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2015年02月17日08:50

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イスラム過激組織のテロから日本を守れ3

●日本人人質事件におけるわが国政府の対応

 1月20日ISILのテロリストが日本人を人質にし、日本国政府に脅迫を行ったのは、日本人に恐怖を与えて国内を分裂させたりする狙いがあったものと考えられる。わが国の国民は、おそらく彼らが狙った以上に分裂の相を呈した。国民が一致団結してテロに立ち向かわねばならない状況において、一部の政治家は政府の対応を批判し、政争の具としようとした。テロリストを利するような情報を流した政治家もいる。一部のメディアは、ISILよりも自国政府を批判し、テロリストに同調するような報道をした。現行憲法は、GHQが日本人の団結力を弱め、国内が分裂するように目論んだものだが、その効果が今回ほどあからさまに現れたことは珍しい。
 安倍首相が1月17日エジプトでの演説で用いたISILと戦う周辺諸国への人道的な援助をめぐる表現がテロを誘発したという批判が起こった。だが、そもそも中東周辺で日本人がテロリストに誘拐されたり、人質にされたり、殺害されたりすることは、今回が初めてではない。11年ほど前から繰り返し起こっている。2004年(平成16年)4月、イラク戦争で治安が悪化していたイラクでフリーライター今井紀明氏ら3人バクダッドが誘拐され、武装勢力はサマワに駐留していた自衛隊の撤退を要求した。現地の宗教者らが武装勢力側に働きかけて、3人は8日後に解放された。同年10月、バグダッドで旅行中の香田証生氏が誘拐され、アルカーイダ系とみられる犯行グループが自衛隊の撤退を要求し、香田氏は殺害された。2010年(平成22年)4月、アフガニスタンで、ジャーナリストの常岡浩介氏は武装集団に誘拐され、約5カ月後に解放された。2013年(平成25年)1月、アルジェリアの天然ガス施設をアルカーイダ系とみられる武装組織が襲撃し、多数の外国人を人質にとり、仲間の釈放などを要求した。アルジェリア軍が制圧作戦を強行し、プラント大手「日揮」の日本人10人を含む人質40人が死亡した。安倍首相の演説の文言が、初めて日本人を人質にする事件を引き起こしたのではない。
 また今回の事件で日本人2名は、安倍首相が中東を歴訪している間に人質になったのではない。湯川氏は昨年8月に拘束されており、後藤氏はその救出としてISILの勢力圏に入った。そして後藤氏も昨年10月に拘束されたものと見られる。ISILは彼ら2名を利用するタイミングを図っていたのだろう。安倍首相が中東歴訪をして政策変更をしたからテロが行われたのではなく、首相が訪問して注目を集めているタイミングを狙って、人質を利用して宣伝工作を行ったのである。
 人質事件で国内の意見が分裂するなか、元外交官で中東情勢に詳しい宮家邦彦氏は、本年2月2日国民を啓発する、次のような発言をした。
 「今回の事件は、湯川遥菜さん、後藤健二さん2人だけに向けられたものでなく、日本人、日本国全体に対する挑戦だ。日本が好むと好まざるとにかかわらず、『イスラム国』は、日本を敵と思っている。善意や誠意が通じるような相手ではないことがよく分かったはずだ。
 今回の事件を安倍晋三首相の中東での演説と結びつけ、『演説がなければ、2人に危害が加えられるようなことにはならなかった』と主張している人がいるが、事件と演説は関係がない。人質はすでに昨年の時点でとられていたのであり、演説をきっかけに日本人がターゲットになったのではない。だから日本は内輪もめなどをしている段階ではない。
 今こそ一致団結して次のテロ行為を防ぐために根本から考え方を変えなければならない。
 現在、ISILは収入源の原油が売れなくなり、有志連合による空爆を受け、イラク正規軍から反撃をされ、追い詰められてもいる。だからこそ何でもやってくる恐れがある。
つまるところ、彼らの最大の目的は、戦闘を続けることだ。身代金や女性死刑囚らの釈放要求は、その手段にすぎない。
 戦闘にはメディアを使った戦争も含まれる。残忍な動画を使って、敵に最大限の衝撃と動揺を与え、対イスラム国の連携を間接的に分断させようとする。力のデモンストレーションでダメージを与え、米国に協力させないようにするのだ。しかし、ここで屈したら相手の思うつぼだ。
 最近、東南アジアの国を訪れる機会があったが、要所要所での車両チェックなど、日本より対テロのセキュリティーがしっかりしていた。日本もこれを機にグローバルスタンダードのセキュリティーを考えていく必要がある」と。
 宮家氏は安倍晋三首相の中東歴訪の際の演説は人質事件とは関係がないと断言している。この点は、中東問題の専門家、池内恵(さとし)・東京大学准教授が、厳密な検証を行った。池内氏は、安倍首相が演説で用いた表現が適切であったか否かにつき、ISILがどう受け止めたかという点に絞って検証している。
 池内氏は、ISILが安倍首相の発表した中東諸国支援、特にISIL周辺諸国への支援が非軍事的であることを認識していることは、1月20日の第1回の脅迫ビデオで明瞭にされているという。
池内氏は、そのビデオの冒頭の部分について、「きちんと脅迫ビデオを見れば、アラビア語と英語がある程度できれば、問題は簡単過ぎるほど簡単に解ける。最初の10数秒で答えは出てしまうのである」と言う。具体的には、次のように述べている。「右上の記事タイトルはアラビア語で『安倍が“イスラーム国”との戦いを非軍事的支援で支える』となっています」「重要なのは、『イスラーム国』が意識的に付けた英訳で『Non-Military(非軍事的な)』と明記されていることです。『イスラーム国』が情報収集に使うアラビア語や英語のメディアからの情報を正確に受け止め、安倍首相が発表した支援策が『非軍事的な』ものであることを認識していることが明瞭になっています。安倍首相が『イスラーム国』周辺諸国に2億ドルの軍事援助を行うと誤解されたからテロの対象になったのではなく、2億ドルが非軍事的援助であることを『イスラーム国』が明確に認識していながら、なおも日本・日本人をジハードによる武力討伐の対象としたと宣言した、ということがここから明らかです。そうであるがゆえに事態は深刻なのです」と池内氏は言う。
 すなわち、ISILは日本の2億ドル援助は「非軍事的」であると認めており、日本が軍事的になったからISILに狙われたとする批判は、根拠がない。非軍事な支援であっても日本をジハードの対象とする、というのが脅迫の趣旨なのである。

 次回に続く。

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