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2022年02月26日13:10

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ロシアがウクライナに侵攻 政権転覆・勢力圏へ

 2月24日、ロシアが終にウクライナに侵攻しました。
 有識者の見方として、イアン・ブレマー、グレンコ・アンドリー、エドワード・ルトワックの三氏の見方を紹介します。

●イアン・ブレマー

 ロイター 2022.2.25

ロシアの侵攻は「第2次冷戦の幕開け」=イアン・ブレマー氏
2/25(金) 20:05配信

 国際政治学者のイアン・ブレマー氏(ユーラシア・グループ社長)は24日、ロイターのインタビューに応じ、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は地政学的に極めて重要な出来事であり「第2次冷戦」の幕開けであると述べた。かつてのソ連との冷戦が世界的なものであったのに比べて、現在のロシアの勢力圏は小さいと指摘する一方、意図しない緊張激化を防ぐための『ガードレール』を構築するための制度的な仕組みがあまり整っていないという点でより危険だと語った。
 ブレマー氏の発言要旨は以下のとおり。 

――――――――――――――
 私たちはこのことについて一生語り続けることになる。これはベルリンの壁崩壊やソ連が崩壊して以来、地政学的に最も重要な出来事だ。
 世界的に見れば、これは世界秩序における重大な転換点であり、新しい冷戦の誕生だ。グローバリゼーションのあり方を大きく変えるものであり、とても大きな大きなインパクトがある。
 米国と同盟国、そしてロシアとの間の第2次冷戦の始まりだ。ある意味で、この新しい冷戦はかつての冷戦ほど深刻ではない。なぜなら、ロシアの経済規模はテキサスよりも小さく、現在のロシアは中南米やアジア、アフリカとは無関係だからだ。ソ連との冷戦は世界的なものだった。
 しかし、ある意味では第1次冷戦よりも危険だ。なぜなら、意図しない緊張激化を防ぐための『ガードレール』を構築するための制度的な仕組みがあまり整っていないからだ。
またロシアは、特にサイバー攻撃や偽情報戦など、ある意味で実際の戦争を誘発しかねない手段を持っているからだ。第3次世界大戦になるとは言わないが、米国、NATO(北大西洋条約機構)、ロシアが直接対立することになり、その対立は大変危険なものになる可能性がある。われわれはそれを理解しなければならない。

<プーチン氏の狙いは何か>
 (侵攻によって)何万人ものウクライナ人が命を落とすだろう。ウクライナ政府は亡命を余儀なくされるか、逮捕あるいは処刑されるだろう。それこそが、いまここで私たちが話していることなのだ。
 プーチン氏は自分の意思を強制するために権力を使い、欧州における既存の安全保障体制を打破するために無理やり勢力圏を作ろうとしている。それこそが、彼がやろうとしていることだ。
 つまり、彼がついたウソは驚くべきものでバイデン米大統領に直接、シュルツ独首相に直接、マクロン仏大統領に直接、侵攻の意図はなく部隊は撤収しているとウソをつきまくったのだ。
 だが、この1カ月間で私たちが見た唯一の「緊張緩和」とは、ロシア大統領がついたウソだけだった。彼らがやってきたことはすべてこの侵攻に向かっていた。完全に罪のない、ロシアと敵対したり、脅威となることは何一つしていないウクライナ政府を侵略するためだ。

<中国はどう動く?>
 中国は冷戦を望んではいない。中国は、欧州が中国とビジネスをしなくなるような、米国人が中国に投資するのがさらに難しくなるような戦いに巻き込まれることを望んでいない。中国にとってバランスを取るのは難しいだろう。
 だが現実には、中国は米国が自分たちをアジアに封じ込めようとしていると見ている。ロシアも、米国が自分たちを欧州に閉じ込めようとしていると見ており、結果的にそれが中ロ両国の距離を縮めている。

<経済への影響は>
 おそらく先進工業国は今年のGDPが約1%ほど低下するだろう。ただそれは、さらなる大規模な情勢悪化がないと仮定した場合だ。
 この侵攻によって明らかに原油やガス価格は上昇している。サプライチェーンの面で大きな問題が発生するのは明らかだ。とりわけ黒海の港の混乱と、欧米が科すであろう制裁の影響だ。
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●グレンコ・アンドリー

 産経新聞 2022.2.25

プーチン氏の狙いは「傀儡政権」 国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏
2/25(金) 21:38配信

 ウクライナに侵攻したロシア軍は、首都キエフに迫っている。緊迫が続くウクライナで事態は今後、どのように展開していくのか。関西在住のウクライナ人国際政治学者、グレンコ・アンドリー氏(34)は「プーチン大統領の狙いはウクライナの全土、もしくは(西部を除いた)半分以上の占領だ」と分析し、「大きな戦争になる」と警戒感を強める。
 ウクライナメディアなどによると、ロシア軍の戦車部隊は首都キエフに迫っている。当初、東部での局地戦となる可能性が高いとみていたグレンコ氏は「すぐに全面的な侵攻をしてくるとは」と驚きを口にする。 なぜウクライナ全土に攻撃が広がっているのか。そしてプーチン氏の狙いは何か。グレンコ氏は「ウクライナを占領し、傀儡(かいらい)政権を作ることだ」と明言。ウクライナを何らかの形で併合し、「国家連合のような体制を作り、(プーチン氏は)その大統領になることを目指すだろう。近隣諸国を征服する意図は明白で、まずは一番肝心なウクライナを手に入れたいのだろう」と指摘する。
 緊迫していた情勢は、ウクライナ東部で親露派武力勢力が実効支配していた2地域の「独立」承認を機に、一気に動いた。グレンコ氏は「独立」の承認が侵攻の下準備にすぎなかったとし、「いきなり国境を越えて侵攻したのではなく、『独立国』から派兵要請を受け、その要請に応えたというのがプーチン氏の論理だ」と指摘。「戦後の国際秩序を根本的に覆すような世界平和への挑戦ではないか」と非難した。
 欧米ではロシアへの追加制裁を強化する動きが加速する。米国のバイデン大統領はホワイトハウスで演説し、プーチン氏を「侵略者だ」と切り捨てた。 グレンコ氏は日本政府に対しても、「ロシアとの貿易を遮断し、最大限の経済的・技術的制裁を加え、侵略について最も強い言葉で非難する必要がある」と求めた。(藤木祥平)

●エドワード・ルトワック

 産経新聞 2022.2.26

プーチン体制 終焉のはじまりか  エドワード・ルトワック氏に聞く
 
 ロシアによるウクライナ侵攻は今後、どのように展開していくのか。米歴史学者で戦略家のエドワード・ルトワック氏に聞いた。

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 ロシアのプーチン大統領が国際社会の警告をよそにウクライナ侵攻に踏み切った目的は、ゼレンスキー政権を転覆して親露派政権を樹立し、同国をロシア連邦に編入することだ。その一環として、2014年のウクライナ騒乱で失脚してロシアに亡命したヤヌコビッチ元大統領の復帰を画策していると思われる。
 だが、傀儡政権を早期に樹立できたとしても、その後の事態はプーチン氏に厳しい展開となるだろう。
 ウクライナ軍による組織的な抵抗はあと数日も続かないだろう。だが、プーチン氏が展開する十数万人程度のロシア軍の兵力では、首都キエフや一部の都市を占領できても、全土を掌握するにはロシア軍の総兵力の約半分にあたる50万人規模を投入する必要がある。完全制圧は現実問題として不可能に見える。
 戦争の勝利に必要な要素は「自国民の支持」と「自軍の被害を最小限に抑えて成果を上げること」だ。
 だが、かつて露軍高官を務めた友人は「プーチンは『親露派住民をジェノサイド(集団殺害)から守るため』などの幼稚な嘘を理由に開戦した。まったく不必要な戦いだ」と不満を述べている。他のロシアの友人らの見方も同様だった。
 大半のロシア国民は事態をどう受け止めたらいいのか分かっていない状態だが、ウクライナ人らのレジスタンス的な抵抗でロシア軍将兵の死者が増えてくれば、侵攻を疑問視する意見がロシア国内でも広がるのは必至だ。
 ウクライナ人による抵抗は、ロシアの軍用トラックを遠方から狙撃するなどの散発的な行動となるが、地道に続いていくだろう。すでに多数の小銃や弾薬が周辺国から運び込まれている。間もなく市民や民兵らに行き渡るとみられる。
 今後は、ロシアとの歴史的な結びつきが薄いウクライナ西部地域が抵抗勢力の拠点となっていくだろう。
 また、1日に数人〜十数人のロシア兵が抵抗活動で死亡する事態となれば、チェチェン紛争のときに「ロシア兵士の母の委員会連合」が率いた反戦デモのような動きがロシア国内で盛り上がる可能性がある。
 さらに、ロシアがウクライナ人らを摘発し弾圧すれば、全世界の同情がウクライナに集まるだろう。そうした意味でも、ウクライナ人がどれだけ抵抗できるかが将来のカギを握る。
 米欧など国際社会による対露制裁は、ロシアの天然ガスに依存する欧州諸国に配慮して、ロシアを国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークから排除することに踏み込んでいない。
 だが、これから春になって欧州諸国の暖房需要が減り、ロシアの天然ガス供給を心配する必要がなくなれば、SWIFT制裁を実行する局面も訪れよう。今回の侵攻は国際秩序の侵害であり、かつてない対抗措置を講じてしかるべきだ。
 外国の企業や団体、個人も抵抗活動を展開し得る。反ロシア感情の強いポーランドでは、ドイツなどの西欧諸国からロシアに向かうトラックの物流をデモによる道路封鎖で阻止することが想定される。ポーランド当局も「ウクライナへの連帯」を訴えるデモを排除しないはずだ。
 露軍の人的損害の拡大に加え、制裁などによる露経済への打撃が深刻化すれば、ロシア国内での反プーチン感情は確実に高まるだろう。侵攻は、プーチン軍国的権威主義体制の「終焉の始まり」を告げる可能性をはらんでいるのだ。(聞き手 黒瀬悦成)
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