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2015年02月18日08:51

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イスラム過激組織のテロから日本を守れ4

●日本人人質事件におけるわが国政府の対応(続)

 安倍晋三首相の中東歴訪の際の演説は、人質事件を惹起したのではない。この点について、在京アラブ外交団代表のシアム在京パレスチナ常駐総代表は、安倍首相の支援表明について「まったく挑発したとは思わない」と擁護し、ISILのテロは安倍首相が原因ではないと述べている。
 ヨルダン政府は、日本人人質の解放のため、様々な努力をしてくれた。2月3日の産経新聞の記事は、アンマンで同紙の取材に応じたヨルダン下院のバッサム・マナシール外交委員長とハビス・シャビス議員の発言を伝えた。マナシール委員長は、ISILが後藤さんの解放条件を身代金要求からヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放に切り替えた理由については、その数日前にISILがイラクで拘束されている幹部らの奪還作戦に失敗していたと指摘した上で、「求心力を取り戻そうと、関係のない日本人の人質と死刑囚の交換を思いついた。論理破綻しており、本気ではない。信用に値しなかった」とした。また、「周辺地域の中では民主的で安定しているヨルダンに混乱を起こし、つけいる機会を狙われた」と分析し、安倍晋三首相の訪問に際して「親密な両国の分断を狙ったゲームをしかけられた」と訴えた。
 また「ISIL側の窓口が一定せず、交渉がまとまらなかった」とし、「日本には本当に申し訳ない」と謝罪した。その上で、「ISILに金も何も渡さなかった日本の決断を尊敬する。渡しても奪われるだけで、交換はなかった。安倍首相は賢い」と述べ、「日本とヨルダンの友好関係はむしろ強まった。日本は今回の悲劇にめげず、一緒に立ち向かい続けてほしい」と述べた。
 シャビス議員は「私たちは下院議員として、エンスール首相出席の下、ISILとの間で行われた解放交渉についてヨルダン政府から説明を受けた」とし、「政府が可能なかぎり、すべてのルートを駆使してできることはすべて行ったと、私は確信している」と述べた。
 しかし、「交渉先のISILは国連に加盟した正式な国家ではない。従って、国際法など法規を順守するとは考えられない。もし、法規違反があっても、われわれは彼らを罰することができない」と説明した。また、「日本は常にヨルダンの親友だ。緊密な経済的、政治的結びつきがあり、日本はインフラ整備などあらゆる機会に、ヨルダンを支援してくれてきた」とし、「ISILは日本とヨルダンの信頼関係を破壊することで、両国民に圧力をかけ、世論を使ってそれぞれの政府にISILを攻撃する有志国やその支持国(という立場)から引き揚げさせようとしている。しかし、それはうまくはいかない。日本とヨルダンは常に親友だからだ」と強調した、と報じられた。
 わが国には、後藤健二氏がISILの支配地域に行き、拘束され人質になったことについて、政府が後藤氏のシリア渡航を留めなかったとして非難する意見もある。この点については、外務職員が後藤氏に対し、昨年3回にわたってシリアへの渡航を見合わせるよう直接要請したが、翻意させるには至らなかったことが分った。
 外務省は2011年(平成23年)4月にシリア全土に「退避勧告」を発出した。後藤氏の渡航計画を把握した同省は2014年(26年)9月26日に後藤氏に電話し渡航中止を要請した。10月3日にも後藤氏の入国を知って電話で即時退避を求めた。また帰国後の同月14日には職員が面会して再び渡航しないよう注意喚起した。だが、11月1日に後藤氏の家族から、連絡が取れなくなったと通報があったという。
 政府による退避勧告に強制力を持たせるべきだとの意見も一部にあるが、憲法22条が保障する「居住、移転の自由」との兼ね合いがあり、渡航を禁止することはできない。最終的に政府から退避勧告を受けながら、なお危険地域に行くのは、本人の自己責任である。そのような個人の行動によって、国家が振り回される脆弱な日本の体質を変える必要がある。
 振り返ると、わが国は、テロリストに譲歩し、誤った対応を繰り返した時期があった。欧米諸国が毅然とした対応をし、武力による人質奪還を実行するのに対し、わが国は極めて弱腰の態度を示し、それがさらなるテロを招くという失敗をした。
 初代内閣安全保障室長・佐々淳行氏は、過去のわが国の失敗について、次のように書いている。
 「日本赤軍による一連の事件(よど号、ドバイ、シンガポール、スキポール、クアラルンプール、ダッカなど)のうち、ダッカ(バングラデシュ)を除く事件を警察庁警備局外事課長として事件処理にあたった。よど号事件からスキポール事件までの間、身代金を支払ったことは一度たりともなかったし、獄中の赤軍派などのテロリストらをひとりも釈放していない。しかし、クアラルンプール事件とダッカ・ハイジャック事件では、三木武夫・福田赳夫2人の自民党の首相や自民党の閣僚によって、国家レベルの人質誘拐身代金事件において独立主権国家にあるまじきテロリストへの妥協と屈辱的な譲歩がなされた。一つは、獄中の赤軍同志である政治犯釈放(あさま山荘・三菱重工爆破事件)であり、もう一つは思想政治犯でない殺人犯の釈放であった。
 『人命は地球より重い』という誤れる政治理念で11人を超法規的措置で釈放し、凶悪なテロリストを解き放ち、国際社会の信頼を著しく失った。加えて、ダッカ事件では犯人の600万ドルという巨額な身代金要求に対して、当時、日本国内には米ドル紙幣が200万ドル分しかなかったのに、相手の要求通り600万ドルにするために不足分の400万ドルをアメリカから緊急空輸した。そして、バングラデシュ国民の目の前で、600万ドルのキャッシュを赤軍に渡してしまったのだ。
 その結果、バングラデシュ国民の激しい批判を浴びて、軍によるクーデターを起こされてしまった。空軍司令官は空港管制塔で反乱軍によって暗殺された。
 釈放時に日本はパスポートを発給し、勾留中の作業手当まで支払ったという。まさに盗人に追い銭であった」と。
 今回の人質殺害事件における安倍内閣の対応は、過去の政権の失敗を教訓とした毅然としたものだった。そのことが高く評価されるべきである。

●ISILに関するわが国の国会決議と国連安保理決議

 わが国の一部には、ISILに対するわが国政府の対応を批判し、人質2名が殺害されたことを安倍首相の責任だとまで非難する者がいるが、まったく間違った見方である。そうした政府批判は、逆にISILの蛮行を免責し、テロリズムを助長することになる。
 2月5日衆院本会議はISILの日本人人質殺害事件について「非道、卑劣極まりないテロ行為」で「断固として非難する」との内容の決議案を全会一致で採択した。決議は「テロはいかなる理由や目的によっても正当化されない」として「わが国と国民は決してテロを許さない姿勢を堅持する」と強調し、政府に対し、中東・アフリカ諸国への人道支援の拡充や、邦人の安全確保対策の充実を求めるとともに、国際社会との連携強化を要請。「ヨルダンをはじめとする関係各国がわが国に対して強い連帯を示し、解放に向けて協力してくれたことに深く感謝の意を表明する」とした。
 同決議案は、6日参院でも採択された。その際、「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎共同代表は、決議の採択を欠席した。山本氏はこれまでツイッターで人道支援の中止を求め、記者会見では事件の原因を「安倍晋三政権の外交政策の失敗」と述べていた。「生活の党と山本太郎となかまたち」は、小沢一郎氏と山本氏が合体して作った政党である。山本氏、小沢氏は日本の国会議員として極めて問題のある政治家である。別の拙稿に詳しく書いた。
 国際社会では、国連加盟国を中心として、ISILに対して厳しい対応をしている。国連安全保障理事会では、常任理事国の米国とロシアがそれぞれ働きかけて、ISILへの資金流入阻止に向け、人質の身代金支払いを拒絶するとともに、イスラム国支配地域の原油や古美術品を購入しないよう各国に求める国連安全保障理事会決議案を2月13日に全会一致で採択した。
 身代金支払いについては、昨年1月の安保理決議で禁じられているが、順守されていないのが実情だった。今回の決議は、改めて各国に支払い拒絶を徹底させる内容となっている。原油については、昨年7月の安保理議長声明で不法購入しないよう各国政府に促していた。今回の決議で購入禁止を正式に義務付けた。シリアのアサド政権やトルコの一部勢力等がこれまで、原油を不法に購入していたと伝えられる。
 こうした決議を国連加盟国が一致して実行することで、ISILを経済的に追い詰めていくことが期待される。

関連掲示
・拙稿「参議院議員・山本太郎氏の黒い背後関係」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion13.htm
 目次から33へ
・拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion13m.htm

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