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2021年12月16日09:07

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民主主義対専制主義〜米中対決の時代に1

はじめに

 今日の世界情勢を一言で表すと、米中対決です。2021年1月にスタートしたバイデン米政権は、米中関係を「民主主義対専制主義」という対立構図でとらえ、民主主義勢力の結束と拡大を図っています。本年12月には「民主主義サミット」を開催しました。しかし、そこには専制主義に対抗するための理論と戦略が欠けているように見えます。
 本稿は、まず民主主義また専制主義とはどういうものか、定義と比較を行い、それらの歴史を振り返り、米中対決の時代において「民主主義対専制主義」という対立構図はどの程度、有効かを検討したいと思います。
 近年の世界では、民主化の停滞と専制主義の拡大が目立っています。自由、民主主義、人権、法の支配といった価値は、必ずしも普遍的な価値にはなっていません。民主主義と専制主義の対立の原因の一つには、家族型の違いに基づく価値観の違いがあり、その違いを知ることが必要です。また、政治と権力の関係は、指導者と民衆の道徳性という問題を抜きには語れません。そこから浮かび上がってくるのは、精神的な進化なくして、今日の世界の危機を乗り越えることはできないという人類の根本的な課題です。
 本稿は、こうした観点から、米中対決の時代における「民主主義対専制主義」という対立構図を検討し、人類の課題を論じます。30回ほどを予定しています。

1.世界の現状

●米中対決の時代

 2020年代初頭にある現在の世界情勢は、一言で表すと、米中対決である。
 かつて1980年代に、米ソの対決があった。アメリカのロナルド・レーガン大統領がソ連に軍拡を挑み、経済力と技術力で圧倒してソ連を崩壊に導いた。その後、1990年代から中国が発展し、強大化した。現在の中国はかつてのソ連の比ではない。軍事力、経済力、人口、国際社会への影響力ではるかに上回っている。今や中国を抑えないと、米国や世界が危うくなっている。
 ドナルド・トランプ前大統領は、共産中国に対して、強い姿勢を打ち出し、2018年(平成30年)から米中経済戦争を優勢に進めていた。ところが、その最中に中国から新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症が世界的に広がった。中でも米国は世界最多の死亡者が出て、大恐慌以来の経済的な打撃を受け、中国を厳しく非難した。
 中国は、新型コロナウイルスが人から人へ感染するようになり、また中国国内で感染が拡大していながら、そのことを1カ月ほど公表しなかった。そのため、感染が海外に広がった。中国共産党政府は、そのことの責任を認めていない。また新型コロナウイルスが武漢で発生したとは認めていない。WHOの国際調査団には重要なデータを提供せず、調査団の報告書に多くの専門家が疑問を呈した。だが、米国の情報機関の調査によっても、新型コロナウイルスが自然発生なのか、人為的に造られたものなのか突き止めることは出来ていない。
 それどころか、中国は、コロナ禍が世界に広がる中で、この危機に乗じて自国の利益を追求してきた。南シナ海のパラセル(西沙)諸島とスプラトリー(南沙)諸島に行政区を新設した。台湾への軍事的な圧力を強め、中国と台湾の間はかつてなく緊張が高まっている。
 こうした中国の姿勢に多くの国から批判が上がっている。だが、中国共産党は、批判を無視して香港市民への弾圧を本格化した。もし中国共産党が世界を支配することになったら、香港のように、自由、民主主義、人権、法の支配といった価値は踏みにじられる。唯物論によって宗教は弾圧される。それを防ぐためには、国際的な連携の強化・拡大が求められる。
 こうしたなか2020年(令和2年)7月23日、米国トランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官は、対中政策に関して演説し、それまでのトランプ政権の政策より格段と踏み込んだ方針を示した。
 ポンペオは、1970年代に米中和解が行われた後のアメリカの対中政策は失敗だったと断じた。アメリカは、中国が経済的に豊かになれば民主化するだろうと期待していた。だが、中国は経済発展すると軍拡を進め、覇権の拡大を行なうようになった。ポンペオは「現在の中国は、国内では一層権威主義化し、国外では自由を攻撃し敵視している」と指摘し、「自由世界は新たな専制国家に打ち勝たなくてはならない」と呼びかけた。習近平国家主席については「破綻した全体主義思想」を「心から信じている」と非難した。
 ポンペオは、中国の脅威の対処という課題には「一国で立ち向かうことはできない」とし、「自由世界が中国を変えなければ、共産中国が私たちを変えてしまう」と強調した。ここで重要なことは、ポンペオが「米国は中国の人々と関係を築き、彼らに社会的な力をつけさせなくてはならない」と述べ、中国共産党と一般の中国民衆とを分け、中国の自由を求める人々との連帯を目指す方針を打ち出したことである。これは、中国の体制変更を目指していくことを意味する。そして、「中国共産党から自由を守る」ために、自由主義・民主主義の国々の新たな同盟を呼びかけた。

 次回に続く。

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