今回のゴールデンウィークでは、シネマヴェーラ(渋谷)でのエルンスト・ルビッチ特集を見ることもできました(去年に次いで2度目)。
ルビッチの最高傑作との誉も高い『生きるべきか死ぬべきか』の上映がある回だったためか、場内は立ち見が出るほどの満員御礼。すでに廉価版DVDが出ている70年以上前の作品であるにも関わらず、これだけの集客力というのは凄いことです。
自分も『生きるべきか〜』は国内盤DVDで持ってはいましたが、スクリーンで見られる機会もあるかと思い、今まで見ないでおりました(メル・ブルックス監督によるリメイク版『メル・ブルックスの大脱走』は先に見ていた)。
例によって2本立て興行です。
●『小間使』(1946)
英国の名門屋敷に奉公に出された天然系娘(ジェニファー・ジョーンズ)と、屋敷に滞在中の亡命教授(シャルル・ボワイエ)との恋の駆け引きを描いたロマンティック・コメディの秀作です。
シャルル・ボワイエは、同時期の怖い怖いスリラー『ガス燈』での凶悪演技とは対照的な2枚目半を好演。何かにつけてメイド娘のジェニファー・ジョーンズにちょっかいを出しまくる大人げない男を楽しそうに演じています。対するジェニファー・ジョーンズは、今の日本で言うならば綾瀬はるかに近い感じ。コメディエンヌぶりを発揮しています。★★★。
●『生きるべきか死ぬべきか』(1942)
ナチ占領下のポーランド。迫害を受けたユダヤ人劇団員たちが、奇想天外な方法でゲシュタポを出し抜き、脱出するまでを描く傑作コメディ。
ううぬ。これは予想以上の面白さ!
「ハムレット」の名セリフ”生きるべきか死ぬべきか”が重要なキーとなり、何度も繰り替えし笑わせてくれます。劇団長である主人公が何度もナチの重要人物に成り代わり、危機が起きては乗り越えていく逞しさ。そこには単なる笑いだけではなく、大戦下に製作された映画であるという点で、チャップリンの『独裁者』に通ずるものがあります。
(面白いことに、リメイク版を監督・主演したメル・ブルックス作の方が、ユダヤ人としての悲哀がよりにじみ出ているのが分かります。『プロデューサーズ』でもナチズムを笑い飛ばしたユダヤ人監督であるメル・ブルックスらしさが出ています)
主演のヒロイン=キャロル・ロンバートは、ヒッチコックの『スミス夫妻』でも名コメディエンヌとしての才能を発揮していて、この映画でも大人の女としての魅力と貫禄を見せつけています。スクリーンに登場するとピリッと引き締まる美人です(映画完成後まもなく飛行機事故で亡くなります)。
間違いなくルビッチの最高傑作の1つであり、コメディとして、映画として1級品です。
面白さは朽ちることなし!★★★★★。
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