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2020年09月03日10:11

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人種差別13〜必要なのは「警察解体」ではなく「警察の改革」

●必要なのは「警察解体」ではなく「警察の改革」

 米国各地で警察の解体・予算削減等の極端な主張が上がっている中で、6月8日ワシントン州のシアトルで、「自治区」が作られたとの報道がされた。
 経緯としては、シアトルでは、警察と抗議デモ隊がたびたび衝突し、警察が催涙スプレーなどを使用したことで抗議活動が激化した。警察は混乱を避けるため、市内の警察署を一時的に閉鎖した。警察が撤退すると、デモ隊が一帯を「自治区」と呼び、バリケードを設置するなどして占拠を続けているという展開と見られる。
 トランプ大統領は、デモ隊を「国内のテロリスト」と呼んでツイッターで非難した。インズリー州知事(民主党)らの対応を批判し、「町を今すぐ取り返せ。おまえがやらないなら俺がやる」と事態の早期収拾を要求し、連邦政府の介入も辞さない意思を表明した。これに対し、州知事は、大きな混乱はなく、平和的な解決策を期待しているとし、「ホワイトハウスからの軍事的脅迫」を許さないと大統領に反発している。
 この「自治区」はバリケードで区切られ、警察に替わって、自警団的な武装組織が作られているという。単に自然発生的なものとは思えない。いかにも社会主義的、無政府主義的な動きである。背後に、そうした思想を持つ政治団体や外国勢力があると見られる。銃社会のアメリカでは、市民の多くが日常的に武装している。自治体が「平和的な解決策」として抗議者の要求を多く受け入れる対応をすれば、警察の解体や予算削減の方向に進むだろう。それが不調に終われば銃撃戦が起こる考えられる。
 銃社会の米国で、各地の警察が機能しなくなったなら、恐るべき修羅場が出現するだろう。私は、17世紀イギリスの政治思想家トマス・ホッブスの「万人の万人に対する闘争」を思い浮かべる。ホッブスは、原始的な自然状態では、この闘争のなか、人々は生命を奪われる恐れから逃れようと、社会契約によって権利を主権者に委譲し、国家を作るという社会契約論を説き、専制君主を支持した。絶対王政の正当化である。現代で言えば、アナーキーな状況が広がってしまった場合、これを収めるために、絶対的な権力を振う者が待望され、独裁者が登場し、独裁が正当化される恐れがある。また、既に存在する他国の独裁者が覇権を拡大するために、民衆を扇動して、アナーキーな状況を生み出し、自らの権力に従う政府を樹立しようとする可能性もある。それゆえ、米国政府が抗議デモにどのように対応するか、その対応の仕方によっては、ますます面倒な事態になっていくだろう。
 現在までのところ、連邦政府の対応は、一面では治安の維持に効果を上げているようだが、反面ではかえって反発を強めてもいる。5月下旬以降、シアトルのあるワシントン州に隣接するオレゴン州のポートランドでは、警察暴力や人権侵害への抗議を機にデモが続いている。連邦政府は、同市に国土安全保障省の職員を派遣し、デモ参加者を拘束している。この治安介入に対し、市民や市当局、州政府から強い反発が起こり、デモが繰り返されている。そのデモに呼応する動きが各地に広がっている。
 そうした中で7月22日、トランプ大統領は、ウイリアム・バー司法長官とともに、暴力犯罪対策強化の「レジェンド作戦」を発表し、国内各地の暴力対策強化として、主要都市に連邦政府の法執行職員を大量に派遣すると表明した。作戦名は、6月にミズーリ州カンザスシティーの自宅で眠っていたところを撃たれて死亡した4歳のレジェンド・タリフェロちゃんの名前にちなんでいる。大統領は、野党・民主党が犯罪に弱腰だと批判し、「このところ、警察組織を解体させようとする過激な運動」が全米各地で相次ぎ、それが「銃撃、殺害、凶悪暴力事件のショッキングなほどの急増」につながったと述べた。司法長官は、「レジェンド作戦」では連邦捜査局(FBI)や連邦保安官局などの連邦機関が各地の地元捜査機関と連携して、犯罪急増に取り組む方針だと説明した。
 米国各地の大都市の市長らは、民主党出身者を中心に、トランプ政権の方針に固く抵抗している。シカゴのローリ・ライトフット市長は、CNNのニュース番組で、「われわれは連邦部隊が市内に入ることを認めない」「匿名の捜査官が路上から人々を連れ去り、人権を侵害して拘束することを、われわれは容認しない」と言明した。
 また、連邦政府の方針発表に対し、新たな抗議デモが各地で湧き起こった。7月25日シアトルで起きたデモは数千人規模に膨らみ、警察がデモ隊に催涙スプレーを浴びせるなど激しい衝突となった。デモ隊の一部が暴徒化して建設現場に放火したため、45人が逮捕された。警察官21人が負傷した。テキサス州のオースティンでは、繁華街で行われていたデモに車が突っ込み、その運転手が発砲したことで、デモ参加者の男性1人が死亡した。ポートランドでは、数千人が抗議活動を行い、連邦当局の治安要員はデモ隊に向け催涙ガスを使用した。ロサンゼルスでもデモ隊の一部と警察が衝突した。その他、ニューヨーク、ケンタッキー州ルイビル、ネブラスカ州オマハ、カリフォルニア州オークランド、バージニア州リッチモンド等でもデモが行われた。
 私は、政府が主導してアメリカにおける警察のあり方の改革や警官の再教育を行なって、多くの国民の支持を得るとともに、警察の解体・予算削減という極端で危険な措置を防ぐことが必要だと思う。なすべきことは、「警察解体」ではなく「警察の改革」である。
 なお、抗議デモから「自治区」の設置へというシアトルにおける展開は、わが国の左翼過激派やそれにつながっている諸団体ーーアイヌ系、沖縄系、在日外国人系等ーーを刺激したことだろう。日本で類似した行動が誘発される可能性がある。

 次回に続く。

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