●シナ人キリスト教徒の活躍〜宋一族と孫文
シナで清朝末期から中華民国及びそれ以降の時代にかけて活躍し、巨大な富と権力を握った一族が、宋一族である。一族の祖・宋耀如は、チャーリー宋、宋嘉樹ともいう。１８６３年生まれの客家人で、９歳で単身渡米し、身を寄せた教会で名前を米国風に改めた。神学大学を卒業後、メソディストの牧師として福音を伝えるため、シナに帰国した。上海で聖書の印刷・出版をして巨万の富をなし、実業家に転じて、シナ四大財閥のトップに上り詰めた。また、シナの革命運動に関心を持ち、孫文の辛亥革命を助けた。
宋財閥は買弁資本だった。背後には、アヘン戦争以後、シナで活発に事業を行うロスチャイルド系のユダヤ財閥があった。宋耀如はキリスト教徒であるだけでなく、フリーメイソンの会員でもあった。フリーメイソンは、イギリスでは上流階級の社交クラブのようになっており、国王が代々名誉会長を務めていた。英米のフリーメイソンは、プロテスタントと親和的である。宋耀如は、メイソンの人脈からも英米等の資本家や指導階層とつながっていた。宋一族の裏では、フリーメイソンの力が働いていたと見られる。
宋耀如は、宋家三姉妹として有名な宋靄齢、宋慶齢、宋美齢の三人と長男・宋子文らの三男三女を育てた。子供たちに英語教育をし、米国留学をさせ、国際人としての教育を施した。その息子娘たちがシナの政財界で活躍し、一族は宋王朝と呼ばれるほどの繁栄を誇った。
宋家を継いだ長男の宋子文は、次女・慶齢の弟になる。中華民国時代に政財界で辣腕を振るい、国民党の財務担当を務めた。父と同じくフリーメイソンだった。
長女の宋靄齢は、孔子直系の子孫・第７２代の孔家の当主・孔祥煕の妻となった。孔祥煕は山西財閥の大物で、蒋介石の内政に腕を振るった。
次女の宋慶齢は、幼少からの英語教育、キリスト教教育、米国留学によって、英語に堪能だった。その国際的な能力と知識を生かして活躍した。シナ近代化の指導者・孫文の秘書となり、孫文の前妻・廬夫人を追い落として、妻の座を獲得した。だが、そのために父の怒りを買い、親子関係を断絶されてしまった。しかし、後年、孫文の後継者・蒋介石が台湾に赴くと、これに対峙する中華人民共和国の国家副主席として、孫文の遺光を放った。夫の孫文がメイソンで蒋介石・宋美齢夫妻もメイソンだったので、宋慶齢もメイソンまたはそのシンパと見られる。
三女の宋美齢は、蒋介石の４番目の妻になった。蒋介石がフリーメイソンに加入したのは彼女と結婚した後、またおそらく米国在住の時と推察される。宋美齢は、親中反日のフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領と親しかった。また、ＦＤＲの妻・エレノアは、宋美齢を可愛がり、米国各地に連れて回って講演をさせた。宋美齢は巧みな英語で反日的な訴えをし、米国民の親中反日感情を掻き立てた。第２次大戦後は、米国と台湾を往復し、中華民国総裁の妻として米国政界に大きな影響力を及ぼした。蒋介石の死後、長男の蒋経国との権力争いに敗れ、米国で隠居生活を送った。
次女・宋慶齢を妻にした孫文は、シナ革命運動の指導者で、中華民国の創始者であり、国父と称される。宋曜如より３歳若く、１２歳の時にハワイの長兄のもとへ行き、キリスト教の教会学校で近代西洋教育を受け、英国国教会（聖公会）の洗礼を受けた。帰国後、医学を学んで医者をしていたが、革命思想を抱き、革命運動に専心するようになった。日本亡命中は、頭山満らの支援を受けた。辛亥革命の成功後、中華民国臨時大総統、国民党総理となり、近代シナの基礎を築き上げた。
孫文は、フリーメイソンだった。彼がメイソンに加入したのは、もともと聖公会の信者だったことと関係があると見られる。メイソン加入の時期は１０代か２０代の若いころで、メイソンの人脈から英米等の資本家や指導階層の支援を受けたものと見られる。
孫文も宋曜如・宋美齢らとともに、客家人だった。客家人は、太平天国の乱を起こした民族集団であり、また秘密結社として洪門会（紅幇 ホンパン）を結成して、孫文を支援した。中国共産党の有力者にも、��小平、朱徳、葉剣英、李鵬など客家人が多く、シナ共産革命では、��小平を通じて客家人の支持・参加が大きな役割をした。
●共産中国におけるキリスト教
シナ大陸では、１９４９年に中華人民共和国が建国された。共産中国では、共産主義によって、宗教活動への制限や監視が行われている。その規制のもとでも、宗教者は存在する。
「世界宗教文化」２０１４年版によると、２０１２年の調査で、伝統崇拝、道教または無宗教 が８７．４％、 仏教 が６．２％、キリスト教が２．３％、イスラーム教が１．７％などとなっている。
中国共産党は、外国の勢力の影響を受けた宗教団体の存在を認めていない。キリスト教に対しては、政府主導によって教会を組織し、これを三自愛国教会という。外国人の聖職者は国内から退去させ、彼らが中国内で活動できないようにしている。また、政府が公認しない教会は政府の登録を受けられない地下教会となっている。
中国では、近年、宗教への入信が禁止されている共産党員の間に、キリスト教徒が増えていると伝えられる。宗教者の増加は、政権の基盤を不安定にするからである。この状況を警戒する習政権は、キリスト教への規制を強めている。
詳しくは、共産主義とキリスト教の項目に書く。
次回に続く。
ログインしてコメントを確認・投稿する