へのホロコーストなど)に分類して裁かれた。

 2)東京裁判ではA級とB級が中心だったが、ニュルンベルクはほとんどⅭ級だった。
その結果に基づいて、日本はアジア諸国に謝罪し賠償した。
 一方、ドイツでヴァイツセッカーやブラントが謝罪したのはユダヤ人などへの強制収容所やホロコーストなどであって(イスラエルにも賠償したのか?)、侵略地への謝罪も賠償もなかった。まあ、領土を削減されたという罰はあったが。

 3.もうひとつのドイツの特徴は、国防軍などの良いドイツ人とナチスに参加した悪いドイツ人の分類で、ドイツは悪いドイツ人の裁判をして(逃亡していたアイヒマンの裁判など)、良いドイツ人は免罪したことである。
 だから、ヴァイツゼッカーやブラントは同じドイツ人としてナチスの犯罪を謝罪したのであって、彼らもナチスの被害者だったとの立場なのである。
(日本の場合は、一億総懺悔ということにして、抵抗して終戦遅らせ都市の爆撃や原爆の被害を拡大させた軍人たちを裁くことはなかった。)

 4.ドイツには反独ドイツ人はいない。また周辺国もドイツを非難しない。
 しかし、日本には反日日本人(反日マスコミ)が存在し、韓国を筆頭として反日活動に熱心な国がある。

 ★海風:まとめ
 日独両国の戦後処理の違いに原因があると思う。
 1.朝鮮半島は日本が併合していたのだが、北を中国が、南をアメリカが占領し、その後、金日成が朝鮮戦争を起こした。
 日本が侵略した(軍閥も含めて内戦状態の一方に加担した)中国は、結局共産党軍に占領された。現在の習均平政権は南沙諸島を陸地化し軍事基地として領有し、日米などと対決的状態にある。
 他のアジア諸国(英蘭仏などの植民地)は戦後独立し、賠償もした。北朝鮮とは交渉の場も作れなかったが、日韓基本条約で時の朴正熙政権と和解し、経済発展の援助をした。 フィリッピンは(シンガポールも)長く反日だったが、それ以外はインドネシアなど親日国になっていた。
 同じく日本が併合した台湾には、共産軍に敗れた蒋介石の国民政府軍が占領した。朝鮮半島の場合と違って、日本時代からの台湾人は親日的なので、今の蔡英文政権も親日的である。

 2.ヨーロッパだが、経済的にはEUができ、軍事的には米国を中心とする軍事同盟NATOが組織された。これは、東欧諸国を占領し共産化したソ連の拡大を防ぐ意味があった。
 一方では、ドイツの独自の活動を防ぐ意味もあったに違いない。
 戦前のドイツは軍事的に抜きんでていたし、それが味方になればソ連・ロシアを防げるわけで、もうドイツに反対する意味が失われた。これが、周辺国に反独国がない理由だろう。

 3.南京と東京のドイツ人
 南京大虐殺の証言者がドイツ人のジョン・ラーベで、商社員でナチ党員でもあった。
南京事件では、民間人の姿をした便衣兵(逃亡兵)を捜索・摘発したに違いないが、避難民を暴行虐殺する意味がない。日本軍は軍規が厳しいので兵隊が勝手なことはできない。
前政権の首都を占領して、兵隊は略奪し放題と言うのは、定期的に易姓革命がおきる中国の伝統なのである。司馬遷「史記」にもあるし、パール・バック「大地」の主人公の貧農は、内戦で逃亡した大地主の隠していた財宝を盗んで富豪になっている。
 そしてソ連・ロシアは今もウクライナでやっているようだ。

 また皮肉と言うべきか、尾崎秀実を指導したリヒャルト・ゾルゲはドイツ人で、ソ連のスパイだった。著者木佐のいう反日ドイツは戦前からのようなのである。

 日本史で略奪と言えば、応仁の乱で出現した足軽から戦国時代のこと。あるいは一揆に狙われた金貸しの家でないか。
 とにかく、欧米に留学した司令官が率いる日本軍は、やはり欧米の評価を気にして、略奪などとんでもないと取り締まったはずだし、給料は払っているし、軍人恩給もあるわけで。実際、現在まで日本で暴動略奪はない。

 日独比較論から、さらに脱線したが、最後に一言。
 今の日本を「永久敗戦」だと批判する人物がいる。そうみえるのは、アジアではNATОが作れないからで、米国に従属する形になるからである。ヨーロッパはソ連が怖いからだが、アジアでは、米中をはかりにかける。で、フィリッピンは南沙諸島を取られて米国側に復帰した。その点、ソ連・ロシア人より中国の方が朝貢国の扱いがうまいのだろう。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年02月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728