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2022年05月04日08:02

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日本の心107〜武士道の復活を願う:新渡戸稲造1

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 細川一彦著作集(CD)のご案内 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 拙著『人類を導く日本精神』の付属CDに、「ほそかわ・かずひこの<オピ
 ニオン・サイト」のデータを収納しました。その後、2年9か月ほどの間に、
 新たな掲示や一部修正を多く行いました。
 そこで、本年4月12日時点のデータを<確定版>としたCD−Rを作り
 ました。今後このサイトが閉鎖・消滅した後も、資料としてご利用いただけ
 ます。単行本にすると約30冊分になります。
 1枚400円です。枚数に限りがあります。申し込み期間は1か月限定
 (5月27日まで)です。
 申し込みを希望する方には、詳細をお伝えします。下記にご連絡下さい。
 fhoso@m8.dion.ne.jp

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■日本の心107〜武士道の復活を願う:新渡戸稲造1

 武士道が廃れ始めた時代、それは明治維新によって近代化が進められていた時代でした。その時代に、武士道について、書物をまとめ、世界に紹介した人物がいます。それが、五千円札の肖像にもなった新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)です。
 新渡戸は、ある時、ベルギーの学者に日本のことを質問されました。「あなたがたの学校では宗教教育というものがないというのですか」。新渡戸は答えました。「ありません」。教授は驚いて聞きました。「宗教がないとは! いったいあなたがたは、どのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか」。
 キリスト教が文明の基礎となっている欧州では、道徳は宗教を元にしたものであり、宗教なしに道徳教育など考えられないのでしょう。しかし、日本にはそれに代わるものがある、それは武士道だと新渡戸は思い至りました。そして明治32年(1899)、英文で『武士道』を書きました。原題は、“Bushido, the Soul of Japan”、つまり『武士道――日本の魂』でした。新渡戸は、本書で武士道こそ日本人の道徳の基礎にあるものだということを、欧米人に知らしめようとしたのです。
 新渡戸は武士の子でした。幕末の文久2年(1862)盛岡(現岩手県盛岡市)に生まれた彼は、武家の家庭教育を受けました。そして新渡戸は、明治の大改革の時代に成長しました。クラーク博士の下で西洋の科学を学び、海外に出て活躍した国際的日本人でした。
 名著『武士道』で新渡戸は、武士道を詳細に論じています。まず新渡戸は、「武士道は、日本の象徴である桜花にまさるとも劣らない、日本の土壌に固有の華である」と説き起こします。そして、武士道の淵源・特質、民衆への感化を考察しています。
 新渡戸によると、武士道とは、もろもろの徳から成っているものです。以下、各項目から、内容の一部を抜粋し、概観して見ましょう。

●「武士道の渕源」より〜「武士道は『論語読みの論語知らず』的種類の知識を軽んじ、知識それ自体を求むべきで無く叡知獲得の手段として求むべきとし実践窮行、知行合一を重視した」

●「義」より〜「義は武士の掟の中で最も厳格なる教訓である。武士にとりて卑劣なる行動、曲がりたる振舞程忌むべきものはない」

●「勇、敢爲堅忍の精神」より〜「勇気は義の為に行われるのでなければ、徳の中に数えられるに殆ど値しない。孔子曰く『義を見てなさざるは勇なきなり』と」

●「仁、即惻隠(そくいん)の心」より〜「弱者、劣者、敗者に対する仁は、特に武士に適しき徳として賞賛せられた」

●「礼」より〜「作法の慇懃鄭重(いんぎんていちょう)は、日本人の著しき特性にして、他人の感情に対する同情的思い遣(や)りの外に表れた者である。それは又、正当なる事物に対する正当なる尊敬を、従って、社会的地位に対する正当なる尊敬を意味する」

●「誠」より〜「信実と誠実となくしては、礼儀は茶番であり芝居である。…『武士の一言』と言えば、その言の真実性に対する十分なる保障であった。『武士に二言はなし』二言、即ち二枚舌をば、死によって償いたる多くの物語が伝わっている」

●「名誉」より〜「名誉の感覚は、人格の尊厳ならびに価値の明白なる自覚を含む。… 廉恥心は、少年の教育において、養成せられるべき最初の徳の一つであった。『笑われるぞ』『体面を汚すぞ』『恥づかしくないのか』等は非を犯せる少年に対して正しき行動を促す為の最後の訴えであった」

●「忠義」より〜「シナでは、儒教が親に対する服従を以って、人間第一の義務となしたのに対し日本では、忠が第一に置かれた」

●「武士の教育及び訓練」より〜「武士の教育に於いて守るべき第一の点は、品性を建つるにあり。思慮、知識、弁論等、知的才能は重んぜられなかった。武士道の骨組みを支えた鼎足は、知・仁・勇であると称せられた」

●「克己」より〜「克己の理想とする処は、心を平らかならしむるにあり」

 以上のように、武士道は多くの徳によって成り立っており、高い精神性をもつものだったことを、新渡戸は解き明かしています。

 次回に続く。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神〜新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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