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2018年03月28日08:39

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宗教12〜宗教的な救済

●宗教的な救済
 
 宗教的な体験において、体験者にとって重要な意味を持つのは、それが救済と感じられる場合である。宗教的救済にもまた様々なものがある。その主なものを記す。

・精神的な救済
 心を救われるもの。現実は変わらないが、心のあり方や感じ方が変わる。心の支えや慰め、安心、勇気、喜び、解放感等が得られる。単なる気休めという程度のものもあるが、ストレスが減少することは、精神的な余裕をもたらす。さらにストレスに対する耐性が強まれば、人生の諸問題に冷静に、タフに対応できるようになる。また、無益なもの、無意味なもの、あるいは有害なものへのとらわれが取れると、考え方が柔軟になる。思考や感情が転換されるならば、行動が変化したり、逆境を乗り越えたり、ピンチをチャンスに転じることができるといった場合がある。
 宗教的な信仰を通じて、性格的な欠点が直ったり、学業・職業等の能力が伸長したり、天分を発揮できるようになる体験もある。
 さらに、生きていることの意味を肯定し、生きがいを感じたり、世界の有意味性を実感したりする。それによって、人格の成長や向上を体験する者もいる。

・身体的な救済
 病気や健康上の問題を救われるもの。多くの場合は、医療や訓練を受けながら、心の持ち方を明るく、前向きにすることで、免疫力が高まったり、病気や障害に負けない意志力を発揮できるようになる。
 顕著な場合には、現代医学では原因不明の病気や、有効な治療法のない病気が治癒した体験例が多く報告されている。治癒の原因は、本人の意志の力によるものと、信仰を通じた他者の助力によるものがある。後者は、宗教独自の救済の典型の一つである。

・家族的な救済
 家族関係の悩みが好転または解決されるもの。夫婦、親子、兄弟、親族等の間の対立・抗争が収まる。家族間に調和が生まれ、家庭が円満になる。
 子供が授かりにくい家系に子供が授かったり、生まれる子供に心身の問題がありがちな家系に健康な子供が生まれたりする。身体的な救済とも関係するが、難産の傾向のある女性が安産できる場合もある。

・社会的な救済
 人間関係の問題を救われるもの。学校・職場・地域等で周囲の人々との間で起こる摩擦・軋轢が収まる。周辺に調和が生まれ、集団の意志疎通が改善される。

・運命的な救済
 精神的、身体的、家族的、社会的な諸問題がいくつも重なり合っている場合、人はそれを自分の運命として受け止めたり、宿命と悲観したりする。そして、それを超越的なものの意思やそれによる定めと考えたり、自分の輪廻転生における過去世の行為の結果と推測したり、先祖から受け継いだ悪い原因の結果等と考える。
 宗教的な信仰がこうした諸問題に解決をもたらすとき、これを運命的な救済と呼ぶことができる。不運を幸運に、不幸を幸福に転じる。個人や家系における悪いパターンを断ち切る。宿命を転換して、運命を好転させる。こうしたことを実現する運命的な救済は、宗教的な救済の典型の一つである。

・死後的な救済
 人生最後に迎える死からの救いは、宗教の最大の課題である。死に意味を見出し、死の恐怖や苦痛を除き、死後について安心を与えることは、宗教の大きな役割である。この点については、拙稿「宗教、そして神とは何か」の「7.生と死の問題」、「8.大安楽往生と魂の救い」に書いたので、そちらを参照のこと。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion11d.htm

・民族的・国家的な救済
 戦争、他の民族や国家による迫害や支配、大規模な災害等から、人民を救うことは、宗教に期待される救済の一つである。

・世界的・人類的な救済
 世界平和の実現、人類全体の幸福の実現は、宗教的な救済の究極のものである。

次回に続く。
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