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2016年12月21日03:32

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押井守の実写超大作は序章なのか 『ガルム・ウォーズ』

今年の5月に劇場公開され、悔しくも劇場で見逃してしまった押井守監督の最新作『ガルム・ウォーズ』を、国内盤ブルーレイで見ることができました。

1997年に企画がスタートして以来、何度も頓挫→再企画→頓挫…を繰り返してきた、押井守にとっては(ファンにとっても)悲願となる作品です。その製作顛末記だけで1本のドキュメンタリー映画が出来てしまうほどのエピソードもあります(当初は樋口真嗣が特技監督、ジェームズ・キャメロン製作総指揮という計画もありました)。

撮影はカナダで行われ、英語圏の俳優が英語で演じています。
ポーランドで撮影された同監督の『アヴァロン』と同様のスタイルです(そもそも『アヴァロン』が『ガルム』企画から派生した作品でした)。


【物語】
惑星ガイアの月・アンヌンでは、2大部族”ブルガ”と”コルンバ”が、何世代にも渡る戦争を続けていた。人々は生殖ではなく、クローン技術と記憶のコピーにより、辛うじてその歴史を紡いでいた。
コルンバの戦闘機のパイロット・カラ23(メラニー・サンピエール)は、異民族の男(ランス・ヘンリクセン)の乗ったシャトルを拿捕するが、ブルガの攻撃の手に落ち、艦隊を離れてしまう。男は、この世界を創造した”ダナン”が消えた理由を探るため、旅に出ることをカラに持ちかける。


…20年前の企画から知っていたので、ついに見ることができたという感慨深さと、押井守監督作品を初見した時に陥る”狐につままれた感”が同居し、安心しました。これでこその押井守です。

監督も仰ってる通り、「自分の映画は100人の人が1回見る映画ではなく、1人の人が100回見る映画」です。私もその1人です。

日本でSFファンタジー映画を作ることの難しさは、アニメーションでも難しいことを監督自身が良く知っていることと思います。それを熟知している押井監督をもってしても、『ガルム・ウォーズ』は、超えられない壁を超えるには至っていません(非常にいい線までは迫っていると思います)。例えカナダで撮影できたとしても、見てくれと予算だけは潤沢なハリウッド映画に勝てるはずもなく、その点も熟考されたことでしょう。押井守的エッセンス…毎度お馴染みのバセットハウンドや、ショートヘアで黒髪の長身ヒロイン、火器と銃器…そういった要素が、辛うじてこの映画を彩っています。
(ジェームズ・キャメロンの盟友、ランス・ヘンリクセンの出演はSF好きには嬉しい要素でした)

90分という短い尺の中に、膨大な量の造語と背景的要素が登場するのは、不思議と苦にはならず、自然に頭の中に入ってきます。平凡な監督ではこうは行かないでしょう。

映画は、もともと企画段階にあったタイトル”ガルム戦記”を体現するかのように、ある戦いの終焉と、新たな戦いの始まりの発端を描いたところで終わります。続編があるとするならば、壮大な序章と言えそうですが、これで終わりというのでは、20年間の積年の思いが結実できた作品とは言い難いところです。

★★★★。
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