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2015年02月03日08:56

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日本の外交・安全保障と憲法改正1

 1月31日東京都武蔵野市で講演を行った。主にわが国の外交・安全保障及びその観点から憲法改正の必要性を話した。2回に分けて講演の大意を掲載する。

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 日本人は、昔から和の精神を大切にしてきた。人と人が調和し、人と自然が調和して生きる生き方である。この日本人が先祖代々受け継いできた精神を日本精神という。
だが、残念ながら、現代の日本人は、大切な日本精神を見失っている。そのことによって、わが国には数々の問題が生じている。家庭、社会、学校、地域、国家、どこを見ても、深刻な問題が生じている。
 昨年12月14日に行われた衆院選は、経済の再生を目指すアベノミクスの是非を巡って行われたが、わが国には経済以外にも様々な課題がある。そのうえ、厳しい国際環境にある日本にとって外交・安全保障の強化も大きな課題である。そこで本日は、外交・安全保障の問題に絞ってお話しする。
 昨年の初めから国際的に緊張が高まっている。26年3月ロシアがウクライナのクリミア自治共和国を併合し、欧米等の諸国と対立している。中東ではイスラム国を名乗るイスラム過激派が勢力を拡大している。今月20日日本人人質事件が起こり、テロの脅威が現実になった。それ以上の脅威は、軍拡を続ける中国である。中国は南シナ海でベトナム・フィリピン等の周辺諸国と摩擦を起こしている。とりわけ我が国にとっては、中国の傍若無人の振る舞いに対応を要する状況となっている。
 本来日中は連携して世界平和を実現すべき関係にある。だが、その日中の真の提携を妨げているのが、共産主義である。中国は、共産主義の国である。経済発展しても共産党が支配する体制は変わっていない。中国は、尖閣諸島周辺の海域で公船がわが国の領海への侵入を繰り返している。尖閣諸島はわが国固有の領土だが、中国は自国領だと主張して、尖閣の奪取をもくろんでいる。
 この点一つとってもわが国が厳しい国際環境にあるが感じられる。ここで重要性を増しているのが、国防である。
 自ら身を守ることは、自然に与えられた権利である。国家には自然権として自衛権がある。防波堤がなければ津波で町村がさらわれる。堤防がなければ洪水で田畑が流される。国防は防波堤や堤防のようなものであり、不断の備えが大切である。ところが、わが国はその備えが非常に手薄である。その一方で、隣国の中国は猛烈な勢いで軍備を拡張している。
 実は、中国人民解放軍は25年秋、尖閣奪取のための大規模な軍事訓練を行った。それを知った米国指導層は中国が本気であることを悟り、態度を硬化させた。26年4月23日オバマ大統領が来日し安倍首相と会談し、日米共同声明を発表した。声明は、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲に含まれるとした。また東シナ海及び南シナ海への領土拡大を進める中国を批判し、同時に中国の一方的な防空識別圏設定を批判した。
 こうした中で大きな課題となったのが、集団的自衛権である。わが国の政府は、26年7月1日、従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定した。
 自衛権には自分で自分を守る個別的自衛権と、他国と協力して互いに防衛する集団的自衛権がある。国連憲章は、個別的自衛権と集団的自衛権をともに国家の固有の権利と認めている。ところが、わが国は、集団的自衛権を所有はするが、憲法上行使できないという特異な解釈をしてきた。だが、権利を持っているが、行使できないというのでは、権利の否定に他ならない。
 多くのマスメディアや有識者が集団的自衛権を行使できるようにすると、外国の戦争に巻き込まれる、侵攻戦争を始める準備とだなどと報道している。だが、集団的自衛権の行使は、外国の侵攻への抑止力、戦争抑止力を高めるために必要なことである。戦争を起こすためではなく、戦争を防ぎ、平和を守るために、自衛権の整備が必要なのである。集団的自衛権の行使容認は、日米の連携を強化し、中国の侵攻戦争を抑止する効果がある。
 ただし、閣議決定だけで、集団的自衛権の行使ができるのではない。安全保障関連法(自衛隊法、周辺事態法等9つの法)の改正がされなければならない。政府は現在会期中の通常国会での成立を目指している。
 注意すべきは、集団的自衛権は自主防衛の充実が前提であることである。自分で自分の国を守るのが基本。そのうえで他と連携して平和を維持する。自主防衛の充実には、既存の法の手直すよりも、領域警備法の制定が望ましい。また武力攻撃手前の侵害である「グレーゾーン事態」への対処能力を強化するため、警察権と自衛権の隙間を埋めることも必要である。
 ともあれ、わが国は昨年7月集団的自衛権の行使へと一歩前に進んだ。その時に起こったのが、サンゴの密漁事件である。26年9月から11月にかけて、小笠原諸島および伊豆諸島周辺海域に中国漁船団が出没し、赤サンゴの密漁をした。わが国はほぼなすすべなく、サンゴを採り尽くされてしまった。魚も大量に乱獲された。日本人が守ってきた世界自然遺産、海の生態系を破壊された。
 この時、海上保安庁は、中国によって、尖閣と小笠原の二正面作戦を強いられた。尖閣諸島の領海警備に十数隻の大型巡視船を振り向けているため、小笠原諸島沖に出せる巡視船は4隻に限られた。とても広大な海域に来る多数の中国密漁船に対応しきれない。
 10月30日には、212隻もの中国船が来た。これほど多数になると単なる密漁とは考え難い。中国からは燃料代だけで300万円ほどかかる。背後に中国共産党政府の指示・支援があると専門家は見ている。APECで日中首脳会談を実現させ、日中間に尖閣をめぐる領土問題があることを認めさせようとして、密漁船を使って圧力をかけたものだろう。
 密漁の進むなか、わが国の政府は重い腰をあげ、違法操業の取り締まりを強化し、国会は罰金引き上げの法改正を行った。だが、泥棒が宝物を奪い、荒らしまわった後に、法律を厳しくしても遅い。泥縄以下である。
 他国なら、外国船が領海に侵入して密漁している疑いがあれば、当然拿捕し、指示に従わねば威嚇射撃、場合によっては撃沈するところである。パラオのような小国でも撃沈している。
 日本は四方八方を海に囲まれている。面積では世界4位、海水の体積では第4位という海洋大国である。日本の海には石油、天然ガス、メタンハイドレート、レアメタル、ウランなど豊富な資源がある。広大な日本の海を守るには海保だけでは不十分であり、海保と海上自衛隊が連携して対応できるようにする必要がある。
 日本人は、今回の中国密漁船「サンゴの海」強奪事件を手痛い教訓とし、サンゴや魚だけではなく、日本そのものを奪われないようにしなければ、いけない。

 次回に続く。

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