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2020年06月20日08:50

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仏教17〜教団、十大弟子、デーヴァダッタ

●教団

 教団を意味する言葉は、サンガである。サンガは、「集団」「群れ」「共同体」「部族的な共和政体」などを意味する言葉で、そこから、「出家者の集団」「教団」を意味する。僧伽と漢訳する。
 教団は、釈迦の生前に出家者が集団をつくったことにはじまる。仏教がインドにおいてヴェーダの宗教及びヒンドゥー教と違う点の一つは、出家者の集団を作ったことだった。
ヴェーダの宗教及びヒンドゥー教は、それを信奉する社会全体が、バラモン階級を中心とした宗教的共同体となっている。仏教はそれらの宗教から離脱した修行者たちが、集団を作った。大乗仏教では、在家者を中心とする信仰が盛んになったが、この場合も出家者すなわち僧侶の集団は存続している。

●十大弟子

 釈迦には、直弟子が多数いた。その中から後世の人たちが十大弟子を選んだ。彼らは、釈迦自身が指名したものではない。キリスト教の十二使徒は、これとは違い、イエスが多くの弟子たちの中から選び、特別の伝道の使命を与えた者たちである。
 十大弟子のうち、舎利弗(しゃりほつ)は智慧第一、目犍連(もくけんれん)は神通第一、摩訶迦葉(まかかしょう)は頭陀(ずだ)第一、阿那律(あなりつ)は天眼第一、須菩提(しゅぼだい)は解空(げくう)第一、富楼那(ふるな)は説法第一、迦旃延(かせんねん)は論義第一、優婆離(うばり)は持律第一、羅睺羅(らごら)は密行第一、阿難陀は多聞(たもん)第一といわれる。
 彼らのうち、目犍連(モッガラーナ)は、バラモンに襲撃されて死んだと伝えられる。羅睺羅(ラーフラ)は、釈迦の実子である。阿難陀(アーナンダ)は、釈迦の従弟で、晩年の釈迦の身の回りの世話をした。釈迦に反逆したとされる堤婆達多(デーヴァダッタ)の兄弟である。
 
●デーヴァダッタ

 釈迦の直弟子の一人、デーヴァダッタ(提婆達多)は、釈迦に背いたとされる。釈迦生前の教団では、戒律はそれほど厳しいものではなかった。デーヴァダッタは、釈迦に対して、より厳しい戒律を提案したが、受け入れられなかったので、厳格な生活規則を定めた別の教団をつくったとされる。
 5世紀にシナからインドを訪れた法顕は、『仏国記』にて、ネパール国境近くで、デーヴァダッタ派の教団に会ったことを報告している。また、7世紀の玄奘は、『大唐西域記』に、ベンガル地方ではデーヴァダッタ派の教団が存在し、開祖の遺訓を尊び、独自の戒律を定め、釈迦を除く過去の六仏を信仰していたことを記している。釈迦を超人的な存在とせず、あくまでも偉大な指導者としていたと見られる。
 仏教教団では、後年、デーヴァダッタを釈迦に違背した大罪人とするようになった。だが、その一方、『法華経』は、提婆達多品の章に、デーヴァダッタは将来、悟りを開き、天王如来 (デーヴァラージャ) という仏になると記している。分派した教団をこのようにして復権しているところに、『法華経』の特異性がある。

 次回に続く。

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