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2022年05月17日11:31

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国家論14〜国家の構造

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 細川一彦著作集(CD)のご案内 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 拙著『人類を導く日本精神』の付属CDに、「ほそかわ・かずひこの<オピ
 ニオン・サイト」のデータを収納しました。その後、2年9か月ほどの間に、
 新たな掲示や一部修正を多く行いました。
 そこで、本年4月12日時点のデータを<確定版>としたCD−Rを作り
 ました。今後このサイトが閉鎖・消滅した後も、資料としてご利用いただけ
 ます。単行本にすると約30冊分になります。
 1枚400円です。枚数に限りがあります。申し込み期間は1か月限定
 (5月27日まで)です。
 申し込みを希望する方には、詳細をお伝えします。下記にご連絡下さい。
 fhoso@m8.dion.ne.jp

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■国家論14〜国家の構造
 
●国家の構造

 ここで私の国家論の中核をなす「国家の構造」について述べる。
 構造とは、いくつかの要素を持つ組織であり、要素の内容が入れ替わっても変わらない枠組みである。国家には、他の組織にはない構造がある。それを国家の構造という。国家論は、国家の構造を把握して、その基本的な要素、付随的な要素を分析して、国家とは何かを明らかにするものである。
 先に書いたように近代国家には、4つの基本的な要素がある。領域、人民、主権、思想である。再びこの点について、私見を述べたい。
 これら4つの要素を統治の概念でとらえるならば、最初の3つは、統治の主体(人民)・対象(人民及び領域)・権利(主権)である。これらに対して、国家をどのように統治するか、つまり統治のあり方、統治の仕方を考えるもとになるものが、思想である。国家思想から統治の方法が導き出される。そこで、第4の要素である思想を、統治の方法に係るものととらえるならば、国家の4つの要素は、統治の主体(人民)・対象(人民及び領域)・権利(主権)、方法(思想)に当たる。
 私は、国家は統治の主体・対象・権利・方法の4つを基本的な要素として持つ構造体ととらえる。国家は、これらの4つの構造的な要素をもって統治を行う。統治を行うに当たって、統治の主体は、どういう国家を作るのかという国づくりを構想する。そして国家として何を行うかを立案する。そこで必要なのが、統治のための基本的な制度・機構、国家目標、国家方針、国家政策である。これらは、国家の構造における付随的な要素である。
 第一に必要な付随的な要素は、統治のための基本的な制度・機構である。
 基本的な制度・機構を定めるにあたり、統治の主体にして対象でもある人民について、国民とは何かを定義をし、その権利と義務を明らかにしなければならない。
 統治のための制度は、政治参加の権利の所有者と集団の意思決定の仕方で、専制主義と民主主義に分かれる。集団のうちの一人または少数者が政治参加の権利を占有し、一人または少数者が集団の意思を決定する制度・体制が、専制主義(autocracy、オートクラシー)である。これに対し、集団のうちの多数者が政治参加の権利を保有し、多数の合議によって集団の意思を決定する制度・体制が、民主主義(democracy、デモクラシー)である。今日の世界の諸国家は、民主主義か専制主義のどちらかを取っている。(註 3) そのほか、制度には、君主制か共和制か、自由主義か統制主義か、憲法・議会・選挙の有無、大統領制か内閣制か、行政・立法・司法の三権の分立か一体か等の違いがある。それらの違いを踏まえて、統治のための機構が設けられる。
 国家は、基本的な制度・機構を憲法・基本法・宣言等に規定する。規定は行政・立法・司法の全般に及ぶ。主要な機構は、政府・議会・裁判所である。また、政府の広報のために放送局・新聞社、国家経済と通貨の発行のために銀行等が必要である。
 ここで重要なのは、これらの基本的な制度・機構が正常に機能するためには、国家の秩序を維持する力が不可欠であることである。その力を体現するのが、軍隊と警察である。制度・機構は、法に定められる。法は、統治に関して決定された意思を言葉で表現したものであり、統治は法によって行われる。しかし、法の支配は、法によってのみ実現されるのではなく、法は軍事力・警察力等の物理的な力に裏付けられることで、はじめて強制力を持つ。この強制力は、集団で決定された意思を集団の成員に強制する力である。近代国家では、通常、物理的な強制力を政府が独占する。その力が、国家権力・政治権力の源になっている。法の支配は力の支配に裏付けられており、支配の実態は力による支配である。
 いかなる法秩序も、それを無視する力が働く時には、無効化される。力には力で対抗するしかない。そのことを忘れ、法の支配のみに頼る国家は、統治の権利を一部または全部失ったり、統治の方法を自らの意思に反して変えられてしまう。それが、国家の外部からの侵攻によるものであれば、戦争による征服・支配であり、国家の内部での動きによるものであれば、革命またはクーデターである。
 次に、国家が統治のための基本的な制度・機構を整えた後に必要なのは、国家が何を目指し、どういう方向に進み、何をどのように行うのかである。言い換えれば、国家の目標、方針を打ち立てることである。そして、国家目標、国家方針のもとに、国家の政策が立案される。国家政策は、国家の存続・発展を図るために、様々な施策を実行し国益を追求するものである。
 今日の国家は、競争的・敵対的な環境にある。それゆえ、国家政策は、単なる自立的な計画ではなく、他の国家や超国家的な組織や思想・運動との相互作用を前提とした計画を策定する必要がある。この時に求められるものが、戦略である。国家政策の立案においては、国家の活動の様々な分野の戦略だけでなく、それらを総合した戦略、すなわち国家総合戦略の策定が不可欠である。


(3)民主主義と専制主義については、次の拙稿をご参照下さい
拙稿「民主主義対専制主義〜米中対決の時代に」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-20.htm

 次回に続く。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神〜新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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