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2020年06月11日10:13

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米・黒人暴行死事件への抗議デモ拡大2

●アンティファの活動

 6月4日、抗議デモが各地で暴動化していている問題について、ウィリアム・P・バー司法長官は「アンティファや同様の過激派集団が暴力行為を扇動し、実行した証拠がある」と発表し、「外国勢力が暴力行為を増幅させる目的で(抗議デモと治安当局の)双方をあおり立てている」「特定の勢力が敵対勢力に成りすます偽情報工作も横行している」と指摘した。
 バー長官は外国勢力の国名に言及していないが、これが共産中国であることは明白である。中国共産党は、各国の社会主義・共産主義勢力や少数民族の過激派等とつながっており、米国でも様々な工作を行っていると見られる。アンティファにも工作しているのだろう。
 アンティファの実態はよく分からないが、知り得る範囲で概要をまとめてみた。

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 アンティファ(ANTIFA)は反ファシスト(anti-fascist)の略で、「ファシストに反対する勢力」を意味をする。1930年代初頭にヒトラーが率いるナチス・ドイツの台頭に立ち向かおうとしたドイツの社会主義者らのグループに由来する。
 第2次大戦後、1960〜70年代のドイツで、ネオ・ナチズム、ネオ・ファシズムへの反対運動として現在のアンティファが起こり、米国・イギリス等へも広がった。
 アンティファには、中心組織や指導者がない。緩やかにつながりあった左派から極左までを含む様々な自主的グループの総称とされる。
 アンティファの基本思想は、ファシストが政府や社会に根を張って第2のナチスドイツを誕生させることを阻止することである。ネオナチ、ネオ・ファシズム、白人至上主義、人種差別主義等に反対する。
 米国初のアンティファのグループは、2007年にオレゴン州ポートランドで結成された Rose City Antifa (RCA)である。全米各地に200もの拠点があるが、支部として明確に認知できるのはポートランドの事務所だけだとされる。
 アンティファのイデオロギー面での代弁者は、米ダートマス大学の歴史学者で政治活動家のマーク・ブレイとされる。ブレイは、著書『アンティファ:反ファシスト・ハンドブック』でアンティファの政治理念などを説明しているという。
 米議会調査局によると、アンティファは本部や全国的な組織を持たない「分散的な、独立した急進的志向を持つグループや個人の集まり」で、大半が非暴力的であるが「自分たちの信念を広めるためならば、一部のメンバーは罪を犯すこともいとわない」という。
今週、ニューヨーク・アンティファは「われわれはファシズム、人種差別、性差別、同性愛者・トランスジェンダー嫌悪、反ユダヤ主義、イスラム嫌悪、そして偏見のない世界を信じ、闘う」とツイートしている。
 日本では、共産党系のしばき隊が、5年ほど前からアンティファを名乗るようになっていると指摘されている。アンティファのTシャツを着て、アンティファの旗を振ってデモ行進を行う。アイヌ系団体もアンティファとつながっていることを、元道議会議員の小野寺まさる氏が報告している。
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●米国と中国が非難の応酬

 中国は、ひそかに抗議デモを暴動化するよう工作するとともに、公の宣伝放送を行なっている。6月1日、中国国営中央テレビは、香港の抗議活動を擁護してきた米国の政治家が、白人警官による黒人暴行死事件を受けた抗議デモを「暴徒」と断じているとして「米国式の二重基準」だと批判した。
 これに対し、ポンペオ国務長官は6日、声明を発表し、「中国共産党体制が(黒人男性の)悲劇的な死を悪用し、人間の基本的尊厳を踏みにじる自らの権威主義的な行為を正当化しようとしている」と非難した。ポンペオは、「くだらないプロパガンダ(政治宣伝)であり、誰もだまされない」「中国では香港から天安門まで、平和的なデモ参加者が声を上げただけで武装した兵士ら棍棒で殴られる。これらを報じた記者らは長期にわたり投獄される」と批判した。これに比べ、「米国の法執行機関は不良警官を裁きにかける一方、平和的なデモを歓迎しつつ略奪や暴力は強制排除する。報道機関は全ての出来事を取材することができる」「中国と違い、米国は無法な暴動の最中でも法の支配と透明性、人権を尊重する」と述べ、基本的人権や自由を否定し続けてきた中国共産党と、暴行死事件を受けた米国の対応をさも同一であるかのような政治宣伝を展開するのは「詐欺行為だ」と断じた。
 武漢ウイルス・パンデミックで世界が大きく動揺するなか、中国共産党が香港に「国家安全法」の導入を決め、国際社会からの批判が高まっている。その一方、米国では、米国の宿痾である人種差別に反対するデモが各地に広がっている。ともに人権や自由に関する問題の現われである。米国は、「自由の国」でありながら黒人等への人種差別が存在する。中国は、共産党の支配を維持するため、人民の自由と権利を抑圧する。武漢ウイルス・パンデミックは、こうした米中二大国が内包する問題を大きく露呈させることになった。もちろんチベットやウイグル等で虐殺虐待を行っている共産中国の問題は、米国の問題より遥かに大きい。だが、中国共産党は、自らの悪逆非道を認めずに、米国への批判で逆襲している。

●自由/平等の価値対立を超える精神的向上へ

 西欧で近代化が進行する中で、自由を至上の価値とする思想が現れた。だが、自由を一元的な価値とすると、貧富の格差が広がる。そこで、自由を理念としつつ平等を考慮する思想が現れた。前者の思想は古典的自由主義であり、後者の思想は修正的自由主義である。これらに対し、平等を第一の価値とする思想があられた。それが、社会主義である。それを暴力的に実現する思想が、共産主義である。だが、平等を追及する社会では、自由が規制され、少数者が自由を独占し、多数者は不自由に置かれた。その結果、平等を追及するはずが、不平等を生み出した。現代世界において、自由を一元的な価値とする古典的自由主義の国家の代表が米国である。また、平等を第一の価値としながら、不自由と不平等を生んでいる共産主義の国家の代表が中国である。こうした自由と平等という二つの価値の力学に関係しているのが、人種差別の問題である。より正確に言えば、人種を基礎とした民族間の問題である。米国には、白人種による黒人をはじめとする有色人種への差別があり、中国には漢民族による少数民族に対する抑圧がある。
 現代世界の覇権を争う二大国における人権と自由の問題状況を改善するには、自由/平等の価値の対立を超えるものが必要である。それは、人類の道徳的な向上であり、精神的な進化である。自由の追求が不平等を生み、平等の追及が不自由と不平等を生むのは、それらの価値の追求者が利己主義に陥るからである。人類は、この利己主義という人間の悪性を乗り越えなければ、個人と個人、集団と集団、国家と国家、民族と民族における利己主義と利己主義の争いによって、自滅への道を歩み続けるだろう。
 人類の精神的な進化に関する私見については、紙製の拙稿「超宗教の時代の宗教概論」「人類を導く日本精神〜新しい文明への飛躍」(星雲社)をご参照ください。

関連掲示
・拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09i.htm
 第2章「トッド著『移民の運命』の概要と検討」、第3章「欧米の現在と将来」で米国の人種差別問題について述べている。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神〜新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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