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2018年08月12日09:24

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習主席の独裁への反発・批判が高まる

 中国では、昨年10月の中国共産党19回全国代表大会の開催以来、習近平国家主席の個人崇拝・神格化の動きが目立つようになった。本年1月に行われた中国共産党の第19期中央委員会第2回総会(2中総会)では、先の党大会で習主席が打ち出した理念「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を憲法に盛り込む改正案が承認され、3月に開かれた第13期全国人民代表大会(全人代=国会)で採決された。これによって、習主席兼総書記の権威は一層高まり、個人独裁体制の確立が進むと見られた。
 この点について、私は本年2月に下記の記事を書いた
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/a7cd9d838a9e3c57aa42be2cfecdd4fe
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/8831cf0ceed41a6ec1f3ecb2a3be0e83

 このまま、習主席の個人独裁と神格化がエスカレートするかと思われたが、最近、この動きに対する反発が起こり、さらに強まっている模様である。本年7月中旬に各種の報道記事が次のようなことを伝えた。

・6月から屋内外の習氏の写真やポスターを即刻撤去するよう警察が指示したとする文書がインターネット上で拡散した。
・7月初めには、ある女性が上海市内で「独裁、暴政に反対する」と叫びながら、習氏の写真に墨汁をかける動画が公開された。
・これに続いて、習主席の肖像画が印刷されたポスターに墨汁や黒インクをかける運動が北京や上海を中心に全土に拡大している。
・中国共産党中央弁公庁は、地方の党機関に対して、街頭や建物内にある習氏の肖像画入りのポスターや掲示板、宣伝塔、彫像などを撤去する指示を出した。
・党中央の指示により、各党機関のホームページ上の「習近平思想を学ぶ」などの政治宣伝コーナーも消去した。
・陝西省の政府系研究機関、社会科学院で、習氏の思想・業績を研究するプロジェクトが突然中止された。
・習近平指導部は習氏の個人礼賛キャンペーンを停止している。
・習氏の故郷、陝西省などで予定されていた習近平思想討論会などのイベント中止を発表した。
・北京や上海などの街中の歩道橋などに掲げられた「中国の夢」「偉大なる復興」といった習語録の横断幕も外され始めた。
・習氏の政治路線と距離を置く李克強首相の存在感がにわかに高まった。
・党機関紙、人民日報には、最近1面の見出しの中に習主席のの名前が含まれていない日がある。
・中国国営通信の新華社(電子版)も党中央党校が発行する「学習時報」を引用するかたちで、毛沢東の後継者として党主席に就任した故華国鋒氏が個人崇拝を進めたとして党内で批判を受けた経緯を詳述する記事を伝えている。
・7月初め、江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家宝各氏ら複数の党長老が連名で党中央に経済、外交政策の見直しを求める書簡を出した。書簡は、「党内はいま、個人崇拝や左派的急進主義などの問題があり、早急に改める必要がある」と強く警告した。
・8月上旬に始まる中国共産党の重要会議「北戴河(ほくたいが)会議」で習指導部への批判が集中する可能性がある。

 習独裁への批判が起った最大の原因は、3月に勃発した米中貿易戦争の影響である。中国共産党支配の正統性は好調な経済に支えられてきたが、トランプ政権の攻勢に対して、習主席は効果的な手を打てず、沿海部の多くの工場が生産停止に追い込まれ、株価も暴落した。米中貿易戦争を止めなければ中国の経済が破綻するという危機感が共産党内に広がり、習政権への批判が上がっているものと見られる。これが「習おろし」にまで進むのか、逆に政権によって抑え込まれるのか、注目される。
 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成30年7月16日

https://www.sankei.com/world/news/180716/wor1807160051-n1.html
2018.7.16 23:33更新
習近平体制に“異変”あり 個人崇拝を抑制 北戴河会議で突き上げも

【北京=藤本欣也】中国の習近平体制をめぐり“異変”が起きている。国家主席の任期を撤廃し長期政権を可能にした今春以降、加速していた個人崇拝の動きに歯止めがかかった。2012年に発足してから最大の失点と目される貿易問題の影響が及んだ形だ。8月上旬にも始まる中国共産党の重要会議「北戴河(ほくたいが)会議」で習指導部への批判が集中する可能性もある。
 習国家主席(党総書記)は3月の全国人民代表大会(国会に相当)で国家主席の任期を撤廃、23年以降の続投に道を開いた。
 以後、党規約や憲法に明記された習氏の政治思想は全国の学校や職場での学習が推進され、習氏の著作はベストセラーに。「習主席語録」も一部で出回るなど建国の父、毛沢東以来の個人崇拝が広がっている。
 こうした中、先週、屋内外の習氏の写真やポスターを即刻撤去するよう警察が指示したとする文書がインターネット上で拡散した。今月初めには、ある女性が上海市内で「独裁、暴政に反対する」と叫びながら、習氏の写真に墨汁をかける動画が公開されている。
 また、陝西(せんせい)省の政府系研究機関、社会科学院でこのほど、習氏の思想・業績を研究するプロジェクトが突然中止された。同様のケースが相次いでいるという。
 党機関紙、人民日報の“変調”も指摘されている。最近、1面の見出しの中に習氏の名前が含まれていない日がたまにあることに、香港メディアが注目。「単なる偶然ではない」と背景に関心を寄せている。
 香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、「中国共産党支配の正統性は好調な経済に支えられてきた。貿易戦争で経済危機が起これば、その正統性は確実に揺らぐ」とする上海の政治学者のコメントを引用し、米中貿易摩擦で効果的な手を打てない習氏は「体制発足後最大の試練を迎えた」とみる。
 党内には、文化大革命の悲劇を繰り返さないために封印した個人崇拝の復活を苦々しく思う派閥もある。江沢民(こう・たくみん)元国家主席や胡錦濤(こ・きんとう)前国家主席のグループだ。一連の“異変”は批判を避けるための習派の防衛策か、反習派の反撃か。さまざまな臆測を呼んでいる。
 8月には、党最高指導部や長老らが出席し人事・政策を調整する恒例の北戴河会議が開かれる。すでに長老らが習氏の個人崇拝などを批判する書簡を党に提出したとの噂も流れている。

●ビジネス・ジャーナル 平成30年7月18日

2018.07.18
http://biz-journal.jp/2018/07/post_24109.html
「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」
中国、習近平の顔写真ポスターに墨汁かける運動拡大…人民の不満爆発、独裁体制に危機
文=相馬勝/ジャーナリスト

 中国では今月に入って、習近平国家主席の肖像画が印刷されたポスターに墨汁や黒インクをかける運動が北京や上海を中心に全土に拡大しており、中国共産党中央弁公庁は最近、地方の党機関に対して、街頭や建物内にある習氏の肖像画入りのポスターや掲示板、宣伝塔、彫像などを撤去する指示を出していたことがわかった。
 習近平指導部が国家主席などの任期を撤廃したり、習氏を批判する人権活動家や弁護士らを多数逮捕するなど独裁体制の強まりに反発する声が多くなっているためで、指導部は習氏の個人礼賛キャンペーンを停止するなどの措置をとっており、今春以降、加速していた個人崇拝の動きに歯止めがかかったかたちだ。
 また、2012年に現指導部が発足してから最大の失点と目される米中貿易問題の影響もあるとみられ、7月下旬からの中国共産党の重要会議「北戴河会議」で習指導部への批判が集中する可能性もある。

共産党も警戒
 習氏の肖像画に墨汁などをかける運動が広がったきっかけは、上海在住の董瑶琼さん(29歳=女性)が今月4日早朝、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に生配信したパフォーマンスだった。董さんは「私は習近平とその独裁主義に反対です」と言うと、背後にある街頭の習氏の肖像画入りポスターに墨汁をかけたのだ。その動画はウェイボー上でシェアされ、瞬く間にインターネット上で拡散した。
 董さんは昨年、北京の強制移住に関するドキュメンタリー制作で投獄された経験を持つだけに、董さんの身の安否を心配した読者らは「たくさんの人があなたのことを考えて、心配しています。僕はそのたった1人にすぎません」と董に呼びかけた。「もし、国が豊かさと中国の夢を求めるならば、寛容と容赦の心が必要だ。習近平が罰金と謝罪文くらいで許すのを国民は望んでいるはずだ」と訴えた。
 しかし、董さんは同日午後2時過ぎ、ウェイボー上で「自宅のドアの外に制服姿の警官数人がいます」などと報告したあと、音信を断った。その後、ウェイボー上での董さんの投稿自体が削除され、董さんの電話番号も使われていない状態になったという。
 ネット上では「中国は人民のもの。共産党のものではない!」「共産党の暴政は許せない。習近平、董さんを解放せよ。言論の自由は犯罪ではない」などとの書き込みが相次いだ。その後、「インクをかけるのは董さん1人ではない。団結をみせる」などの声が寄せられ、中国各地で習氏のポスターに墨汁やインクがかけられる行為が相次いだ。
 党中央は地方の党機関に習氏のポスターの撤去を指示。各党機関のホームページ上の「習近平思想を学ぶ」などの政治宣伝コーナーも消去したほか、習氏の故郷、陝西省などで予定されていた習近平思想討論会などのイベント中止も発表した。

習派と党長老グループが激突の可能性も
 北京の外交筋は「習近平指導部による人権弾圧や党・国家指導者の任期撤廃、習氏の個人礼賛キャンペーンは知識人を中心に不満の声が高まっているのに加え、習氏の民意無視の姿勢が習近平批判を全国的に拡大させたといえよう」と指摘している。
 党機関紙「人民日報」にも変化の兆しが表れている。最近、1面の見出しの中に習氏の名前が含まれていないこともあるほか、中国国営通信の新華社(電子版)も党中央党校が発行する「学習時報」を引用するかたちで、毛沢東の後継者として党主席に就任した故華国鋒氏が個人崇拝を進めたとして党内で批判を受けた経緯を詳述する記事を伝えている。
 その記事のタイトルは『華国鋒は誤りを認めた』というもので、党が1980年に「今後20〜30年、現職指導者の肖像は飾らない」と決定したことにも触れており、個人崇拝を進める習氏を暗に批判しているのは間違いない。
 米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」によると、党長老の江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家宝の各氏らが連名で党中央に経済、外交政策の見直しを求める書簡を送付して、「党内はいま、個人崇拝や左派的急進主義などの問題があり、早急に改める必要がある」と強く警告したという。
 中国では今月末から8月中旬にかけて、河北省の避暑地、北戴河で、党長老と現役の最高指導部が参加する北戴河会議が行われるが、この場で、習派と党長老グループが個人崇拝をめぐって激突することも考えられる。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

●産経新聞 平成30年7月18日

http://www.sankei.com/premium/news/180718/prm1807180005-n1.html
2018.7.18 08:00更新

【矢板明夫の中国点描】
「習近平降ろし」がついに始まった 40年前の失脚劇と類似…

 「40年前の華国鋒(か・こくほう)失脚前の雰囲気と似てきた」。国際電話の向こうから共産党古参幹部の興奮気味の声が聞こえた。「党内で習近平降ろしの動きが始まった。8月の北戴河(ほくたいが)会議が楽しみだ」
 この古参幹部は共産党の下部組織、共産主義青年団の出身で、胡錦濤(こ・きんとう)前国家主席の周辺に近いとされる。10年以上前に定年退職したが、最近まで、現役時代の担当部署の帳簿を繰り返し調べられるなど、習派からさまざまな嫌がらせを受けているという。
 中国で“習近平独裁体制”に7月から異変が起きている。共産党機関紙の人民日報などの官製メディアの1面から習近平国家主席の名前が消える日が増えた。北京や上海などの街中の歩道橋などに掲げられた「中国の夢」「偉大なる復興」といった習語録の横断幕も外され始めた。
 何よりも目立ったのは、習氏の政治路線と距離を置く李克強(り・こくきょう)首相の存在感がにわかに高まったことだ。李氏が7月上旬、訪問先のドイツでメルケル首相と会談した直後に、ノーベル平和賞受賞者、故劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏の妻で、中国当局に長年軟禁された劉霞(りゅう・か)氏のドイツへの出国が認められた。このことはさまざまな臆測を呼んでいる。
 共産党一党独裁体制を強化したい習氏は、一貫して民主化運動や人権活動家に対して厳しい姿勢を取っており「劉霞氏の出国を認めない」というのが習氏の方針だったとされる。今回、李氏の主導で劉霞氏の出国が実現したことは、習氏の党中央における絶対的な地位が揺らぎ始めたことを意味すると解釈する党関係者もいる。
 3月に勃発した米中貿易戦争は、中国の経済に深刻な打撃を与えた。沿海部の多くの工場が生産停止に追い込まれ、株価も暴落した。習氏は自らの側近、劉(りゅう)鶴(かく)副首相を責任者にして、米国側との交渉を重ねたが、失敗を繰り返した。「米中貿易戦争を止めなければ中国の経済が破綻する」といった危機感が共産党内に広がり、習政権の民族主義をあおる外洋拡張路線などが米中貿易戦争を招いたとの声も出始めた。
 党関係者によれば、7月初め、江沢民、胡錦濤、朱鎔基(しゅ・ようき)、温家宝各氏ら複数の党長老が連名で党中央に経済、外交政策の見直しを求める書簡を出した。書簡は、習指導部のここ数年の実績を評価しつつも、「党内はいま、個人崇拝や左派的急進主義などの問題があり、早急に改める必要がある」としている。
 1976年10月、毛沢東の後継者として中国の最高指導者の地位に就いた華国鋒は、自らに対する個人崇拝の提唱や独断的な経済政策を推進したため、当時の党内の実力者、●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)ら長老派と対立した。78年末に開かれた党の中央総会で華が推進する政策が実質的に否定されたあと、影響力が低下し始めた。華はその後も党内から批判され続け、側近が次々と失脚するなか、約3年後に自らが辞任する形で政治の表舞台から去った。
 今年7月末から8月中旬にかけて、河北省の避暑地、北戴河で党長老も参加する党の重要会議がある。習派と反習派が激しく衝突する可能性がある。
 ただ、冒頭の古参幹部は「78年当時と違って、いまの党内の反対派の中に、●(=登におおざと)小平のような軍内でも影響力がある大物政治家がいないことは残念だ」と語り、「習近平降ろし」が成功するかどうかについて不安を抱いているようだ。
(外信部次長)
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