mixiユーザー(id:6337596)

2018年03月01日23:21

172 view

異形のものとの恋は悲劇のはずだった 『シェイプ・オブ・ウォーター』

ギレルモ・デル・トロ監督の最新作であり、ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞、来週発表の米国アカデミー賞でも最多部門でノミネートを受けているSFファンタジー『シェイプ・オブ・ウォーター』を見て来ました。

ギレルモ・デル・トロは贔屓の監督であり、ましてやそれがSFファンタジーとなると見ないわけには行かず、期待して行きましたが、期待以上の出来でした。

見事で美しい映画です。


※以下、物語の内容に触れる記述があります。映画を未見の方はご注意ください。


【物語】
1962年、冷戦下のアメリカ。
政府の研究施設で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、幼少の頃から話すことができず、孤独を抱えた。
ある日、施設に運び込まれた”人間のような生き物”に興味を持ったイライザは、興味本位からそれに近づく。”彼”にはエラのような器官があり、水中でも呼吸が出来るのだった。やがてイライザと彼は、食べ物や手話、音楽を通して心の交流を深めていく。
イライザは、施設の警備主任のストリックランド(マイケル・シャノン)が彼に激しい虐待を加えるのを見て、彼を施設から救い出す計画を立てる。


…もともとデル・トロ監督は、影響を受けたユニヴァーサル映画『大アマゾンの半魚人』(1954)のリメイクを考えていたとのことで、結局はリメイクではなくオリジナルな映画となりましたが、”彼”(半魚人)の造形には、ユニヴァーサル版へのオマージュが見受けられます。

異形のもの…モンスターやクリーチャーたち…と人間の異性との恋は、『キング・コング』の昔から『シザーハンズ』に至るまで、悲劇と相場が決まっておりました。この映画では、救いや福音を示唆したエンディングを迎えるので、オールドなSF映画好きとしては不満もありますが、温かみのあるラストは素敵でした。

サリー・ホーキンスが素晴らしいです。障害がある、難しい役です。声を出さず、手話としぐさと表情で愛を表現しなければいけない。でも、その全身から様々な感情が伝わってくるのです。監督は、この役に最初からサリー・ホーキンスを当てて脚本を書いたそうですが、監督からの高い要求にも全身で答えた女優魂を見たと思います。

マイケル・シャノンの悪役も、50〜60年代のSF映画の悪役とは異なり、家庭もある中間管理職という複雑なもので、心底憎たらしい役を好演しています。

極めてセクシャルな展開と、万人には受け入れがたいジャンルであることから、アカデミー賞には不向きな作品であるかもしれません(ヨーロッパと日本では受け入れられることでしょう)。しかし、異形のものへの限りない愛情を注いで作られた映画に底知れぬ魅力を感じる自分にとっては、傑作として一生心に残る作品です。

★★★★。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年03月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031