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2016年03月07日09:51

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人権278〜最高裁が夫婦同姓規定は合憲と初判断

●最高裁が夫婦同姓規定は合憲と初判断

 夫婦別姓の法制化を求める動きは、執拗に続けられている。そうしたなかで、民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定の違憲性が争われた訴訟が、大きな注目を浴びた。
 訴訟を起こしたのは東京都内に住む事実婚の夫婦ら5人である。原告は「結婚に当たって多くの女性は改姓を強いられている」「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」「憲法第13条、第24条は夫婦別姓の権利を保障しており、民法の規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」などと指摘し、「国会が正当な理由なく長期にわたって民法を改正しない立法不作為は違憲・違法である」と主張して、国に計600万円の損害賠償を求めた。
 原告は、1、2審で敗訴し、上告した。この上告審で、2015年(平成27年)12月16日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は、民法の夫婦別姓を認めないとする「規定は合憲」とする初めての判断を示し、原告側の上告を棄却した。
 判決は、憲法第13条の「個人の尊重」は「氏(姓)の変更を強制されない自由」まで保障したものではなく、また第24条の「婚姻の自由」は夫婦別姓の権利まで保障したものではないとして、原告らの主張を退けた。憲法第14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定めているが、この「法の下の平等」との関係についても、民法750条は夫婦がいずれの姓を称するかはその「協議」に委ねており、「文言上性別に基づく法的な差別的取扱いを定めているわけではない」ことを理由に、夫婦同姓制は違憲ではないとした。
 これに加えて、判決は夫婦同姓の意義や合理性について積極的に言及した。判決によれば、氏(姓)には、「家族の呼称としての意義」があり、その呼称を「一つに定めることには合理性がある」。また、「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位」であって、全員が「同一の氏(姓)を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる」。さらに、夫婦同姓であれば、その子も両親と「氏を同じくすることによる利益を享受しやすい」として、夫婦同姓の利点を評価した。
 また、夫婦別姓論者の不利益は「氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得る」と指摘した。この最高裁の判断は、通称使用の広がりを踏まえたものである。民間調査機関「労務行政研究所」によると、平成7年に旧姓使用可能な企業は約18%だったが、上場企業約3700社を対象に行った25年には約65%まで進んだ。また、公務員は本人の申し出で職場での旧姓使用が可能。弁護士など多くの国家資格も仕事上の通称使用を認めている。こうした背景から、大法廷の多数意見は「通称使用が広がることにより、不利益は緩和され得る」とした。
 このように、最高裁は夫婦別姓論者の主張をことごとく退けたうえに、夫婦同姓制の意義や合理性にまで積極的に言及した。夫婦同姓は合憲とされたことにより、夫婦別姓の議論はおそらく沈静化すると思われる。また、最高裁によって家族は国や社会の基盤であることが改めて位置づけられた意義も大きい。
 なお、この最高裁判断が出されたのと同じ日、「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする民法の規定が違憲かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、女性の再婚禁止期間を6カ月とする規定は、最高裁大法廷は、100日を超すのは過剰な制約で違憲だと判断した。その上で原告側の上告を棄却した。この民法の規定は、生まれた子の父親は誰かといった混乱を防ぎ、子供の利益を考えた規定である。最高裁の判断に従って、国会は法改正を行った。女性の権利だけでなく、子供の利益を擁護した適正な運用が望まれる。

 次回に続く。
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