製作発表から、これほど待ったボンド映画は初めてです。
本日、満を持して封切られた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を3回見て来ました。
シリーズ第25作にして、6代目ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグの引退作となります。
上映時間2時間43分はシリーズ最長。IMAX、ドルビー・アトモス、MX4Dの3バージョンで鑑賞しました。
※ご注意。ネタバレはありませんが、映画を見てからご一読ください※
007シリーズ59年の歴史の中で、最大の衝撃作です。
【物語】
MI6を引退し、ジャマイカで暮らしていたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)のもとへ、CIAの友人フェリックス・ライター(ジェフリー・ライト)がやって来る。危険な研究をしていたロシア人科学者が何者かに誘拐され、ボンドに救助を求めてきたのだった。
科学者の姿が確認されたというキューバへ飛んだボンドは、新たな”00”ナンバーを持つノーミ(ラシャーナ・リンチ)と出会う。
…これまで6代に渡って演じられてきたジェームズ・ボンド、その最後、その勇退の姿をきっちりと描いた作品は今までにありません。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではそれが予想もしなかった形で描かれており、6代目007という歴史の一幕が意外な形で降ろされるのに、驚きと戸惑いを感じました。
同時に、ダニエル=ボンドが『007/カジノ・ロワイヤル』から見せていた、無鉄砲さと荒々しさと、どこか虚無感を感じさせるジェームズ・ボンドには、これ以上の結末はあり得なかったような気もします。映画のラストでボンドが見せる安堵の表情は、『カジノ・ロワイヤル』以降の作品には無かったものです。プロデューサーとして名も連ねるダニエル・クレイグの、執念の結実を見せてもらいました。
今回の映画には、シリーズのある過去作の影が大きく差しています。
劇中で何度も繰り返される、その過去作のテーマ曲や、エンディング・テーマからしても明らかですが、その作品というのもシリーズ中の異色作で、ジェームズ・ボンドという主人公が初めて人間らしさを見せた作品でもありました。これはキャリー・フクナガ監督の意図的な演出と見ておりますが、軽々しくやって欲しくなかったという想いと、よくぞやってくれたという喝采の気持ちが入り混じり、複雑です。
3代目ジェームズ・ボンド=ロジャー・ムーアを最も愛する身としては、6代目の見せてくれたボンド映画はどれも変化球で、戸惑うばかりでした。でも『カジノ・ロワイヤル』からの15年間、自分は間違いなくこのダニエル=ボンドと共にあったのです。
かの『女王陛下の007』が、正当な評価を得るまでに20年以上を要したように、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』もまた、長い年月がかかるのでしょう。
ひとつの時代の終焉に立ち会ったような寂しさと衝撃で、今夜は眠れそうにありません。
ダニエル・クレイグの勇退という意味で、★は最高点の★★★★★を捧げたいと思います。
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