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2018年06月21日09:30

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改憲論27〜護憲派の主張の誤り(続き)

11.護憲派の主張の誤り(続き)

 次に、護憲派の主張に関連することを、補足として3点述べる。

 第一に、憲法改正反対派の中には、「安倍政権における改憲に反対」という主張がある。安倍政権でなければ改憲に賛成するのかわからないが、憲法改正はどの政権ならよく、どの政権ならダメというような課題ではない。国家の根本的なあり方に関する課題だからである。反安倍派は、安倍政権への不信感を駆り立て、政権の支持率を下げ、それによって憲法改正を阻止しようとしているのである。憲法改正という重大な課題を、政局の問題にし、政党間の闘争に使っているものであり、立法府のあるべき姿から大きく外れている。

 第二に、自衛隊を支持する人々の中には、自衛隊が軍隊になると暴走するのではないかという不安の声がある。わが国では、戦前軍部が暴走し、政治家を暗殺したり、政府の命令を受けずに行動したりして、不幸な戦争に突入した歴史がある。それゆえ、こうした不安を持つ人は少なくないだろう。しかし、軍隊を持てば軍隊が暴走するのであれば、世界中の国々がそうなっているだろう。先進的な民主国家である米国、英国、フランス等の国ではそういうことは起っていない。民主主義が発達している国では、シビリアン・コントロール(文民統制)が行われ、政府が軍隊を統制している。戦前、わが国が軍事同盟を結ぶ枢軸国だったドイツ、イタリアは敗戦後も軍隊を持っているが、軍隊の暴走は起っていない。軍隊が暴走するのは、民主主義が発達していない国や、独裁者のいる国、全体主義の国である。
 戦前のわが国では、天皇が軍隊の統帥権を持っていたことを理由にして、軍部が政治の介入に反発した。また憲法に内閣総理大臣の記載がなく、政府の中心が不明確だった。そのため、軍部の暴走を招いてしまった。戦後のわが国では、シビリアン・コントロールが憲法に定められており、憲法改正の際には、これをさらに明確に定めることで、政府による統制をよりしっかりとしたものにできる。また、国民が政治に関心を持ち、日本の平和と繁栄を維持できるような政治が行われるように選挙等で自らの意思を示し、民主主義がより良く機能するように努力することが必要である。
 
 第三に、現行憲法が改正されぬままの状態で、他国の侵攻を受けた場合、武力行使と交戦権の行使ができるのかという問題についてである。護憲派は、こういう事態において、どうやって国民の生命と財産、国家の主権と独立を守るかを、まともに考えていない。また、国民に考えさせないようにしている。
 他国の侵攻を受けた場合、わが国は自衛権を行使して、武力行使することができる。他国の侵攻を受けた場合、内閣総理大臣は自衛隊に防衛出動を命じる。ただし、武力行使は「我が国に対する武力攻撃が発生」し、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」と判断された存立危機事態に限る。存立危機事態と認定すれば、内閣総理大臣は自衛隊に武力行使を命令する。
 次に、武力行使以外の交戦権についてはどうか。交戦権は、国家が交戦国として国際法上有する権利であり、戦争の際に行使し得る権利である。その権利の中に、武力行使を含む。同時に交戦権は、敵国との通商の禁止、敵国の居留民と外交使節の行動の制限、自国内の敵国民財産の管理、敵国との条約の破棄またはその履行の停止が、合法的な権利として含まれている。これらを行使し得るかという点が問題になる。
 9条1項は侵攻戦争のみを放棄したものとし、2項の「前項の目的を達するため」という文言は侵攻戦争の放棄という目的を意味し、自衛のための戦力は保持できるという解釈に立てば、9条2項の後半は自衛戦争に関する交戦権までを否認したものではない。だが、わが国の政府は、9条1項は侵攻戦争のみを放棄したものとし、2項の「前項の目的を達するため」という文言は侵攻戦争の放棄という目的を意味するとしながら、自衛のために持てるのは戦力ではなく「最小限度の実力組織」であるという立場を取っている。その場合、わが国はこの「最小限度の実力」の行使を含む交戦権を行使し得るのかが問題となる。一方、左翼勢力は交戦権を国家が戦争をなし得る権利と解釈し、自衛戦争も含めて交戦権を否認したのだと主張する。ここにも解釈上の対立や混乱がある。
 こうした状態において、わが国に対して他国が武力攻撃をして存立危機事態が発生した場合、内閣総理大臣は武力行使以外の交戦権についてどのように判断して、対処するのか。私は、憲法学者や野党等に憲法解釈上異論があることは承知しつつ、国民の生命と財産、国家の主権と独立を守るために、国家最高指導者の責任において判断し、勇断を振るうべきと考える。
 存立危機事態における交戦権の行使は、憲法の規定に違反したり、規定を無視した超法規的措置ではない。憲法解釈上の問題であり、その解釈権は行政において内閣総理大臣にある。内閣総理大臣は、自信を以て国家国民のために、自衛の権利を行使すればよいのである。

 次回に続く。

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