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2015年01月16日09:57

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少子化を助長する家庭科教育を見直せ〜高橋史朗氏

 明星大教授・高橋史朗氏は、教育改革に的確な意見を述べるオピニオンリーダーの一人である。高橋氏は、産経新聞平成26年10月18日付の記事で、家庭科教科書が少子化を助長しているとし、家庭科教育を抜本的に見直すべきことを述べている。
 先に道徳が教科化されることについて書いたが、教科として道徳が教えられるようになっても、一方で家庭科では少子化が助長されるような教育がされているのでは、道徳教育の効果は減殺される。
 高橋氏は、現行並びに来年度から使用される高校の家庭科教科書と教師用指導書について調査を行った。その報告については、後で記事全文を掲載するので、ここでは省く。高橋氏は各社の教科書の記述内容の問題点を指摘したうえで、次のように述べている。
 「明治大学の加藤彰彦教授によれば、近代核家族の個人主義イデオロギーが1990年代に、より過激な自己選択・決定・責任のイデオロギーとして喧伝(けんでん)され『共同体的結婚のシステムを否定』したことが『未婚化』を一気に推進した主因の一つであるという。
この『家族からの自立』イデオロギーが、『家族の個人化』を強調する家庭科教科書によって喧伝され、『親になる』準備教育を担うべき家庭科教科書が、逆に少子化の根因である未婚化を推進する役割を果たしてきたのである」と。
 そして、「日本は今、家庭崩壊の危機に直面している。家庭科教育を抜本的に見直す必要がある」と訴えている。
 家庭科の教科書及び教育内容は、個人主義的な傾向を強めてきた。思春期に入り、異性を意識し、恋愛や結婚を考える年齢にある高校生に対し、家族の絆より個人の自立、結婚に対する希望より否定的な意識を教えてきたのが、わが国の学校教育である。個人主義に偏った教育が、晩婚化・非婚化やDINKSの増加を助長している。一方で、少子高齢化に対処する政策を行っても、一方で家族の形成を妨げるような教育を行っているのでは、効果は相殺される。
 こうした「家族からの自立」「家族の個人化」を教える教育の根底には、日本国憲法第24条の規定がある。第24条は第1項に「婚姻は、両性の合意のみによって成立」すると定める。だが、憲法に婚姻に関する規定が設けられていることは、世界的に見て異例である。男女が性的に結びつくことには、法律はいらない。その限りでは、結婚は私的な事柄であり、政府が介入すべきことではない。結婚が法律上定められるとすれば、それは結婚が単なる男女の結びつきではなく、家族という一つの社会を形成する公共的な行為だからである。そのために婚姻の安定性を求める法律も定められるのである。恋愛・性交をするのは両性の自由だが、婚姻は夫婦の性的関係を維持する手段ではなく、家族を形成することが目的である。それゆえ、憲法に必要なのは、婚姻よりも家族に関する規定なのである。家族の崩壊が進み、それが少子化と高齢化と重なり合って、重大な社会問題を生み出している。これに対し、有効な手立てを講じるには、憲法に家族条項を設け、日本の家族を立て直すことが必須である。
 以下は、高橋氏の記事。

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●産経新聞 平成26年10月18日

http://www.sankei.com/life/news/141018/lif1410180011-n1.html
2014.10.18 10:30更新
【解答乱麻】
少子化助長する家庭科教科書 明星大教授・高橋史朗

 現行並びに来年度から使用される高校の家庭科教科書と教師用指導書について調査した。『母という病』『父という病』(岡田尊司氏著)、『親になれない親たち』(斎藤嘉孝氏著)という本が読まれる時代を反映し、多くの教科書が「親になること」「親の役割」をテーマに取り上げている。
 教育図書は、「子どもと密接にかかわることで、親としての学習をし、自覚を育て、親自身も人間として成長していく」と述べ、大修館書店は「愛着は生きる力の源」であり、親の責任、役割の一つは「乳児期に親との愛着を形成することである」と述べている。
 発達段階に応じた親のかかわり方が明記されている点も注目されるが、個人の自己選択、自己決定を強調する「家族からの自立」イデオロギーも目立つ。
 実教出版は「性的自立」の重要性を強調し、「性の喜びの権利」「自由な性的関係をつくる権利」「生殖の選択の権利」などを含む『性の権利宣言』を掲載している。性行動や結婚、出産、子育てなどはプライベートな行為であるから、個人が自由に選択し、決定すればよいというわけである。
 結婚して子供を持つことも「性別役割分業にもとづいた考え」であるとして、家族の多様化、個人化が強調され、東京書籍は小学校教科書から「自立」を強調し、高校教科書では、「家から個人へ」との見出しで、「結婚とは個人的な、男女2人の愛と意思の問題である」と明記している。
開隆堂は「動物や物を家族の一員としてイメージする人もいる」「家族生活が個人によって選択されるライフスタイルになりつつある。このような変化を『家族の個人化』という」と述べ、結婚、出産、家族は個人が選択するライフスタイルであることを強調。
 同指導書では「できちゃった婚が主流」「事実婚を選択する理由」「事実婚・同棲(どうせい)比率国際比較」について詳述し、「事実婚、ステップ・ファミリーなど結婚に関する現代の特徴」を知り、結婚のメリットとデメリットについて話し合うことを重視している。
 教育図書にも「独身生活の利点」として、「行動や生き方が自由」「家族扶養の責任がなく気楽」「異性との交遊が自由」などの項目が列挙されたグラフが掲載されているが、高校生に結婚のデメリットや「独身生活の利点」について考えさせる必要があるのであろうか。
 明治大学の加藤彰彦教授によれば、近代核家族の個人主義イデオロギーが1990年代に、より過激な自己選択・決定・責任のイデオロギーとして喧伝(けんでん)され「共同体的結婚のシステムを否定」したことが「未婚化」を一気に推進した主因の一つであるという。
この「家族からの自立」イデオロギーが、「家族の個人化」を強調する家庭科教科書によって喧伝され、「親になる」準備教育を担うべき家庭科教科書が、逆に少子化の根因である未婚化を推進する役割を果たしてきたのである。
 アメリカの文明評論家アルビン・トフラーは「これまで家庭は、外で闘い、傷ついた心を癒やすショックの緩衝地帯としての役割を果たしてきた。しかし、やがて家庭こそショックの震源地となるであろう」と予言したが、この予言は的中し、日本は今、家庭崩壊の危機に直面している。家庭科教育を抜本的に見直す必要がある。
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関連掲示
・拙稿「いよいよ道徳が教科化される」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion02l.htm
・拙稿「家族の危機を救え!」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion02a.htm
・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08h.htm
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