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2020年02月01日09:28

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日本の海の危機を認識し、領土・領海の教育を〜山田吉彦氏

 東海大学教授・山田吉彦氏は、海洋に関する専門家として、日本の海や離島の防衛を訴えている。産経新聞令和元年12月11日の記事では、海洋安全保障の観点から、領土・領海教育の必要性を説いている。
 わが国は、四方を海に囲まれている海洋国家である。だが、山田氏は、多くの国民は、現在の日本の海の危機的な状況を知らないと指摘する。マスコミの多くが隣国との表面だけの関係に惑わされ事実を伝えていないからである。
 山田氏は「日本海で行われている北朝鮮、韓国、中国の不法操業は、最悪の状況に達し、日本海沿岸の漁師たちの生活が崩壊しつつある」「日本の排他的経済水域に侵入してくる外国漁船は増え続け大型化し、日本の海域から水産物を奪い尽くしてしまう勢いだ」という。また「今年、尖閣諸島周辺の接続水域内に進入した中国公船の数は、11月末時点で年間998隻と過去最多を記録している」「状況は改善どころか悪化の一途をたどっているのだ」と指摘する。そして、「国民が現実に目を向け、政府に海を守る体制のさらなる整備を求め施策を後押ししなければ、日本人の生活が侵蝕され続けることになる」と警告する。
 そこで、必要なのが、「国による海洋安全保障に関する情報提供」である。海洋安全保障は、「海洋国家日本の根幹」であり、「海洋立国を目指すなら、国民に対する海に関する情報提供、海に関する教育が不可欠なのだ」と山田氏は言う。
 令和2年度から適用される新学習指導要領では、国民の領土・領海についての教育の充実が盛り込まれ、尖閣諸島および竹島が、ようやく日本固有の領土と明記されることとなった。「子供たちに領土・領海の重要性を教える準備は整いつつある」と山田氏は言う。だが、「大人たちの日本の海を取り巻く危機的な現状の認識や理解が薄ければ、その教育も進まない」と指摘する。
 マスコミの多くは北朝鮮、韓国、中国に配慮して、日本の海洋の危機を国民に伝えていない。大人が現状をとらえ、危機意識を持つには、政府が積極的に海洋安全保障に関する情報を国民に提供することが必要である。山田氏は、「特に海洋安全保障に係る周知活動は早急に進める必要がある」と主張している。
 山田氏は、これまで領土・領海を守る意義として「主権を守るため」ということのみが強調されてきたが、「なぜ主権を守らなければいけないのかが語られることは少ない」と指摘し、「国民が主権の重要性を知るためには、教育の場において、主権の意義について考える機会をつくる時間が求められる」と主張している。
 私見を述べると、日本人は国家の主権を守るという独立主権国家の国民として当然持つべき主権の意識を取り戻す必要がある。大人が主権を守ることの重要性をしっかり理解していなければ、子供にそれを教えることが出来ない。教科書に尖閣諸島および竹島は日本固有の領土と明記すれば、それだけで子供に領土・領海の教育ができるのではない。領土・領海の教育を効果あるものとするには、主権を守ることの重要性を教えられる教師を育てなければならない。また親が子供に国防を語ることのできる親になることが必要である。
 以下は、山田氏の記事の全文。

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●産経新聞 令和元年12月11日

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20191211/0001.html
危機認識し領土・領海の教育を 東海大学教授・山田吉彦
2019.12.11

 日本海で行われている北朝鮮、韓国、中国の不法操業は、最悪の状況に達し、日本海沿岸の漁師たちの生活が崩壊しつつある。日本海の好漁場・大和堆(やまとたい)を不法操業の外国船に占領された能登半島小木港のイカ釣り船団の水揚げは昨年の30%程度にとどまってしまった。廃船、廃業を真剣に考える漁師が出始めた。漁師たちは長く寒い冬を迎えなければならない。

≪国民は海の現状知らない≫
 全漁連、全国いか釣り漁業協会、石川県漁業協同組合などは、農林水産省、海上保安庁、外務省などに対策の実施を陳情しているが成果は見られない。海上保安庁、水産庁は取り締まりを強化しているが、日本の排他的経済水域に侵入してくる外国漁船は増え続け大型化し、日本の海域から水産物を奪い尽くしてしまう勢いだ。
 東シナ海情勢も悪化の一途をたどっている。今年、尖閣諸島周辺の接続水域内に進入した中国公船の数は、11月末時点で年間998隻と過去最多を記録している。
 海上保安庁は、能力を最大に使い、東シナ海、日本海ともに警備にあたっているが、押し寄せる脅威は、その能力をはるかに超えている。状況は改善どころか悪化の一途をたどっているのだ。多くの国民はこの日本の海の危機的な状況を知らない。マスコミの多くは隣国との表面だけの関係に惑わされ事実を伝えていない。国民が現実に目を向け、政府に海を守る体制のさらなる整備を求め施策を後押ししなければ、日本人の生活が侵蝕(しんしょく)され続けることになる。
 まずは、国による海洋安全保障に関する情報提供が必要である。
 政府は海洋立国として海を考え海を守るために平成19年、超党派による議員立法により、海洋基本法を制定した。この海洋基本法では、国連海洋法条約をはじめとした国際的な約束に基づき、国際協調の下に海洋開発・利用と海洋環境保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することを目指した。

≪発信力と一層の情報提供を≫
 海洋基本法では、5年ごとに海洋基本計画を策定することを定めている。平成30年に安倍晋三首相のもとで策定された第3期海洋基本計画では、「新たな海洋立国への挑戦」を政策の方向性として、海洋の産業利用の促進、海洋環境の維持保全、国際連携・国際協力、海洋人材の育成と国民の理解増進などに関する施策を推進することとした。この基本計画を支えるものとして「総合的な海洋の安全保障」を掲げている。海洋安全保障こそが、海洋国家日本の根幹なのである。
 政府は、海洋基本法施行後10年間の総括の中で、海洋政策を国民に広く知ってもらうための発信力に改善の余地があることを指摘した。特に海洋安全保障に係る周知活動は早急に進める必要がある。海洋立国を目指すなら、国民に対する海に関する情報提供、海に関する教育が不可欠なのだ。
 令和2年度から適用される新学習指導要領では、国民の領土・領海についての教育の充実が盛り込まれ、尖閣諸島(沖縄県)および竹島(島根県)が日本固有の領土と明記されることとなった。今まで教育の場において領土・領海について触れずに、独立国家として尊厳を損なっていたことに反省すべきであるが、この機会に多くの国民が領土・領海の意味を知り、その重要性に対する理解が進むことを期待する。
 新学習指導要領の実施にあたり内閣官房領土・主権対策企画調整室は、10月下旬に各都道府県の教育指導担当者を集め、「領土・主権に関する教員等セミナー」を開催した。このセミナーでは領土・領海の重要性を伝え、なぜ尖閣諸島や竹島の領有権を主張することが必要かを考えるとともに、北方四島の返還運動を進める意義について再確認した。

≪国民生活守る海上安全保障≫
 これまで、領土・領海を守る意義は「主権を守るため」ということのみが強調されてきた。当然、国家の主権を守ることは重要である。しかし、なぜ主権を守らなければいけないのかが語られることは少ない。国民が主権の重要性を知るためには、教育の場において、主権の意義について考える機会をつくる時間が求められる。
 主権とは、他国の意思に支配されない国家の統治権であり、独立性を持ち国の政治の在り方を決める権利である。わが国において、その最終的な権利者は国民であり、主権を守るということは国民の意思を全うできる政治体制を国家がつくることである。また、視点を変えると他国の脅威から国家の平和と国民の生活の安全を守り、国家を繁栄させるために主権を守る必要があるのだ。
 子供たちに領土・領海の重要性を教える準備は整いつつある。大人たちの日本の海を取り巻く危機的な現状の認識や理解が薄ければ、その教育も進まない。
 国民の生活を守る海洋安全保障の充実のためには、抑止効果としての自衛隊の活用や不当な隣国の行為に対し「抗議」だけではなく国際社会も巻き込むような外交力の発揮が求められる。(やまだ よしひこ)
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