若くして亡くなった作家・伊藤計劃の小説を連作で映画化する”Project ITOH”の最後を飾る、映画『虐殺器官』を見て来ました。ハリウッド版の製作も予告されています。
19世紀末を描いたスチームパンク『屍者の帝国』、衝撃のディストピア近未来SF『ハーモニー』に続く第3作となります。
それぞれの作品につながりはありませんが、第2作『ハーモニー』は、本作『虐殺器官』の未来の姿であることが暗示されています。
【物語】
サラエボで核爆弾による大規模テロが起き、先進各国ではセキュリティが高度化された反面、途上国では内戦や虐殺が相次いでいた。
米軍特殊部隊のクラヴィス・シェパード大尉(声:中村悠一)は、途上国での内戦の影で暗躍するコンサルタント、ジョン・ポール(声:櫻井孝宏)を拘束せよという任務を受け、作戦は成功したかのように思えたが、何者かによって奪還される。
…タイトルの虐殺器官とは、人間の記憶の奥底に眠っている古来よりの闘争本能の一種で、ふだんは休眠しているが、言語における特定の文法によって呼び覚まされるというもの。それを発見した男と、その思惑を阻止しようとする主人公の戦いの物語です。
『ハーモニー』ほどではないものの、衝撃的な結末が待ち受けています。
(非常にアメリカ映画的な結末なのですが、どうやら原作とはやや描かれ方が異なるようです)
現実に即した固有名詞(企業名)や、開発中の技術が結実したものとなって登場するので、独特のリアルさがあります。
製作プロダクションが途中で経営破綻し、新たなプロダクションに交代するなどの困難を経たためか、作画には安定性が欠け、劇中で登場するアイテムのリアルさとキャラクターとの間には乖離がありました。残酷なシーンが少なくないのも、作品の不安定な部分を象徴しているかのようです。
ガン・アクションには見どころがあるので、一見の価値はあります(基本的には会話劇に近い作品です)。
面白く見てきた『屍者の帝国』『ハーモニー』に続く最終章を飾るには、少々物足りなさはあります。
★★★。
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