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2015年11月07日09:30

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訪米外交の大失敗で習主席は「裸の王様」〜石平氏

 10月27日、米海軍は南シナ海の中国による人工島12カイリ内にイージス艦を派遣した。通常の航行とはいえ、中国に対しては軍事的な示威行為となった。この「航行の自由作戦」の実行の背景には、米中首脳会談が不調に終わったことがある。
 11月2日の拙稿「習近平の対米外交で米中の溝は深まった」に、本件に関する石平氏の見方を書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/b28d7b5c78111dccdeb5ed7c232ee03e
 「先月下旬(注 9月下旬)の習近平国家主席の訪米は、あらゆる意味において外交的失敗であった。念願の米議会演説はかなえられず、国賓の彼を迎えたワシントンの空気はいたって冷たく、オバマ大統領との会談では南シナ海問題や人権問題などに関する米中間の対立がよりいっそう深まった」。「『大国の強い指導者』という自分自身のイメージを国民向けに演じてみせるために強硬な外交路線を進めた結果、アメリカとの対立を招き、国際社会の中国に対する風当たりが強まった。そして挽回するために大盤振る舞いの金満外交を行ったわけだが、逆に国民の反発を買い、国内における彼自身の人気を落とす結果となった。独裁者のやることはいつも裏目に出てくるものだ」と。
 石氏は、本件について、産経新聞11月5日付けの記事で、より具体的に書いている。
大意を書くと、9月下旬の米中首脳会談は「双方にとって大失敗であった」。習近平主席が過去数年間米国に対して提唱してきた「新型大国関係」に対して、「オバマ政権は完全無視の姿勢を貫き、習主席の「片思い」はまったく相手にされなかった」。ところが、中国政府と官製メディアはむしろ「習主席訪米大成功」の宣伝キャンペーンを行っている。
 石氏は言う。「習主席訪米失敗の事実を国民の目から覆い隠すためにはそうするしかなかった。『新型大国関係構築』がご破算となったことが国民に知られていれば、習氏のメンツは丸つぶれとなって『大国指導者』としての威信が地に落ちるからだ。まさに習氏の権威失墜を防ぐために、政権下の宣伝機関は『訪米大成功』の嘘を貫いたが、問題は、米海軍の南シナ海派遣の一件によってこの嘘が一気にばれてしまったことである。オバマ政権が中国に対して『深刻な政治的挑発』を行ったことで、習主席訪米失敗の事実は明々白々なものとなり、米中両国が『新型大国関係構築に合意した』という嘘はつじつまが合わなくなった。しかも、米海軍の『領海侵犯』に対して有効な対抗措置が取れなかった習政権への『弱腰批判』が広がることも予想できよう」と。
 このように書いている石氏の見方によれば、米海軍が南シナ海の中国による人工島12カイリ内にイージス艦を派遣したことは、中国国内における「訪米大成功」の嘘がばれ、習主席訪米失敗が明白にする効果があったことになる。
 「いったん崩れた習主席の威信回復は難しく、今後は政権基盤が弱まっていくだろう。反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が習主席の外交上の大失敗に乗じて『倒習運動』を展開してくる可能性も十分にあろう」と石氏は、予想している。
 私見を述べると、中国共産党の内部から習政権の「弱腰」を批判し、「倒習運動」を起こすような勢力は、習主席を中心とするグループより、もっと強硬で好戦的・冒険主義的な勢力だろう。中国指導部には、習主席らの太子党、江沢民らの上海閥、胡錦濤率いる共産主義青年団(共青団)の三つの派閥がある。習主席は中間派で江沢民と胡錦濤の両方から支持を得て、主席の座に就いた。また人民解放軍との関係も深い。習主席への対抗勢力の最有力者は、江沢民であり、9月3日の抗日戦争勝利70年記念行事でも健在ぶりを示した。だが、こうした共産党の指導層における派閥闘争以上に注意すべきことがある。軍部の動きである。最近、中国では軍部が政治・外交に露骨に介入している。
 昨年10月26日の拙稿「中国で軍部が政治・外交に介入」に引用した石平氏の発言をここに再度、掲載する。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/be69efa704aa6dde4d06af27c740fa7d
 「今の中国では、中央指導部の外交権や政策の遂行に対する軍人たちの干犯や妨害がますます増幅しているように見えるし、名目上の最高指導者である習主席の『権威』は彼らの眼目にはなきもの同然のようだ。あるいは、習主席という『みこし』を担いで軍人が専権するような時代が知らずしらずのうちに始まっているのではないか、という可能性も考えられるのである」と。
 習主席の政権基盤が弱まってきている現在、中国における軍部の台頭には、大いなる警戒が必要である。また日米の長期的な対中政策は、今後、中国では習政権以上に強硬で好戦的・冒険主義的な勢力が主導権を握る可能性があることを予測して策定・実行する必要があるだろう。
 以下は、冒頭の石氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成27年11月5日

http://www.sankei.com/column/news/151105/clm1511050007-n1.html
2015.11.5 10:00更新
【石平のChina Watch】
習近平氏はただの「裸の王様」 米イージス艦派遣で「虚像」は崩壊した 窮地の習政権の「余命」は?

 先月27日、米海軍のイージス艦が南シナ海の、中国の人工島周辺海域を航行した。中国政府は「中国に対する深刻な政治的挑発だ」と強く反発したが、米軍の画期的な行動は、実は外交面だけでなく、中国の国内政治にも多大なインパクトを与えている。
 話は9月下旬の米中首脳会談にさかのぼる。この会談が双方にとって大失敗であったことは周知の通りだ。南シナ海問題などに関する米中間の溝はよりいっそう深まり、米国の習近平主席への失望感が一気に広がった。
 過去数年間、習主席は米国とのあらゆる外交交渉において自らが提唱する「新型大国関係構築」を売り込もうとしていた。「対立せず、衝突せず」を趣旨とするこのスローガンは「習近平外交」の一枚看板となっているが、訪米前日の人民日報1面では、習主席は米国側との新型大国関係構築を「大いに前進させよう」と意気込んだ。
 しかし訪米の結果は散々であった。習氏が唱える「新型大国関係」に対してオバマ政権は完全無視の姿勢を貫き、習主席の「片思い」はまったく相手にされなかった。
 その時点で習主席の対米外交はすでに失敗に終わっているが、中国政府と官製メディアはその直後からむしろ、「習主席訪米大成功」の宣伝キャンペーンを始めた。
 まずは9月26日、人民日報が1面から3面までの紙面を費やして首脳会談を大きく取り上げ、49項目の「習主席訪米成果」を羅列して、筆頭に「新型大国関係構築の米中合意」を挙げた。同27日、中央テレビ局は名物番組の「焦点訪談」で「習主席の知恵が米国側の反響を起こし、米中が新型大国関係の継続に合意した」と自賛した。同29日、今度は王毅外相がメディアに登場し「習主席のリーダーシップにより、米中新型大国関係が強化された」と語った。
 この異様な光景は世界外交史上前代未聞の茶番だった。米中首脳が「新型大国関係構築」に合意した事実はまったくなかったにもかかわらず、中国政府は公然と捏造(ねつぞう)を行い「訪米大成功」と吹聴していたのである。それはもちろん、ひたすら国内向けのプロパガンダである。習主席訪米失敗の事実を国民の目から覆い隠すためにはそうするしかなかった。「新型大国関係構築」がご破算となったことが国民に知られていれば、習氏のメンツは丸つぶれとなって「大国指導者」としての威信が地に落ちるからだ。
 まさに習氏の権威失墜を防ぐために、政権下の宣伝機関は「訪米大成功」の嘘を貫いたが、問題は、米海軍の南シナ海派遣の一件によってこの嘘が一気にばれてしまったことである。オバマ政権が中国に対して「深刻な政治的挑発」を行ったことで、習主席訪米失敗の事実は明々白々なものとなり、米中両国が「新型大国関係構築に合意した」という嘘はつじつまが合わなくなった。しかも、米海軍の「領海侵犯」に対して有効な対抗措置が取れなかった習政権への「弱腰批判」が広がることも予想できよう。
 今まで、習主席はいわば「大国の強い指導者」を演じてみせることで国民の一部の支持を勝ち取り、党内の権力基盤を固めてきたが、その虚像が一気に崩れてしまった結果、彼はただの「裸の王様」となった。
 いったん崩れた習主席の威信回復は難しく、今後は政権基盤が弱まっていくだろう。反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が習主席の外交上の大失敗に乗じて「倒習運動」を展開してくる可能性も十分にあろう。
 1962年のキューバ危機の時、敗退を喫した旧ソ連のフルシチョフ書記長はわずか2年後に失脚した。今、米軍の果敢な行動によって窮地に立たされた習政権の余命はいかほどだろうか。
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