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2015年11月26日08:55

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人権230〜国連憲章における人権の尊重

●国際連合憲章における人権の尊重

 次に「国際連合憲章=連合国憲章」の内容について述べる。憲章は、「国連=連合国」の組織及び活動の基本原則を定めたものであり、その中にその後の人権に関する思想や国際機構を方向付けることが盛られている。
憲章は、次のような前文で始まる。

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 われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機関を設ける。
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 冒頭の原文の主語は ”We the people of the United Nations”である。日本語の公定訳は、これを「われら連合国の人民は」と訳している。「連合国の人民」、これが正確な訳である。憲章の採択は1945年(昭和20年)6月のサンフランシスコ会議においてだから、わが国は連合国と戦っている最中である。”We the people of the United Nations”は、「国際連合の人民」とは、訳し得ない。その一方、最後部では、同じ the United Nations が「国際連合」と訳し分けられている。これは日本国政府による翻訳の操作であり、自己欺瞞である。
 憲章前文は、続く文章で、基本的人権、人間の尊厳および価値、男女及び大小各国の同権に関する信念を確認している。そして、憲章は第1条に、「連合国=国連」の目的を記している。
国際連合の目的は、次の通りである。

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1 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3 経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。
4 これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること。
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 「国連=連合国」の目的は、ここに定められているように、第一は国際の平和及び安全の維持、第二は人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係の発展、第三は経済的、社会的、文化的または人道的性質を持つ国際問題の解決、並びに人権及び基本的自由の尊重を助長奨励することについての国際協力の達成。第四は、これら三つの目的の達成のために果たす中心的な役割である。
 これらのうち第三の目的の一部に、人権に係ることが盛られている。すなわち、「人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権および基本的自由を尊重するよう助長奨励することについて、国際協力を達成すること」である。この文言を端緒として、戦後、人権の思想が世界に広がることとなった。
 憲章は、第55条で、「諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定及び福祉の条件を創造する」ために、3つのことを促進しなければならないとする。第一が、一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件、第二が経済的、社会的及び保健的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際協力、第三が人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守である。人権尊重と遵守も、他の2つと並んで諸国間の平和と友好関係の不可欠の基礎的条件とされている。ただし、国連憲章の人権に関する規定は、加盟国を法的に義務づけるものではないと解されている。国連と協力して加盟国が共同及び個別の行動をとることを規定した56条の文言も、「義務」ではなく、あえて「誓約」(pledge)という言葉を用いている。
 こうして「国連=連合国」は、「国連憲章=連合国憲章」に、人権に関する規定を設けた。人権の擁護が憲章の多くの条文で定められたのは、サンフランシスコ会議においてだった。その会議で人権に関する規定が増加された理由の一つは当時、ラテン・アメリカ諸国が人権規定の必要性を強調したからであり、もう一つはアメリカ政府代表団に顧問として加わっていた多数のNGOが人権規定の挿入を繰り返し主張したからである。注目すべきはNGOの働きかけであり、国連憲章は、NGOの要望により、第71条に次のように定めているのである。「経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議するために、適当な取極を行うことができる。この取極は、国際団体との間に、また、適当な場合には、関係のある国際連合加盟国と協議した後に国内団体との間に行うことができる」と。
 私は、このように憲章に人権に関する規定が多く盛られた背景として、三点が挙げられると思う。第1に、ユダヤ人に対するナチス・ドイツの暴虐によって、人権を各国の国内法で保障するだけでは不十分であり、国際的に保障する必要性が認識されたことである。第2に、大西洋憲章に「恐怖及び欠乏からの解放」と「生命を全うすることを保障するような平和の確立」を掲げて、人権の尊重を戦争目的に掲げた連合国が勝利をおさめ、戦後の世界秩序を形作ったことである。そして、これらに加えるべきものとして第3に、資本主義諸国にとって、経済活動の自由を保障するため、人権を保障することが、資本と国家の利益にかなう状況になったことである。私は、これらの3点には、ロスチャイルド家を中心とするユダヤ系金融資本家が、自らの生存と利益の確保のために、国際的に働きかけをしたことが深く関わっているだろうと推測する。国境を越えて諸国に分散して活動するユダヤ人にとっては、国家や民族を否定し、個人や市場を強調することが有利だからである。

 次回に続く。

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