何度も見た映画でも、好きな映画ならば映画館で見たいものです。
黒澤明監督の『天国と地獄』は、VHS→DVD→BD…とソフトを買い続けてきた好きな映画。
「午前十時の映画祭」にて、ついにこの映画を劇場の大スクリーンで見ることが出来ました。
今回の上映は、初となる4Kデジタルリマスター版で、自分が見た劇場でも4K上映がされていました。ソフトにはない、巻頭の「東宝創立30周年記念映画」のタイトルが出るプリントでした。
1963(昭和38)年、3月1日公開。東宝映画作品です。
【物語】
製靴会社の常務である権藤(三船敏郎)は、会社の乗っ取りを企む重役たちを出し抜き、経営権を握るため、5000万円という大金を用意していた。そんな折、息子を誘拐したという匿名の電話がくる。
しかし誘拐されたのは権藤の息子ではなく、彼の運転手の息子であった。誘拐犯は「それでも良いから身代金を払え」と迫って来る。
…語りつくされた映画ですが、何度見ても鮮烈なシーンというのがあります。
この映画は、疾走する特急こだまからの身代金受け渡しのシーンばかりが強調されて語られていますが(もちろん凄い緊張感なのだけれど)、前半1時間の密室劇(三船敏郎、仲代達也らのやり取り)や、一転してドキュメンタリー・タッチになる捜査陣を描く後半の、そのバランスが絶妙。
カメラも脚本も編集も超一流。俳優にいたっては、言うことがありません。どの役者も一級です。
毎回見るたびに新発見がある中、今回は、執念の捜査を見せる”ボースン”こと田口刑事=石山健二郎が良かったです。あたまスルツルのコワモテの叩き上げ刑事で、汗まみれになって捜査に没頭し、権藤を下そうと画策する会社の重役連中を一蹴する。いい俳優、いい演技です。
真夏が舞台となる作品ですが、DVDに封入のブックレットを詳しく読んで、撮影が真冬だったと知り驚きました。
★★★★。
ログインしてコメントを確認・投稿する