mixiユーザー(id:525191)

2017年09月05日08:57

367 view

ユダヤ97〜現代米国の政治とユダヤ人

●現代米国の政治とユダヤ人

 次に、第2次世界大戦後のアメリカの政治とユダヤ人の関係について述べる。
 第2次大戦後、アメリカはイギリスに代わってシオニズムの後ろ盾になった。また、アメリカではユダヤ人が経済・政治・外交・科学・芸術等の様々な分野で活躍し、ワイマール共和国時代のドイツをしのぐほどの状態となっている。
 米国には、民主党・共和党という二大政党がある。民主党は、合衆国独自のデモクラシーを形成した第3代大統領トマス・ジェファーソン、第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの流れを汲み、1830年から「民主党」を名称にしている。当初、北部では大都市のカトリックやユダヤ系移民に支持され、南部では奴隷制廃止に反対する白人層が支持者であった。しかし、1929年の大恐慌後、フランクリン・ルーズベルトのもとで、所得再分配・中小企業重視・弱者救済を重視する政策を行い、北部や労働者に支持層を広げた。
 一方、共和党は1854年に奴隷制反対の地方政党が各州に成立し、56年これらを統合して現在の党が成立した。共和党は、民主党とは逆に1960年代以降、南部へ進出して、さらに保守的な性格を強めた。その結果、現在は共和党がレッド・ステイツと呼ばれる南部を中心に勢力を持ち、民主党はブルー・ステイツと呼ばれる北部を中心に勢力を持つことになっている。
 政治的立場は、大まかに言って共和党は保守、民主党はリベラルと分類される。共和党は富裕層に支持者が多く、主に大企業・軍需産業・キリスト教右派・中南部の保守的な白人層などを支持層とする。民主党は労働者や貧困層に支持者が多く、主に東海岸・西海岸および五大湖周辺の大都市の市民、ヒスパニック、アフリカ系・アジア系など人種的マイノリティなどを支持層とする。ユダヤ系には民主党支持者が多い。その関係もあって、マスメディア関係者、ハリウッド映画関係者等には民主党支持者が多く、アメリカのメディアの大半が民主党寄りという特徴を示す。
 民主党は労働者や貧困層に支持者が多いと書いたが、民主党にはニューヨークの金融資本家から多額の資金を得ているという別の一面がある。これは、ユダヤ系米国人には民主党の支持者が多いことと関係がある。またロックフェラー家が民主党最大のスポンサーとなっている。ここには二大政党というだけでは見えないアメリカの政治構造がある。
 アメリカは、実質的な二大政党制である。国民は二つの大政党が立てる大統領候補のどちらかを選ぶ。片方が駄目だと思えば、もう片方を選ぶ。そういう二者択一の自由はある。しかし、アメリカでは、大統領が共和党か民主党かということは、決定的な違いとなっていない。表向きの「顔」である大統領が赤であれ青であれ、支配的な力を持つ集団は外交・国防・財務等を自分たちの意思に沿うように動かすことができる。アメリカの二大政党の後には、巨大国際金融資本が存在する。共和党・民主党という政党はあるが、実態は政党の違いを越えた「財閥党」が後ろから政権を維持・管理していると考えられる。この「財閥党」に少なからぬ影響力を及ぼしているのが、欧米のユダヤ系資本家であると考えられる。
 民族的・宗教的な集団の関係という点からみると、建国以来アメリカの支配的集団をなしてきたWASPは今日も上流階層をなし、共和党支持者が多い。非WASPには、白人だが労働者集団のカトリックでホワイト・エスニックと呼ばれる集団やユダヤ系が含まれる。彼らは民主党支持者が多い。
 アメリカでは、20世紀に入ると、欧州のロスチャイルド家を後ろ盾に持つユダヤ系が経済的な実力を発揮し、ニューディール政策を行ったFDR政権の時代以降は、WASPとほぼ拮抗している。共和党・民主党の勢力図には、こうした要素もある。
 覇権国家アメリカの政策は、巨大国際金融資本家や石油や軍事等の多国籍企業の経営者たちによって、ほとんど決められている。これらの所有者・経営者の集団が、支配的な集団をなしている。彼らは、アメリカの大統領を選ぶだけではなく、大統領顧問団や政策までも決定する力を持っている。そして、誰が大統領かに関係なく、大統領を管理し、アメリカという国家を実質的に支配し続けている。彼らは、しばしば直接政府の要職に就いて、政府を動かしてもいる。彼らの多くは、自らが外交問題評議会(CFR)、ビルダーバーグ・クラブ(BC)、三極委員会(TC)という世界の政治・経済に需要な影響を及ぼす組織の会員であり、また彼らの意思を理解する優秀な人材をこれらの組織に参加させ、政府に送り出している。
 ユダヤ人は、アメリカの人口の1.7%(2010年現在)を占めるにすぎないが、優れた経済的・政治的・知的能力によって、アメリカの支配層において、確固たる存在感を示している。
 20世紀後半に、在米のユダヤ人は、米国の政治・経済・外交・文化・教育・科学等を左右する一大勢力となった。現在、アメリカ合衆国は、イスラエル以外では世界最大のユダヤ人人口を有する親ユダヤ国家となっている。2010年現在でイスラエルのユダヤ人人口は570.4万人、アメリカ合衆国は527.5万である。アメリカ文化は、合理主義、物質主義、拝金主義という特徴を持つ。そこには、ヨーロッパ文化の持つ中世以来の伝統を削ぎ落した近代性の徹底が見られる。その特徴は、アメリカ文化の中に溶け込んだユダヤ文化の特徴でもある。それが、伝統豊かなヨーロッパにおけるよりも、もっと直接的な形で表現されたものだろう。
 近代世界において、ユダヤ人は世界的な帝国の中枢に入る。カネの力でそれを実質的に支配する。イギリスでは、アングロ・サクソン文化とユダヤ文化が融合し、アングロ・サクソン=ユダヤ的な文化が発達した。イギリスを後継した覇権国家アメリカでは、アングロ・サクソン=ユダヤ文化にアメリカ独自の要素が加わったアメリカ=ユダヤ文化が発達した。その核心にはユダヤ的価値観が存在する。アメリカ=ユダヤ文化の広がりによるアメリカナイゼイションは、同時にユダヤ的価値観の世界的浸透を推し進めるものとなっている。

 次回に続く。
6 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する