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2017年09月12日09:25

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ユダヤ100〜ユダヤ人反体制思想の影響

●ジョンソン政権と軍産複合体の成長
 
 ケネディ暗殺後、リンドン・ジョンソンが副大統領から大統領に就任した。ジョンソンは、暗殺事件への関与を疑われている人物の一人である。
 ジョンソンは、ケネディが始めたイスラエルへの軍事援助政策を継承し、アメリカ製の軍用機をイスラエルに供与した。私は、このことからのアメリカとイスラエルの関係を、アメリカ=イスラエル連合と呼ぶ。この連合は、やがて軍事協定を結ぶ米猶同盟に発展することになった。
 ジョンソンは、軍産複合体の意思を体現した人物だった。ベトナム戦争では、トンキン湾事件を捏造し、1965年(昭和40年)、北爆開始により、戦争を拡大した。アメリカは以後、73年(昭和48年)に撤退し、戦争終結が宣言されるまで、泥沼のような戦争を続けた。その間、戦争特需により、軍産複合体は、さらなる成長を続けた。
 アメリカの軍産複合体の背後には、ユダヤ系を含む巨大国際金融資本がある。1960年代後半、ジョンソン政権の時代に、アメリカでユダヤ系を含む金融資本が勢いを伸長する出来事があった。1950年代に郵便貯金を廃止する議論が興り、66年(昭和41年)に廃止されたのである。そのために、ニューヨークのユダヤ系を含む大銀行が、全米の各州に子会社(現地法人)を作り、郵便貯金を自分たちの資金にしてしまった。それによって、ニューヨークの金融資本が、アメリカ全土を金融で支配するようになった。郵便貯金が廃止された結果、建国以来の支配集団であったWASPが一層後退し、ユダヤ系を含む金融資本が勢力を振るう国になったのである。

●ユダヤ人反体制思想の影響

 歴代政権の話から離れるが、ここで1960年代前後のアメリカにおけるユダヤ人の反体制思想について述べておきたい。
 戦後のアメリカ社会に重要な影響を与えたものに、ドイツからナチスの迫害を逃れて渡米したフランクフルト学派のユダヤ人の思想がある。フランクフルト学派の中心的存在であるホルクハイマーと盟友のアドルノは、アメリカの商業主義的な文化や、合理主義的な管理社会を批判した。それは資本主義文化への批判であるとともに、アメリカ文化への批判でもあった。このヨーロッパからきたユダヤ人たちの所論は、戦後のアメリカ社会に、じわじわと浸透していった。1960年代には彼らが1950年に出した『権威主義的パーソナリティ』が、若者を揺さぶった。これは、アドルノがカリフォルニア大学バークレー校の世論研究グループとともに行った研究を発表したものである。彼らは渡米後刊行した『権威と家族』の研究を発展させ、ナチズムや反ユダヤ主義に見られる人間の性格分析を進めた。そして、裕福で一家そろってクリスチャン、父親が権威主義的という家庭に育った子供は、独裁的な人種差別主義者に育つとした。「家父長制家族はファシズムのゆりかごである」とアドルノは断じた。彼らの思想は、やがて1960年代の米国の若者による文化批判や反体制運動に影響を与え、またフェミニズムを急進化させることになった。
 ホルクハイマー・アドルノ以上に大きな社会的な影響をもたらしたのは、マルクーゼである。マルクーゼは、フロムが試みたマルクスとフロイトの統合を闘争的な方向へ推し進めた。晩年のフロイトは、1930年刊の『文化の不満』において、人間には生の本能と死の本能があるとし、それぞれエロスとタナトスと呼んだ。彼によると、文化は、個人や家族、国家等を、人類へ統合しようとするエロスのための過程である。ところが、エロスによって文化が発達すればするほど、その一方で解体と自己破壊をもたらすタナトスも高まり、人間を脅かすと洞察した。マルクーゼは、こうしたフロイト晩年の理論を発展させ、1955年に『エロス的文明』を書いた。そこで、彼は、文化の担い手であるエロスの復興こそが、人間解放の条件であるとし、それは社会構造の根本的な変革によってのみ可能であると説いた。本書は、1960年代のアメリカでベビーブーマーを中心に読まれた。
 ベトナム反戦運動、ドラッグ革命、性革命、黒人公民権運動、ウーマン・リブこそ、マルクーゼが理論的に推進するものだった。これらの運動には、「来るべき文化革命でプロレタリアートの役」を演じる者たちがいるとした。マルクーゼによって、マルクス以来の労働者階級を主体としたプロレタリア革命の理論の枠組みは破られた。彼の影響は、アメリカから西欧・日本に波及した。それを象徴的に表わすことがある。1968年(昭和43年)5月、フランスのパリで5月革命が起こった時、学生・知識労働者の一部が「マルクス・マオ(毛沢東)・マルクーゼ」という3Mの旗を掲げたことである。
 マルクーゼは著書『弱肉強食』で、新たな革命戦術を述べている。「文化革命を正しく論じることは誰にもできる。なぜなら、あらゆる文化制度に向けられた抗議だから。……一つだけ確実に言えることがある。伝統的革命思想、伝統的革命戦略はもはや通用しないということだ。そうしたやり方は時代遅れだ。……われわれが着手すべき革命は、社会制度を広汎に渡って解体するような革命である」。
 マルクーゼこそ、ルカーチによる共産主義の文化革命戦術を現代化した理論家なのである。そして、彼の理論は、欧米や日本で、新左翼運動やフェミニズムに大きな影響を与え続けている。ユダヤ人マルクーゼの革命理論を語るときに欠かせないマルクス、フロイト、フロム、ルカーチがみなユダヤ人であることをあらためて指摘しておきたい。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「ユダヤ的価値観の超克〜新文明創造のために」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-4.htm

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