●安倍氏の死への世界の反応
20220709
<報道>
NHKのニュースより。一部編集。
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安倍元首相死去 各国の反応
2022年7月9日 14時47分
演説中に銃で撃たれた安倍晋三元総理大臣は、治療を受けていた奈良県橿原市内の病院で亡くなりました。海外メディアも速報で伝えているほか、親交のあった各国の首脳や要人が相次いで声明を発表しています。
中国 習主席「両国関係の改善に向けて努力し 有益な貢献」
中国外務省によりますと、安倍元総理大臣が死去したことを受けて、習近平国家主席は9日、岸田総理大臣に弔電を送り、深い哀悼の意を示しました。
この中で習主席は「安倍元総理大臣は任期中に両国関係の改善に向けて努力し有益な貢献を行った。突然の死去を深く悲しみ残念に思う」としています。
そのうえで「岸田総理大臣とともに、これまでの政治文書の原則にもとづき、両国の善隣友好や協力の関係を引き続き発展させていきたい」としています。
米 トランプ前大統領「全世界にとって衝撃的な損失だ」
在任中、安倍元総理大臣と親交が深かったアメリカのトランプ前大統領は8日、西部ラスベガスで行った演説の冒頭で安倍氏が銃撃を受けて死去したことに言及し「非道な残虐行為であるだけでなく、全世界にとって衝撃的な損失だ」と述べ、犯行を非難するとともに哀悼の意を示しました。
また「安倍元総理大臣は私の友人であり、同盟相手で、すばらしい愛国者だった。彼は平和と自由、そしてアメリカと日本のかけがえのない絆のために力を尽くすことを惜しまなかった」と述べて功績をたたえました。
・・・トランプ前大統領は安倍氏の死去を受けて日本時間の午後7時半ごろソーシャルメディアへの投稿で「世界にとってとても悪いニュースだ。歴史は彼がどれだけすばらしい人物でリーダーであったかを教えてくれるだろう。彼は皆を一つにまとめられるまたとない人物であるが、なによりも偉大な日本という国を愛した人物だった。彼のような人は二度と現れないだろう」と追悼しています。
クアッド首脳 連名で追悼声明「心を一つにしている」
安倍元総理大臣が創設に深く関わった日米豪印の4か国の枠組み、クアッドのうちアメリカとオーストラリア、それにインドの3か国の首脳は連名で追悼の声明を発表しました。
その中では「安倍元総理大臣はクアッドのパートナーシップの創設に重要な役割を果たし、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンを推進するために努力を惜しまなかった」とその功績をたたえました。
そして「この悲しみの瞬間、私たちは日本の国民や岸田総理大臣と心を一つにしている。平和で豊かな地域の実現に向けた取り組みをさらに進めることで安倍元総理大臣に敬意を表していく」としています。
米バイデン大統領が日本大使館を弔問「世界の損失」
アメリカのバイデン大統領は安倍元総理大臣の死去を受けて8日、首都ワシントンの日本大使公邸を弔問に訪れ、「日本国民だけでなく世界にとっての損失だ」と記帳し、哀悼の意を示しました。
安倍元総理大臣の死去を受けてアメリカのバイデン大統領は8日、首都ワシントンにある日本大使公邸を弔問に訪れました。バイデン大統領は持参した花束を安倍元総理大臣の遺影が飾られた机に置き、その後、記帳を行いました。
この中で「バイデン一家とアメリカを代表して安倍氏の家族と日本の国民に心よりお見舞い申し上げる。彼の死は妻や家族、そして日本国民だけでなく世界にとっての損失だ。平和の人であり、判断力のある人物だった。彼の死は惜しまれるだろう」などと書き込み、哀悼の意を示しました。
記帳は4分近くにおよびバイデン大統領は時折、顔をあげて遺影を見ながら書き記していました。
また、バイデン大統領は弔意を示すため、ホワイトハウスなどの政府機関の建物で今月10日の日没まで半旗を掲げるよう指示しました。(略)
アメリカのバイデン大統領は日本時間の午後10時前、声明を発表し「日本にとって、そして彼を知るすべての人にとっての悲劇だ。安倍氏は日米同盟と日米両国の国民の友情を深めた人物だった。日本の首相として最も長く在職した彼の、自由で開かれたインド太平洋を築くというビジョンは今後も続くだろう」とその功績をたたえました。
そのうえで、「襲撃された瞬間も安倍氏は民主主義のもとで取り組んでいた。暴力的な攻撃は決して容認できるものではなく、銃による暴力は常に地域社会に深い傷痕を残すことをわれわれは知っている。アメリカは悲しみの瞬間にある日本とともにある。安倍氏の家族に深い哀悼の意を表する」として追悼しました。・・・
海外メディア 電子版の特設ページなどで詳報
・・・アメリカのCNNテレビは安倍元総理大臣について「最も在任期間の長い総理大臣で、世界の舞台でも目立つ存在だった。トランプ前大統領と個人的な関係を築こうと努力し、トランプ氏にとっては大統領選挙に勝利したあと初めての外国の首脳との会談となった」などと紹介しています。
そして、「世界中の政治家から安倍氏への追悼のメッセージが次々と寄せられ、彼の死にショックを受けている」としています。
イギリスの公共放送BBCは、安倍元総理大臣について「日本で今も大きな影響力を持ち、おそらく過去30年間で最も知名度の高い日本の政治家だ」としたうえで、「この事件は、銃規制が厳しく、銃器による暴力が非常に少ないことで知られる日本に衝撃を与えた」などと驚きをもって伝えています。
一方、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、電子版の記事で、安倍元総理大臣がデフレからの脱却に向けて推進した「アベノミクス」について解説しています。
この中では、安倍元総理大臣が経済の発展のために果たした役割を称賛するコメントが日銀の黒田総裁からも出されているとして、「アベノミクス」を高く評価する声があることを伝えています。
一方で、「『アベノミクスが格差の拡大を招いた』という批判もある」としていて、アベノミクスをめぐって賛否両論があったことにも触れています。(略)
ドイツ ショルツ首相「深い悲しみ ドイツは日本に寄り添う」
ドイツのショルツ首相は8日、ツイッターに「安倍元総理大臣が暗殺されたことに衝撃を受け、深い悲しみをおぼえる。安倍元総理大臣の遺族、私の同僚の岸田総理大臣、そして日本の友人たちにお悔やみを申し上げる。このような困難なときにドイツは日本のそばに寄り添う」と投稿し、哀悼の意を表しました。
イタリア ドラギ首相「革新的な精神 偉大なリーダーだった」
イタリアのドラギ首相は声明を発表し「安倍元総理大臣の死去に対し、政府として、そして個人として深い哀悼の意を表する。今回の事件にイタリアは大きな衝撃を受けている。安倍氏はその革新的な精神と改革的なビジョンにより、日本そして国際政治において偉大なリーダーだった」と追悼しました。
フランス大統領府「日本国民および政府との連帯を表明」
フランス大統領府は、声明を発表し「マクロン大統領と安倍氏は、インド太平洋地域の安定と繁栄などグローバルな課題において協力関係を強化してきた。また、両国の文化面における豊かで活力のある関係を生かし結びつきを強めることに努めた」とマクロン大統領と安倍元総理大臣の関係を振り返りました。
そのうえで「フランスは日本の国民および政府との連帯を表明する」として追悼の意を表しました。
英 エリザベス女王 天皇陛下に弔意を伝える
イギリス王室は8日、声明を発表し、安倍元総理大臣が亡くなったことを受けて、エリザベス女王が天皇陛下に弔意を伝えたことを明らかにしました。
エリザベス女王は、「2016年に安倍夫妻とイギリスでお会いしたことは懐かしい思い出です。日本への愛、そしてイギリスとの絆をますます緊密にしようとする思いをはっきりと感じました」などとするメッセージを送ったということです。
イギリス ジョンソン首相「信じられないほど悲しい」
イギリスのジョンソン首相は自身のツイッターへの投稿で「信じられないほど悲しいニュースだ。彼のリーダーシップは多くの人の記憶に残るだろう。彼の家族、友人、そして日本の国民と思いは一緒だ。イギリスはこの暗く悲しい時にあなたたちとともにある」とコメントしました。
また、イギリスの首相官邸は公式のツイッターで「イギリスにとってすばらしい友人だった安倍元総理大臣の悲劇的な死去を悼んでいる」というコメントとともに、安倍元総理大臣と、現在のジョンソン首相、メイ前首相、そしてキャメロン元首相が握手している写真を投稿しました。
インド モディ首相「ことばにできないほどの衝撃と悲しみ」
安倍元総理大臣の在任中、互いに訪問を繰り返し親交を深めてきたインドのモディ首相はみずからのツイッターに投稿し、「最も親しい友人の1人である安倍元総理大臣の悲劇的な死去に私はことばにできないほどの衝撃と悲しみを受けている。安倍氏は世界有数の政治家であり、卓越したリーダーだった。彼は日本と世界をより良い場所にするために人生を捧げた」としています。
そのうえで、「きょう、インド全体が日本とともに悲しみ、私たちはこの困難なときに日本の人たちと連帯します」として哀悼の意を示しました。
また、モディ首相は8日首都ニューデリーで行われた演説の冒頭で、「私にとって取り返しのつかない喪失と耐えがたい痛みの日だ。私の親友で元総理大臣の安倍氏はもういない。安倍氏の在任中、両国の政治的関係は新たな高みに達した。安倍氏はインドの人々の心の中に残り続ける」と述べ、安倍元総理大臣を追悼しました。
モディ首相は、9日を、国を挙げて喪に服す日とするとしています。
ロシア プーチン大統領「偉大な政治家の命が奪われた」
ロシアのプーチン大統領は、安倍元総理大臣が亡くなったことを受けてコメントを発表しました。
このなかでプーチン大統領は哀悼の意を示したうえで「日本政府を長く率い両国の善隣関係の発展に尽くした偉大な政治家の命が犯罪者の手によって奪われた」としています。そのうえで、安倍元総理大臣について「その記憶は彼を知るすべての人々の心の中に永遠に残るだろう」としています。・・・
中国大使館「安倍氏 両国関係の改善と発展に貢献」
東京にある中国大使館は8日、報道官がコメントを発表し「安倍氏は、総理大臣の在任中、両国関係の改善と発展に貢献した。訃報に接し、哀悼の意を表すとともに、ご遺族にお悔やみ申し上げる」としています。
また中国外務省は8日、趙立堅報道官の談話を発表し「中国は今回の事件に衝撃を受けている。安倍元総理大臣は、両国関係の改善と発展に貢献した。哀悼の意を表すとともに、ご遺族にお悔やみ申し上げる」としています。
韓国 ユン大統領「遺族と日本国民に哀悼の意を伝える」
韓国の大統領府は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が安倍元総理大臣の妻の昭恵さんにあてて弔電を送ったと発表しました。弔電では「日本の憲政史上最長の在任期間の総理であり、尊敬される政治家を失った遺族と日本国民に哀悼の意を伝える」としています。
また、大統領府によりますと、ユン大統領は事件について「容認できない犯罪行為だ」と非難し、深い悲しみを示したということです。
台湾 蔡英文総統「言葉にならないほどのショック」
台湾の蔡英文総統はツイッターに日本語で「言葉にならないほどのショックを受けています。生前、台湾に実に多くのご支援とご配慮をくださいました。私たちはこのことを決して忘れません」と投稿しました。
総統府の報道官は「蔡英文総統は知らせを聞いてひどく心を痛め、最も深い哀悼の意を表している。蔡総統は、国際社会が重要なリーダーを失い、台湾も重要な親友を失ったと考えている」というコメントを発表しました。
インドネシア ルトノ外相「早すぎる死去 心から哀悼の意表す」
G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのルトノ外相は、8日「安倍元総理大臣の早すぎる死去にあたり、この悲しみの時にインドネシア政府は、日本政府、日本の人たちに心から哀悼の意を表します。彼が国と人々に奉仕するため身をささげたことは、すべての人たちに記憶されるだろう」と述べました。
トルコ エルドアン大統領「いまわしい攻撃をした人物を非難」
トルコのエルドアン大統領はツイッターで「大切な同志である安倍元総理大臣が銃撃で命を落としたことを深い悲しみをもって知った。いまわしい攻撃をした人物を非難する。安倍氏の家族と愛する人たち、それにすべての日本国民と政府にお悔やみ申し上げます」と投稿しました。
フィリピン マルコス大統領「ご遺族と日本国民に深い哀悼の意」
フィリピンのマルコス大統領は9日、声明を発表し、「安倍氏が亡くなったことに衝撃と深い悲しみを感じました。彼のリーダーシップのもとで両国の関係は真に繁栄しました。ご遺族と日本国民に深い哀悼の意を捧げます」と追悼しました。
一方で、ドゥテルテ前大統領も8日夜に声明を発表し、「安倍氏は誠実なよき友人であり、私の政権の強固な支援者だった。彼の思いやりに満ちた支援と卓越したリーダーシップを忘れない。世界で最も影響力のあるリーダーの一人だった」と追悼しました。
フィジー バイニマラマ首相「とても悲しいこと」
南太平洋の島国フィジーのバイニマラマ首相は、日本と太平洋の島しょ国の首脳などが3年ごとに日本に集まる「太平洋・島サミット」に出席するため、2015年と2018年に来日し、当時の安倍総理大臣と会談を行っています。
バイニマラマ首相は、安倍元総理大臣の死去について「とても悲しいことだ。誰も日本でこんなことが起きるとは予想していなかった。日本の(林外務)大臣に哀悼の意を伝えた」と話し、バリ島で行われていたG20=主要20か国の外相会合の会場で林外務大臣に哀悼の意を伝えたことを明らかにしました。
イスラエル ラピド首相「イスラエルとの関係率いた」
中東イスラエルのラピド首相は、「安倍元総理の悲劇の死に際し日本の国民と政府に哀悼の意を表する」と声明を出しました。
そして、在任中にイスラエルを訪問したことがある安倍氏について、「現代の日本における重要なリーダーの1人で、成長と繁栄のためイスラエルとの関係を率いてくれた」と振り返りました。
一方、パレスチナ暫定自治政府も、「安倍元総理は日本に貢献するとともに、国際法や人権を守り、パレスチナの友人であること示し、パレスチナ人の自由への権利と国連決議に則ったパレスチナ国家の創設を支持してくれた」と 述べました。
ウクライナ ゼレンスキー大統領「暴力行為に言い訳の余地ない」
ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のツイッターに投稿し、「安倍元総理大臣が殺害されたという恐ろしいニュースについて、安倍氏の家族と日本の皆様に深い哀悼の意を表する。この凶悪な暴力行為に言い訳の余地はない」としています。
ブラジル ボルソナロ大統領「激しい怒りと悲しみ抱いている」
ブラジルのボルソナロ大統領は8日、みずからのツイッターで「激しい怒りと悲しみを抱いている。安倍氏は輝かしいリーダーであり、ブラジルにとってのとても大切な友人だった」と述べました。そのうえで「日本の人々への敬意と安倍氏への友情、そして不当な残虐行為に対する連帯を示すため、ブラジル全土に3日間、追悼するよう命じた。私たちは日本とともにある」としています。
NATO事務総長「凶悪な事件に深く悲しんでいる」
NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長はツイッターに投稿し「安倍氏が殺害されるという凶悪な事件に、深く悲しんでいる。安倍氏は、民主主義の擁護者であるとともに、私の友人であり、長年の同僚でもあった。NATOのパートナーである日本の人々にお悔やみを申し上げたい」とコメントしました。
EU委員長「多国間の協調を擁護 すばらしい人物」
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は声明で「多国間の協調を擁護したすばらしい人物だった。彼の家族、友人、そして、すべての日本の人々とともに哀悼の意を表します」としたうえで「安倍氏に対する残忍で卑劣な犯罪は、全世界に衝撃を与えている」と事件を厳しく非難しました。
国連 グテーレス事務総長「いつまでも忘れない」
国連のグテーレス事務総長は8日、自身のツイッターに投稿し、「深い悲しみに包まれている。わたしは何年にもわたり安倍氏と交流する機会に恵まれ、安倍氏の協調性と多国間主義へのコミットメントをいつまでも忘れない。ご遺族、日本の人々と政府に哀悼の意を表する」と追悼しました。
WHO テドロス事務局長「悲劇的な死を深く悲しんでいる」
WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は自身のツイッターに「安倍氏の悲劇的な死を深く悲しんでいる。彼のご家族と日本の皆様に心からお悔やみを申し上げる」とコメントしました。
20220713
<報道>
ZAKZAK 八木秀次氏の寄稿より。
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「日本や世界から指導者を奪った」安倍元首相の暗殺死 「言論の自由の封殺」「民主主義への挑戦」は見当違い 高く評価された「インド太平洋」構想
安倍晋三元首相の暗殺死について、「言論の自由の封殺」「民主主義への挑戦」との指摘があるが、見当違いだ。他の政治家やジャーナリスト、言論人を狙ったのなら、そうした抽象的な指摘も成り立とうが、他ならぬ安倍氏をこの世からなき者にした犯行だ。
「日本や世界から指導者を奪った蛮行」というべきなのだ。ここにも安倍氏の存在を軽く認識していたことが表れている。
しかし、世界の認識は違う。
安倍氏の死について、ジョー・バイデン米大統領は「世界にとっての損失」と述べ、アントニー・ブリンケン米国務長官も「世界的なリーダーとして称賛された」と述べた。インドのナレンドラ・モディ首相は「世界的な政治家であり、卓越したリーダーだった」と述べた。これらはお世辞ではない。文字通りの評価なのだ。
米国は10日の日没までの間、ホワイトハウスをはじめすべての連邦政府庁舎や在外公館、国内外の米軍施設などで半旗を揚げた。インドも「安倍氏に深い敬意を表し、9日は全国的に喪に服す」と発表した。ブラジルも8日から全土で3日間の服喪を行った。
台湾も「最も深い哀悼と感謝」を示すために当局機関や公立学校で11日に半旗を掲揚した。当の日本には服喪や半旗掲揚の予定はない。
安倍氏の功績の中で「自由で開かれたインド太平洋」構想を発案し、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」につなげたことは世界でも高く評価されている。第1次政権時の2007年にインド国会の演説で原型を発表し、第2次政権時の16年にアフリカ開発会議で本格的に提唱した。
元米NSCアジア上級部長のマイケル・グリーン氏は、安倍氏が原型を発表したとき、「当時は、世界の多くの識者は彼が挑発的で危険だと考えていた」(朝日新聞7月10日付)と振り返っている。まだ、中国の覇権への警戒心がなく、安倍氏が逆に危険視されたのだ。
米外交問題評議会上級研究員のシーラ・スミス氏も、安倍氏について「日米同盟のために必要なことをしただけでなく、日本の利益がなんであるかを米国に伝えた。中国が日本やアジアの他の国々への軍事的、経済的な圧力を増すなかで、安倍氏は(自由で開かれた)インド太平洋の構想を考案した。これはバイデン政権が完全に取り入れているものだ。日本が新たな戦略的構想の考案をリードしたのは初めてのことだった」(朝日新聞7月10日付)と評価している。
その先見性と構想力、そして実現力によって、安倍氏は世界における日本の地位を塗り替え、国際秩序を形成する主要プレーヤーとしたのだ。
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次回に続く。
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