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2019年12月06日14:38

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優しさの裏にある厳しい事実 『高津川』

錦織良成監督の新作映画『高津川』を見て来ました。
監督の地元であり、ロケ地でもある中国地方での先行ロードショーです。


【物語】
島根県を流れる一級河川・高津川。
上流にダムが1つもなく、清流日本一と言われるこの川の流域で牧場を営む学(甲本雅裕)。
妻を亡くし、老いた母や高校生の息子と暮らす学は、地域の伝統である石見神楽に打ち込むも、神楽を継承させたい息子とは相容れないでいた。
高津川の上流に開発計画が持ち上がり、何とかしたい学と同級生たちは、帰省してきた弁護士の友人に相談を持ちかける。


…同監督の前作『たたら侍』は不遇な映画で、出演者の不祥事によって興行まで不遇なままに終わりましたが、今回は非常に良作でした。これは良い映画です。

清流の流域に暮らす人びとの穏やかな生活を描いているようで、その裏にある極度の少子高齢化、人口減少、自然や伝統の消失を、しっかり語っています。

主演の甲本雅裕はバイプレーヤーとして知られていますが、映画の主演はこれが初めて。
下積みや舞台や経験のある役者は違う。頑固で寡黙だけれど情に厚い父親役を好演しています。

甲本演じる学が、地元の老人と交わす会話がいい。

子どもを大学にやるのに必死に働いてきた老人が、高津川のほとりで想いを静かに語ると、聞いていた学が感極まり、絞り出すような声で「おっちゃん頑張ってきたんじゃなあ」って言う。

地域出身だからこそ地域を知る監督の、自身による脚本には、地元の者だけが知る重みが込められていて、それが単なる郷愁に終わらず、現実を見つめていることに気づかされます。

デジタル画質の艶やかさがなく、フイルムの粒子が感じられる粗めの映像も良かった。

★★★★。
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