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2018年06月03日17:39

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是枝監督の集大成、しかし 『万引き家族』

今年のカンヌ国際映画祭で、最高賞となるパルムドールを受賞した『万引き家族』を先行上映で見て来ました。是枝裕和監督の作品です。


【物語】
東京の下町で暮らす5人家族。
日雇い仕事をする父(リリー・フランキー)、クリーニング店で働く母(安藤サクラ)、風俗店で稼ぐ母の妹(松岡茉優)、小学生くらいの息子(城桧吏)と祖母(樹木希林)。父や母の稼ぎは少なく、祖母の年金が生活の頼りだったが、父と息子による万引きが家計を支えていた。
ある冬の日、近所のアパートで虐待されていた少女(佐々木みゆ)を、父が連れて帰ってくる。次第に家族に懐いていく少女を含めて、6人での生活が始まる。
しかし、ある出来事から、家族は急速に崩壊していくのだった。


…この映画から直球で感じ取ったことは、3人の役者の素晴らしさです(もちろん2人の子役も素晴らしい)。父親役のリリー・フランキー、母親役の安藤サクラ、祖母役の樹木希林。この3人が本当にいい。役者で良さを感じた映画は、今年に入ってからは『スリー・ビルボード』以来です。

3人とも、「隣にそういう一家が住んでいても不自然さを微塵も感じさせない」ほど、完全に役になりきっています。中でも樹木希林は、実生活で全身をガンに侵されながらの演技。見る側に苦痛を感じさせない。往年のロバート・ライアンと同じです。

万引きするしか生活の道が無いことをほんの僅かにどこかで恥じてるリリー・フランキーの父。
少女の腕に自分のと似たヤケドの跡を見つけたときの、安藤サクラの母の眼差し。
海岸で遊ぶ家族を静かに見つめる樹木希林の祖母。
そして2人の子役の美しさ。

それを演出した是枝裕和監督。最近忘れかけていた、小さな日本映画の良さがここにありました。

衝撃的という点では『誰も知らない』の方が上だし、愛すべきキャラクターという点では『海よりもまだ深く』の阿部寛に勝ってはおらず、是枝監督の最高傑作というには早すぎますが、集大成ではあると言えます。カンヌで評価されたのはそこでしょう。

ラスト、玄関の外で遊んでいた少女が、はっとして道路に目をやるところで映画は終わります。その目の先に何があったのかは語られず、それが良いものなのか悪いものなのか、あえて明示しなかった所に、映画の残酷さが凝縮されています。

近年はそういう余韻を感じさせる映画が、少なくなったように思います。

★★★★。

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