ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、昭和56年2月に来日しました。24日、法王は昭和天皇を表敬訪問し、次のように語りました。
「私は、陛下が無益な受難が起こらぬようにするため、先の大戦を終わらせようと断固たる努力を払い、そして、すべての国民に代わってひとりで戦争の責任を引き受けようと申し出られた陛下の高貴な御態度に格別の尊敬を表します。陛下は実に、現代日本の民主主義と平和と自由の基礎の確立に、疑う余地のない貢献をなされました。そして、その基礎は、お国の歴史上かつてない進歩と繁栄を実現しました」と。
また、法王は、この来日の際、次のように語りました。「陛下にお目にかかって日本人の心の美しさが、どこから出てくるのかということが良く分かりました」「今回来日して発見したことがあります。つまり、日本の良さというものを、一点に凝縮すると、天皇陛下なのです」と。
ローマ法王ばかりでなく多数の外国人が、昭和天皇と会見して、大きな感銘を受けました。それは、昭和天皇の個人的な人格によるのみでなく、わが国の皇室に伝わる伝統あってのものといえるでしょう。その証として、アメリカのレーガン大統領、カーター大統領、東ドイツのシェール大統領など、多くの外国の要人が、皇居で行われる宮中晩餐会で、天皇に体されるわが国の伝統・文化を称えています。
例えば、パキスタンのモハメッド=ジアウル=ハック閣下は、次のように語りました。「パキスタンにおいて、私どもは、陛下を日本文化の絶えざることの象徴として、また、日本国民の不屈の精神の象徴として尊敬申し上げております。……経済分野における日本のめざましい業績に対し、世界全体が賞賛と羨望とをもって認めていることは疑いありません。しかも、さらに一層敬服に値することは、日本国民がその倫理的な拠(よ)り所をしっかりととらえ、そして独自の文化と伝統を保存することに成功しているということであります。回教国家として、その宗教的遺産に誇りを持つパキスタンの国民は、日本人のこの優れた資質に深い感銘を受けております」と。
次に、ニジェールのセイニ=クンチェ最高軍事評議会議長は、次のように述べました。「陛下は、世界で最も古い君主国の頂点におられます。最も古く最も賞賛すべき文明のひとつが、富士山の影に横たわるこの列島に生まれました。そこには独創的な文明が発達し、結実し、それによって日本国は、押し寄せる様々な出来事にもかかわらず、自らの個性を守り、その魂を保持することができたのであります。かくて、この地には、その文化を失うこともその伝統を放棄することもなく、最も見事で根本的な変革に断乎として着手し、それを成功裏に実現した偉大な国家が繁栄するに至ったのであります」と。
また、パラグアイのストロエルネル大統領は、天皇と国民の結びつきを次のように表現しました。「私は、この尊敬する日本国民の本国に参りまして、心が高められるように感じ、人類が常に誇りとしてきた数々の力強い美徳の存在を身をもって感得するような気持ちがいたしております。日本人の国を愛する心は、日本人の持つ純真、克己及び謙譲の精神から永劫の泉のように涵養されることを世界は認識しております。……この高潔な国には、人をして日本国を尊敬せしめた祖先伝来の煌(きらめ)きがあり、天皇陛下に体現される諸体制が整っており、日本国民がその輝かしい宗教を信じ、希望を抱き、そして日本民族特有の力強さをもって天皇陛下をお慕いしていることを何人も否定しないのであります」と。
これらの言葉は、昭和天皇に対する敬意の言葉であるとともに、また、日本の国民全体に対する賞賛の言葉でもあります。そして、日本の伝統と文化の中心には、天皇の存在があり、天皇と国民の一体性に、日本の国柄の特徴があることを示す言葉ともいえましょう。そして、こうした国柄を最もよく体現したのが、昭和天皇だったことがわかります。
昭和天皇が崩御して、今日もなおその事績を仰ぎ、その人柄を慕う人々は、絶えることがありません。
参考資料
・『聖帝 昭和天皇をあおぐ』(明成社)
次回に続く。
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