mixiユーザー(id:34218852)

2017年01月22日09:23

192 view

時代を越えて(126) トランプと左翼リベラルのねじれ現象

 トランプ大統領が就任したが、就任式にたくさんの民主党議員が欠席し、さらにトランプ反対派のデモが暴徒化した。その理由としては、移民を制限すること、特にこれまでは見て見ぬふりをされていた不法移民は壁を作って絶対に阻止すると宣言し、その過程で英語を話せないメキシコ人や、イスラムなどアメリカのキリスト教風土になじまなずテロリストも紛れ込んでくる民族、宗教を非難したことでレイシストの烙印を押されたことにあると思われる。
 私としては「郷に入れば郷に従う」べきだと思っているので、最初からその気のないものは入国を禁じられても仕方がないと思っているが、今はそのことをテーマにするつもりはない。そうではなくて、マルクス主義の理論と今の左翼との関係を確かめたいのである。

 生産の三要素として、土地、資本と労働力がある。このうち資本は国境を越え、いまや大企業はほとんど国際資本のもとでグローバル企業となった。そこでは取締役会は英語だとのことである。この状態をマルクス主義では金融帝国主義と呼んでいたはずである。むろん、良い意味ではなく、ますます資本の支配が強まり労働者が疎外される状態として捉えているのである。
 ところが今、労働力も国境を越え始め、もとからの国民である労働者との間で雇用を巡って摩擦を起こしている。そればかりではなく、生活場面での文化摩擦も起こしている。むろん、管理職クラスは労働者街に住んでいないので、それらの摩擦を日常的に受けるわけではない。

 これからねじれ現象に移るが、今回のアメリカ大統領選挙では、簡単に言うと、労働者はトランプを支持し、知識人、つまり管理職クラスは民主党のヒラリー・クリントンを支持した。リベラルとして人種差別に反対し、多様な文化・宗教の共存を認めるばかりでなく、さらにドイツのメルケル首相のようにその状態を促進する人々も含まれている。
 そして、これらリベラルには左翼も含まれるのである。
 対して、トランプは移民労働者にも反対であるが、雇用を取り戻すためだと言って資本の国内回帰を半ば強制している。

 最近の新聞の論調をみると、資本に国内回帰を求めるのは、物価が上昇するので却って労働者のためにならないというのが主流のようである。雇用が得られても物価の上昇によって却って下層階級を苦しめることになるという。
 そういえば、リカードの貿易理論で、それぞれの国が比較優位の製品を輸出することで経済的に最適になる、との古典的理論があった。今の新聞論調はその説に似ているのだが、その際言われていたことは、先進国は自由貿易を(つまりリカ−ド最適)をめざすが、行進国は保護貿易に傾くということであった。これは、ガットで関税をなくそうという会議の時に、いつもぶつかっていたことであり、繊維製品や農産物で問題を起こしていた。
 たしかに、日本の農家はトランプ歓迎のようである。

 アメリカ資本が世界を覆う。その寸前でトランプが撤退を命じた。リベラルにとっては弊害もあるのだろうが、それぞれの国の資本がそれぞれの産業を起こすこと、それ自体は歓迎すべきことではないのか。文化の多様性も、なにもすべての国が多様化するのでなく、それぞれの国の文化が違うことで世界的に見れば多様である、ということで良いのではないか。
 リベラルは各国が多様化すべきだと、いろいろな民族、宗教、文化が一国内にあるべきで、その国の伝統的な成りたちを無視するようなことを言う。それをやれば、宗教では、攻撃的宗教が他の宗教を駆逐してしまうに違いないのだが。
 中には、アメリカは特殊な国で移民で成り立っていた。トランプはアメリカ伝統の国是に反しているという論者もいたが、その論者が忘れているのは、基本がキリスト教徒のイギリス人だったということである。

 トランプ・ドンキホーテは槍で国際資本の風車に勝つのか、その結果、日本はどうなるのか、それは分からないのだが、注目すべき実験に違いない。


2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031