日本映画専門チャンネルでは、月に1度、ソフト化されておらずTV放送もされたことのない作品を放送する”蔵出し名画座”という企画があります。
1月は、邦画最初期のトーキー映画『ほろよひ人生』が放送されましたので見ました。
1933(昭和8)年、東宝映画の前身であるP.C.L映画製作所の作品です。
ストーリーは他愛のないもので、駅のビアスタンド(ビール売り場)の女の子と、音楽大学の学生との恋を描くミュージカル・コメディ。宝石泥棒のエピソードや、急に金持ちになってしまったルンペンのエピソードが絡み、脚本は意外と練り込まれておりました。
満州事件からわずか2年後の作品であり、日中戦争前夜の暗い世相の中、こんなに明るいコメディがあったというのが驚きです。
徳川夢声、藤原釜足に加え、昭和の喜劇王・古川ロッパが共演。ただしロッパは出番が少ないのが残念でした(この喜劇王には興味があり、もっと作品を見て勉強したいと画策中です)。
トーキーを売りにしていることもあり、音楽や音響を前面に押し出しています。
フィルムの保存状態が良いのか、音質も画質も綺麗でした。
松竹蒲田が清水宏や小津安二郎監督で人情喜劇を撮っていた一方で、こんなにモダンなコメディが東宝で撮られていたというのも、やはり驚きでした。
★★★。
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