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2020年05月19日10:49

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「カネあまり超大国」の日本はコロナ恐慌を克服できる〜田村秀男氏

 産経新聞編集委員の田村秀男氏は、歯に衣を着せずに政府・財務省・日銀を批判する反骨のエコノミストである。
 田村氏は、日本は武漢ウイルスによるコロナ恐慌を克服できるとして、健筆をふるっている。
 4月26日の「日曜経済講座」では、概略次のように書いた。
 安倍首相は4月7日緊急事態宣言に合わせて、緊急経済対策を発表した。
 「安倍首相は緊急経済対策を財務官僚主導の緊縮財政路線から離脱する跳躍台とし、政治主導で第2、第3の大胆な財政出動に踏み切り、首相自らがコロナショック勃発時に重ねて口にしていた経済のV字回復に向け、今度こそ道筋をつけるべきなのだ」
 「一人当たり10万円の現金給付、中小・零細企業への財政、金融両面からの支援などの緊急経済対策はコロナ感染爆発を止める効果を発揮しなければ意味がない。迅速に家計負担を軽くし、外で働かずに済むようにし、人と人の接触機会を8割減らすのだ。
 そして次のステップが景気の先行きを明るくする本来の意味での財政政策である。消費税率は経済が持続的な成長軌道に乗るまで、5%以下に減税する。100兆円規模の国債を発行し、教育、子育て支援、インフラ整備、医療を含む基礎研究など財源不足を理由に抑制されてきた成長分野に国家資金を投入する。さらに脱中国を本格化させるための企業支援にも使う」と。
 この記事が出た翌日の4月27日、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、「政府の緊急経済対策で国債が増発されることを踏まえ、買い入れ上限を設けずに必要な額の国債を購入する」と発言した。
 田村氏は、5月2日の「経済正解」の記事で、この黒田発言について、「米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による無制限米国債購入宣言に1か月以上遅れたとはいえ、追随自体は正しい判断だ」とし、黒田氏が「長期国債の金利をゼロ%程度で安定させるために必要なだけいくらでも買う」と述べたことを「やっと頼もしくなった」と評価している。
 黒田氏が実際にどれくらいの規模までの国債の購入を想定しているのかわからないが、田村氏は「少なく見積もっても100兆円以上の国債を今、ただちに発行しても全く問題ない」と断言する。なぜか。財務省主導の緊縮財政主義が正しいと思っている人々は理解できない点だろうが、「日本はカネあまり超大国」であり、「政府は経済対策に必要なカネを存分に国内で調達できる」からである。「黒田総裁が大見えを切れるのも世界最大規模のカネ資源が足元にあるからこそだ」と田村氏は明快に語っている。
 田村氏は、ほとんどの記事で独自に作成したグラフを掲載して、自説を論じる。
 5月2日の記事では、家計、企業(金融機関を除く)の現預金保有額、一般政府(中央、地方政府と公的年金など社会保障基金)の純債務と対外金融純資産の推移をグラフで示している(2007〜2019年)。このグラフをもとに、田村氏は「現預金合計額は一貫して政府純債務を大幅に上回っている」とし、「2019年は1288兆円で政府負債よりも590兆円多い」と指摘する。
 このことは国内で使われない多額のカネがあることを意味する。そのカネはどうなっているのか。田村氏は「『輸出』すなわち対外債権となり、19年で372兆円ある」という。「同年のGDPに比べると、現預金合計は2・32倍、政府純債務は1・25倍、対外純債権は3分の2相当だ」と説明する。
 日本は大金持ちなのである。「カネあまり超大国」と田村氏が呼ぶ所以である。
 そういわれても自分の経済生活を考えると、実感がないどころか、ウソではないかと思う人が多いだろう。
 だが、田村氏は言う。「日本がいかにすごいのかは、米国と比べてみれば分かる。米国の家計と企業の現預金合計額は16・6兆ドルでGDPの76%なのに対し、政府純債務が24兆ドル、同110%と現預金を大きく上回る。不足分のカネは対外負債に頼る。額にして20兆ドル、同92%だ」。日本は現預金が政府債務を大きく上回っている。だが、米国は政府債務が現預金を大きく上回っている。また、日本は現預金がGDPの232%もある。米国はGDPの76%しかない。日本は多額の対外純債権を持つ。逆に米国は多額の対外負債を抱えている。この米国の対外債務の多くを支えているのは、日本のカネである。
 田村氏は、こうした実態を数値とグラフで示し、「日本はカネあまり超大国」であり、「政府は経済対策に必要なカネを存分に国内で調達できる」として、安倍政権に対して、「コロナ不況の状況に合わせ、機動的に財政支出を中心とした第2弾、第3弾の追加経済対策を悠々と打てばよい」と主張している。
 同感である。実行に必要なのは、国家国民を思い、財務官僚を恐れない政治家の勇気である。

 田村氏の元記事
・「コロナショック、悲観主義を排す 首相はV字型回復の道筋示せ」2020.4.26
https://special.sankei.com/a/international/article/20200426/0001.html
・「カネ資源超大国 コロナ恐慌、克服できる日本」2020.5.2
https://special.sankei.com/a/column/article/20200502/0002.html

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