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2015年11月14日08:47

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韓国は北の体制に近づきつつある〜古田博司氏

 10月31日から11月1日にかけて、日中韓首脳会談がソウルで開かれた。三国の首脳がそろって会談するのは3年半ぶりだった。また2日には日韓首脳会談が行われた。安倍首相とパク・クネ大統領による初めての会談だった。中国・韓国は、日本との関係を改善したいという姿勢に変わってきている。だが、わが国は、安易にこれに乗るべきではない。本稿では、韓国について警戒すべき点を書く。
 8月に南北挑発事件が発生し、協議の結果、話し合いで決着した。そのことで韓国の朴槿恵大統領の支持率が上昇し、さらに9月3日の中国抗日行事への参加によって上昇した。日本人の多くには理解しがたい状況だが、背後には、韓国に対する北朝鮮の工作の効果がある。戦後の韓国での反日動向への北朝鮮の工作の影響については、先に西岡力氏の記事を紹介した。最近の韓国の事情については、筑波大学大学院教授の古田博司氏が、産経新聞9月9日号に書いた。大意次のような内容である。
 南北挑発事件の協議については、「韓国側代表は、尹炳世外相を要とする『金大中・盧武鉉左翼政権人脈』」だったと古田氏は言う。
 古田氏が「金大中・盧武鉉左翼政権人脈」の要という尹炳世氏は、盧武鉉大統領の左翼政権時代に国家安全保障会議(NSC)室長、大統領府外交安保首席秘書官等の外交分野の実務や重要ポストを歴任し、盧武鉉・金正日氏による南北首脳会談実現の立役者となった。政権が代わると2009年から朴大統領の出身大学である西江大学の招聘教授となり、10年末に発足した朴氏のシンクタンク「国家未来研究院」で外交・安保分野を担当し、朴政権で外相になったという経歴の持ち主である。こういう経歴の人物が外交の責任者として、韓国の北朝鮮や中国との外交のかじ取りを行っている。
 尹氏を要とする「金大中・盧武鉉左翼政権人脈」は、「親北朝鮮・親中国のルート」、並びに「北朝鮮主導による「『南北連邦統一構想』」に連なっている、と古田氏は言う。
南北挑発事件については、「『北の誤算』とか、『引き分け』というのは表層のもの」であり、「両国関係進展」とか「北、計算ずくめの遺憾」」というのが正しい。「北朝鮮はこれまでも数々の挑発行為の際、韓国に「遺憾」の表明をためらうことなどなかった」が、今回はじめて「韓国の北朝鮮シンパ人脈が最も有効に機能」した、と古田氏は見る。
 そして、今後の韓国を次のように予想する。「朴槿恵政権は2017年末の大統領選挙をもって任期が終わる。彼女の後を狙う野党内には有能な政治家が待機している。ほぼ従北勢力か、北朝鮮シンパである。選挙が民主的に機能さえすれば、南北関係は再び金大中・盧武鉉政権が北の国家予算分を援助したあの左翼全盛時代に戻るだろう」と。
 この背景には、北朝鮮の対南工作がある。古田氏は、金日成主席が1964年に提唱した「思想工作により韓国を南朝鮮革命の根拠地にする」という「民主基地論」の構想は、「見事に成就」したという。「90年代、韓国には北の思想工作が大学自治会を中心に浸透し、今日の従北勢力の基盤をつくった。この勢力が育ち、司法に入り込んだため、過去遡及法が行使されたり、日韓基本条約を無視する判決がだされたりし、韓国の法治主義の崩壊を招いたのである」と。
 古田氏は、このように書いて、記事を次のように結んでいる。「韓国は北の体制、ひいては東洋的専制主義に近づいているのであり、その逆ではない。朴槿恵大統領が中国の抗日記念行事とパレードに参加するという果敢な反米・反日の選択をしたこともこの文脈で見なければならないだろう」と。
 日韓関係は、今が最低ではない。朴政権以後、もっと悪くなる可能性がある。古田氏の2017年以降、南北関係は再び金大中・盧武鉉政権のような左翼全盛時代に戻るという予想に、われわれは留意しておく必要がある。
 以下は、記事の全文。

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●産経新聞 平成27年9月9日

http://www.sankei.com/column/news/150909/clm1509090001-n1.html
2015.9.9 05:02更新
【正論】
北の体制に近づく韓国の危うさ 筑波大学大学院教授・古田博司

 8月に発生した南北挑発事件の協議は、同22日から25日未明まで断続的に約43時間にわたって行われ、無事合意に達した。取りあえず東アジアの平和にとってめでたいといえる。

《交渉務めた左翼政権人脈》
 当日、韓国側の交渉代表は、大統領府の金寛鎮国家安保室長と、洪容杓統一相だった。前者には、盧武鉉左翼政権下で最も出世した高官だとの評価がある。当時の金章洙国防相の右腕として合同参謀本部議長の地位で尹炳世外交安保首席(現外相)とともに、2007年の盧武鉉・金正日首脳会談に関わった。上司の金章洙国防相は、尹炳世氏とともに大統領引き継ぎ委員に任命され、現政権では国家安保室長を経て中国大使になっている。
 もう一人の代表、洪容杓統一相は、10年末に朴槿恵大統領の母校・西江大学で発足した朴槿恵氏のシンクタンク「国家未来研究院」のメンバーで、尹炳世氏と同僚だった。朴槿恵政権では外交安保秘書を経て、現統一相となる。彼は南北経済協力の支持者で金大中・金正日首脳会談での「六・一五宣言」(緩やかな南北連邦統一案)を支持した学者として政権発足当初、保守陣営から起用を疑問視される声もあった。現政権の対北政策、「韓半島信頼プロセス」は尹炳世氏と洪容杓氏が中心となって作成されたものである。
 つまり今回の韓国側代表は、尹炳世外相を要とする「金大中・盧武鉉左翼政権人脈」であり、それが親北朝鮮・親中国のルート、並びに「南北連邦統一構想」に連なっている。そして、この関係が軍部・政府内に広まる。
 今回の協議では、韓国側が金正恩第1書記の最側近、黄炳瑞朝鮮人民軍総政治局長の出席を要求し、北朝鮮側が快諾している。協議場所は軍事境界線がある板門店の北側施設「統一閣」ではなく、北にとっては「敵地(アウェー)」となる南側施設「平和の家」だった。43時間とは、韓国のホテルからの仕出しで、途中晩餐(ばんさん)会でもなさったのであろうか。巨視的に両者の摩擦の振幅も次第に小さくなっていることに注意しなければならない。今年は南北分断70年に当たる。両者の思惑が交差する絶好の機会でもある。

《出番待つ野党の従北勢力》
 今回の事件で、「北の誤算」とか、「引き分け」というのは表層のものだ。「両国関係進展」とか、「北、計算ずくめの遺憾」というのが正論である。北朝鮮はこれまでも数々の挑発行為の際、韓国に「遺憾」の表明をためらうことなどなかった。では今回何がはじめてなのかと言えば、韓国の北朝鮮シンパ人脈が最も有効に機能したということなのである。
 朴槿恵大統領は、韓国の世上、「不通公主(プルトンコンジュ)」(耳塞(ふさ)ぎ姫)といわれるそうである。俗にいう垂廉政治(女帝が臣下との対面を避け、御簾(みす)を垂らし執政する)である。「卿(キョン)」(臣下たち)の日々のイガンジル(告げ口)やヌンチ(ゴマすり)を避けたいという気分もあろうが、臣下たちに身を曝すほど内情が北に筒抜けになることを恐れているとすれば、それは正しい選択だといえる。
 朴槿恵政権は2017年末の大統領選挙をもって任期が終わる。彼女の後を狙う野党内には有能な政治家が待機している。ほぼ従北勢力か、北朝鮮シンパである。選挙が民主的に機能さえすれば、南北関係は再び金大中・盧武鉉政権が北の国家予算分を援助したあの左翼全盛時代に戻るだろう。

《抗日記念行事出席の意味》
 南北統一構想には北朝鮮の故金日成主席が、1980年10月の朝鮮労働党第6次大会において提唱したものがある。一民族・一国家・二制度・二政府の下で連邦制による統一を主張した。これを「高麗民主連邦共和国」構想という。
 統一政府として南北同数の代表と在外朝鮮人の代表からなる最高民族連邦会議を組織し、常任の連邦常設委員会を設置、南北両政府を指導し、連邦政府の全事業を管轄する。南北の地方政府は最高民族連邦会議の指導の下、全民族の利益を損なわない範囲内で独自の政策を実施し、すべての分野で南北格差を解消するように努力する。二つの体制が共存することを前提とし、思想と体制を強要しないというものだ。
 同じく金日成主席が1964年に提唱した「民主基地論」という構想があった。思想工作により韓国を南朝鮮革命の根拠地にするというものだったが、見事に成就した。90年代、韓国には北の思想工作が大学自治会を中心に浸透し、今日の従北勢力の基盤をつくった。この勢力が育ち、司法に入り込んだため、過去遡及(そきゅう)法が行使されたり、日韓基本条約を無視する判決がだされたりし、韓国の法治主義の崩壊を招いたのである。
 韓国は北の体制、ひいては東洋的専制主義に近づいているのであり、その逆ではない。朴槿恵大統領が中国の抗日記念行事とパレードに参加するという果敢な反米・反日の選択をしたこともこの文脈で見なければならないだろう。(ふるた ひろし)
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