ドン・シーゲル監督の初期作品がまとめて廉価版BDで出ました。
いずれも日本語吹替音声入りという嬉しい3枚です。
渋い男の世界をたっぷり堪能です。
●『殺人者たち』 (1964米)
TV用に製作されながらも、過激なバイオレンス描写のため放送できず、劇場公開されたという曰くつきの作品。
現金輸送車から強奪した大金を、組織を裏切って持ち逃げした男(ジョン・カサヴェテス)。
男を殺す仕事を引き受けた殺し屋チャーリー(リー・マーヴィン)。事件の裏で暗躍する女(アンジー・ディッキンソン)。
迫力不足の悪玉=ロナルド・レーガンを補って余りある、リー・マーヴィンの渋さと生き様。最高です。女でも障害者でも平気で脅す冷血漢ながら、「おれはもう年だ」と言って若い相棒にステーキをゆずる(そのあとやっぱり平らげるけど)弱さも見せる。
そのリー・マーヴィンのラストシーンは白眉です。★★★。
BDにはトリミング前の4:3バージョンとビスタ・サイズ版を両方収録。画質最高。
●『刑事マディガン』 (1968米)
殺人犯に拳銃を奪われたベテラン刑事マディガン(リチャード・ウィドマーク)の必至の捜査と、問題を抱えて苦悩しつつも正義の道を歩む市警本部長(ヘンリー・フォンダ)の思いが、ラストで交錯する刑事ドラマ。
先日見た市川崑の『幸福』同様、物語の半分近くを刑事の日常生活の描写に割いているのがユニーク。60年代アメリカの刑事の生活を垣間見るというのも面白いです。
リチャード・ウィドマークにヘンリー・フォンダですよ。むろん最高のキャスト。★★★。
シネマスコープの大画面に、夜のニューヨークのネオンがキラめく映像に痺れます。
●『突破口!』 (1973米)
作品の内容については比較的最近レビューしたので控えますが、目下のところ、ドン・シーゲル監督の最高傑作と思ってます(『ダーティ・ハリー』を差し置いて…)。
これはもう、ウォルター・マッソーを見る映画。マフィアをも手玉にとってカネをつかみ取る、爽快感あふれるラストは忘れられないです。
初見のBSプレミアム放送版よりも、映像の粒子の密度が濃い逸品。
…とここまできて、『刑事マディガン』から思いついた、黒澤明の『野良犬』のDVDを引っ張り出しました。
●『野良犬』 (1949年新東宝)
このDVD、10年近く前に買って放置していたディスクで、韓国のメーカーから出た韓国語字幕版という珍品(字幕のon/offはできる)。ノーカット・ノートリミングですが、同じメーカーから出た『七人の侍』の韓国版の画質と音質が劣悪だったので、躊躇していたディスクでした(作品自体はもちろん傑作)。
案の定、画質も音質も酷い(笑)。
とくに音声は割れまくりで、セリフを聞き取るのも困難です。
それでもやっぱり面白いのと、若き三船敏郎×志村喬の好対照が好きなので、品質の悪さを忘れて没頭しました。
ホームセンターのワゴンセールで、1000円ぐらいで買った珍品を思い出したのでした。
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