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2018年06月14日09:32

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改憲論24〜民間における憲法改正運動

9.民間における憲法改正運動

 政界の動きに続いて、次に、民間の動きについて述べる。民間の動きのうち、最も注目すべきものは、平成28年(2016年)10月に設立された「美しい日本の憲法をつくる国民の会」である。憲法改正を目指す国民運動を展開する最大の民間団体となっている。ジャーナリストの櫻井よしこ氏、杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏、日本会議名誉会長・元最高裁判所長官の三好達氏が共同代表を務めている。
 同会は、設立以来、下記の方針を掲げて活動を続けている。

一、 憲法改正の早期実現を求める国会議員署名及び地方議会決議運動を推進する。
一、 全国47都道府県に「県民の会」組織を設立し、改正世論を喚起する啓発活動を推進する。
一、 美しい日本の憲法をつくる1000万人賛同者の拡大運動を推進する。

 本年3月14日「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、都内の憲政記念館で中央大会を開催した。私は一賛同者として参加した。
 同会は本年1月に憲法改正賛同者拡大運動の目標である1000万人署名を達成した。この度の集会では、衆参国会議員71名、約800名が参集する中で、その報告が行われた。
共同代表の櫻井よしこ氏は、基調提言で「日本の憲法に日本の心を書き込むために、変えることのできるところから変えていかねばならない」と訴えた。
 続いて、平成30年度の国民運動方針として、

(1)国民の9割が支持する「自衛隊」の根拠規定を憲法に明記する
(2)大規模災害に際し、国民の生命と安全を守る緊急事態条項を憲法に新設する

などを掲げ、国民運動をさらに推進することが発表された。
 これを受け、自民党、公明党、希望の党、日本維新の会の代表が憲法改正の国会発議へ向け、各党内での改正論議の実情や改憲項目について語った。
 自民党憲法改正推進本部顧問の古屋圭司氏は、党内で9条、緊急事態条項等の4項目が議論されていることを報告し、「改憲の提案は憲法審査会しかできない。各党はしっかり意見を出して議論しようではないか」と呼びかけた。公明党の斉藤鉄夫憲法調査会会長代理は、党内に自衛隊について「明記すべきだという意見と、必要ないという2つの意見があることを正直に申し上げる。一生懸命議論しているところだ」と説明した。他党代表者も国会で積極的に議論を進めていく決意を表明した。
 満場一致で採択された大会決議文は、「極東情勢が緊迫し、大規模災害が予想される今、各党は国民の生命と安全を守るため、憲法改正原案を速やかにとりまとめ、年内の発議を実施すべきである」とし、上記(1)(2)の2項目を国会議員に強く要望した。
https://kenpou1000.org/news/post.html?nid=63
 私見を述べると、(1)は、9条改正の具体的な条文案を提示するものではなく、自衛隊明記であれば、1項2項そのままの案も2項削除の案も許容、簡単な規定も詳細な規定も許容というストライクゾーンの広い要望である。(2)もまた条文案を示すことなく、条項の新設を要望するという大まかな要望となっている。
 幅広い国民運動として、憲法改正を推進し、国民投票で過半数が賛成して改正を実現し得る案を国会議員に求めるには、現状の日本ではこのような要望の仕方になるものと私は理解している。
 3月25日に自民党大会で発表された改正案は、(1)(2)をクリアーする案になっている。仮にこの案が発議されて、国民投票となった場合、過半数の賛成が得られなければ、否決される。一度否決されたなら、もう一度やり直しということは、極めて難しい。
 そこで「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、国民投票で必ず過半数を取るために、次のような運動方針を立てて活動している。(1)全国289の小選挙区ごとに国民投票連絡会議を作る。(2)1000万人署名運動で署名した人々を連絡会議に組織し、改憲賛同者を拡大する。(3)本年5月3日に、全国各地で憲法フォーラムを行う。新作のDVD「今そこにある自衛隊」を映写する。(4)このフォーラムの開催を通じて、10月までに各地で連絡会議を結成する。10月に国民投票連絡会議全国大会を開催する。――年内のスケジュールは、自民党が年内発議を目指していることに対応するものである。もし国会から年内に発議がされた場合、国民投票が本年(30年)12月から31年3月の間に実施される可能性がある。
 現状に鑑みると、国民投票で過半数の賛成を得られるかどうかは、決して容易ではない。各政党の支持層は、国民投票においても、大体それらの政党の考えを支持すると考えられる。昨年10月衆議院選挙での得票率は、自民・公明で49.32%だった。自民・公明・維新では52.5%だった。連立与党の支持層だけでは、過半数に達しない。これに維新の支持層が加わって、ようやく過半数になる。ただし、選挙では、時の状況によって数パーセントの変動は生じ得る。それゆえ、国民投票で過半数を取れるかどうかはギリギリである。左翼や偏向したマスメディアは、大衆、特に無党派層に働きかけて、世論を改正反対に誘導することが予想される。
 また、選挙と違って国民投票では、何でもありである。現金を配っても、物を配っても、戸別訪問をしても違法ではない。憲法改正反対勢力は、国民投票の告知期間になったら、何でもありで活動するだろう。
 憲法改正を目指す勢力は、国民投票で確実に過半数を得ることが、相当厳しい課題であるという認識を持たねばならない。それとともに、改正案は理想目標は明確にしつつも、現実に過半数を取り得る最大公約数的な案を追求せざるを得ないのが、日本の現状である。
 私見を述べると、今回の自民党の改正案は、本来目指すべき条文には程遠い。公明党・維新の会等との協議では、さらに内容のレベルを下げないと、三党以上での合意は難しくなる可能性がある。また、一部の世論調査によると、国民の4割以上が9条の改正に反対している。その中で、国民投票で過半数を得られなければ、憲法は変えられない。
 こうした現状は、戦後日本人の多数が、自己本来の日本精神を失ってしまい、精神的に分裂状態に陥っているからである。敗戦による自信喪失、占領下における日本弱体化政策、左翼や偏向したマスメディアの影響等によって、国民が一致団結して日本を守るという団結心が失われているのである。
 今後、日本精神の復興が進めば、国民の意識が変わり、国会議員の議論も変わる。これから国会発議・国民投票までの間に、どこまで国民及び国会議員の意識を高められるか。それによって、憲法改正の成否が決まり、また改正内容が変わる。日本を愛する人々は、最善の努力をすべき時にある。

 次回に続く。

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