先日購入したDVD-BOX「恐怖と幻想の世界」の1編、『夢の中の恐怖』を見ました。
怪奇・ホラー映画史の本などでは必ず登場する作品。5話仕立てのオムニバス・ホラーですが、エピソードをバラバラに羅列しているのではなく、ある方向性を持って語られ、恐怖のエンディングに収束していく構成が見事です。
1945年イギリス、老舗イーリング・スタジオの作品。
白黒/スタンダード・サイズです。
※このDVD-BOXに収録の大手スタジオ作品とは異なり、社名が出るオープニング・クレジットからエンディングまで、カットされていません。
【物語】
英国の片田舎にある邸宅に、改築のために建築家が呼ばれてやって来る。
建築家は、屋敷に入った瞬間に既視感に襲われ、リビングでくつろいでいた男女にも見覚えがあった。彼は、自分が悪夢の中で見た出来事がこれから起こると予知し、刺激された男女は、それぞれの奇妙な体験談を語り始める。
(第一話)事故に遭ったレーサーが回復して退院し、直後に起きた危険から逃れることができたという予知夢の物語。
(第二話)少女が大きな家で隠れんぼをしていると、隠し部屋を見つける。中にいた少年を寝かしつけてあげるが、少年は大昔に惨殺されていた。
(第三話)骨董店で買った鏡を新妻からプレゼントされた夫。彼が鏡の前に立つと、違う部屋が映っている。
(第四話)友人と賭けゴルフをし、インチキで勝った男。死んだ友人が幽霊となって男の前に現れるが、消え方を忘れてしまった幽霊は仕方なく男に付きまとうことに。
(第五話)あまりにリアルな芸で評判の腹話術師と人形のヒューゴ。意思を持って自分から話しているようにしか見えないヒューゴが、ついに悲劇を起こす。
…H・G・ウェルズなどの原作をもとに、5人の監督がそれぞれのエピソードを演出。英国の職人監督ベイジル・ディアデンが全体を構成させたようです。
先述のとおり、それぞれのエピソードが語られるごとに恐怖が増していき(第四話だけはコメディ・タッチ)、最も怖い五話が終わると、「実は…」という恐怖のタネあかしが仕掛けられています。
戦時中〜戦後期の映画なので、この後のハマー・フイルムやAIP作品のような怖さはありませんが、ちゃんとヒネリが効います。上質の短編ホラー小説を読んだような感じに。
知っている俳優が少ない中、名優マイケル・レッドグレーブが最終話の腹話術師を演じていたのと、4話に登場する幽霊と友人のコンビを、ヒッチコックの『バルカン超特急』の可笑しな2人組が演じていたのが印象的です。
ユニヴァーサルから正規品DVDが出ていたようですが、廃盤の模様。
この映画と先述の『大鴉』だけでもこのBOXを買った価値がありました。
★★★★。
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