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2014年12月17日08:47

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衆院選:自公3分の2以上確保で圧勝

 第47回衆院選は、与党の自公両党が合計で定数の3分の2を上回る議席を維持した。計326議席の獲得で圧勝した。安倍晋三首相はアベノミクスをはじめとする政策への信任を得て、長期安定政権の軌道に入った。
 自民は絶対安定多数の266を確保したが、議席数は293から291へと2議席減らした。公明は31→35で+4だった。野党側は、民主は62→73と議席を増やしたが、実質的には敗北であり、海江田万里代表が落選した。自民党1強と野党多弱の構図には変化のない結果となった。その中で保守系の次世代が19→2と大敗する一方、共産が8→21と躍進したことが際立った対照を示した。
 全国紙各紙の12月15日を中心とした社説を比較してみよう。その後に、今後の課題と展望について私見を書く。

●結果概況

 まず結果概況について、読売は、次のように書いた。「経済政策『アベノミクス』を継続し、デフレ脱却を確実に実現してもらいたい。そんな国民の意思が明確に示された」「今回示された民意を、新しい安全保障法制の整備、原発の再稼働など、世論の分かれる様々な重要政策の推進力として活用し、政治を前に進めることが肝要だ」「2006年から12年まで毎年、首相が交代する異常事態が続き、日本の政治は停滞、迷走した。その後の2年間の第2次安倍内閣に及第点を与え、当面は、首相に安定した体制で国政運営を託そう。これが有権者の判断だろう」と。
 産経は、次のように書いた。「『強い日本』を取り戻す路線を継続、加速することに国民は強い支持を与えた」「内政・外交にわたり、第2次安倍晋三内閣の2年間の実績が信任を得たことに加え、デフレ脱却や安全保障体制の強化など諸懸案の解決が、現政権の枠組みの下で強力に推進されることへの期待感が示されたといえよう」と。
 毎日は、次のように書いた。「高揚感なき信任である」「追い風も逆風も感じられなかったが、結果はほぼ一方的だった。消費増税先送りを理由とした解散の大義には疑問がつきまとい、争点がつかみにくい選挙は異常な低投票率に沈んだ。それが厚い地盤を持つ組織型の政党に有利に働き、与党の議席を積み上げた」と。
 
●選挙戦の分析

 選挙戦を振り返って、読売は、次のように書いた。「どの党にも追い風はなかった。その中で、安倍首相が、『この道しかない』と強調し、政権の実績と、円高などに無策だった民主党政権との比較を有権者に問う戦略を取ったことが、一定の成果を上げたのは間違いない」「首相の電撃的な衆院解散に対して、選挙準備が遅れた民主党は、過去最少の候補者擁立となり、無党派層などの受け皿になれなかった。『常在戦場』の構えを怠った海江田執行部の責任は大きい。維新の党などとの候補者調整の効果も限定的にとどまった。一方、首相は、自民党が突出する『1強多弱』体制を維持しても手放しで喜べる状況ではない。野党の失策に加え、戦後最低に落ち込んだ投票率が、固い組織票を持つ与党に有利に働いたからだ。与党に対する国民の支持は、積極的ではなく、『野党よりまし』という消極的な面が強いことを、きちんと自覚する必要がある」と。
 日経は、次のように書いた。「与党の勝因の第1は、4年の衆院任期の折り返し地点にも達しない段階での抜き打ち的な解散で野党の選挙準備ができていなかったことがあげられる。共産党を別にして野党側は候補者の擁立や、競合する候補者の調整など不十分なまま選挙戦に突入、安倍首相の解散戦略が的中したかたちだ。第2に反自民の受け皿がなかったことがある。野党第1党の民主党については政権を担当した3年3カ月の統治の混乱ぶりへの有権者の怒りがなお収まっておらず、自民党に代わって政権を任せようとの信頼回復には至っていない。前回の衆院選では比例票が民主党を上回り第2党になった日本維新の会や、みんなの党といった第三極に関しても、この間の党の分裂・解党劇などを通じて有権者の支持をつなぎとめることができなかった。与党の勝利は自らの実力というより、むしろ野党の敵失によるところが大きい。選挙戦術で巧みだったのは、解散の大義名分だった消費再増税の延期には各党間で大きな差異がないのを踏まえ、争点をアベノミクスにしぼり込んだことだ。これが第3の勝因である。政治的な考え方の違いで対立が際立つ集団的自衛権の行使容認などを横に置いた。経済を論争の主要テーマにすえ、対案を示せない野党の攻撃をかわした。アベノミクスの評価になれば、安倍内閣の2年弱の円安株高で潤った人は『業績評価』で与党に投票する。まだ利益を得ていない人にもこの先の可能性を訴え『将来期待』で投票を促す。その作戦が功を奏した」と。

●アベノミクス

 今回の選挙戦で最大の争点とされたアベノミクスについて、読売は次のように書いた。「アベノミクスは、円安を実現し、株価を高騰させた。雇用情勢は改善し、賃金も上昇傾向にある。大企業と中小企業、都市部と地方の格差や、輸入品の価格上昇などの弊害も指摘されるが、アベノミクスの恩恵が全国に広がることへの期待は依然、根強い。政策の基本的な方向は維持し、成長戦略など一部を補強することが、今の日本にとって、現実的かつ効果的な経済運営と言える」と。
 産経は、次のように書いた。「首相が『この道しかない』と訴えたアベノミクスについて、今度こそ具体的成果を上げることが必要だ。延期した消費税再増税を平成29年4月に確実に実施する環境を整えられるかが焦点となる。首相が強調した『経済の好循環』を実現するためには、デフレ脱却を確かなものとし、賃上げや雇用拡大を通じて消費を活性化させることが欠かせない」「選挙戦を通じて『地方にはまだアベノミクスの恩恵が及んでいない』との批判も強かった。与党側もまだ道半ばであることを認めている。円安に悩む中小企業に対する経営支援はもとより、最低賃金の引き上げにつながる事業環境の整備も急ぐ必要がある」と。

●その他の政策課題

 次に、アベノミクス以外の政策課題の全般について、産経は次のように書いた。「政権基盤を安定的なものとした安倍首相に求められるのは、内外の危機克服に果敢に挑み、改革を推し進め、日本の立て直しに向けて着実に結果を導き出すことにほかならない」と。政策課題のうち国家安全保障については、次のように書いた。「尖閣諸島をねらい、国際ルールを無視した海洋進出を図る中国の台頭など、厳しさを増す安全保障環境に備えることが急務だ。それには日米同盟の抑止力強化が欠かせない。集団的自衛権の限定行使を実際に可能にする安全保障関連法制を来年の通常国会で確実に成立させてほしい」と。
 また憲法改正について、産経は次のように書いた。「前回衆院選では、自民党と日本維新の会、みんなの党など第三極を合わせた憲法改正勢力が4分の3以上を占めた。今回はみんなの解党など第三極の低迷で数は減った」「今後は、自公両党が憲法改正にどう臨むかが問われよう。首相は『リーダーシップを発揮しながら憲法改正の議論を進めていきたい』との主張を実行に移し、国民的議論を盛り上げてほしい。改正案発議には参院でも3分の2が必要だ。憲法改正をめぐる与党協議にも着手すべきだ」と。

●野党各党の評価と投票率
 
 野党各党の評価について、読売は次のように書いた。「民主党は、歴史的大敗だった前回よりは議席を増やしたが、目標の100議席には遠く及ばず、伸び悩んだ。海江田代表が落選したのが象徴的だ」「『第3極』の政党は苦戦した。前回は、自民、民主両党に飽き足らない有権者の期待を集めたものの、離合集散を繰り返し、目に見える実績を残せなかった。維新の党は今回、『身を切る改革』を唱えたが、説得力ある改革の道筋を示せたとは言い難い。解散前から意欲を見せる野党再編の展望も開けていない。次世代の党は議席を大幅に減らし、生活の党も不振だった。代わって躍進したのが共産党だ。行き場を失った政権批判票の取り込みに成功した。ただ、『安倍政権の暴走をストップさせる』と訴え続けるだけでは、更なる勢力拡大を図るのは難しかろう」と。
 産経は、次のように書いた。「今回の解散総選挙を野党側は大義がないと批判した。だが、有権者の関心度が高まらず低投票率を招いたのは野党側の要因も大きい。とくに政権交代を掲げず、過半数に届かぬ候補者しか擁立できなかった民主党の責任は重い。維新も第三極勢力として踏みとどまったものの、存在感の低下は否めない。野党側は巨大与党の『暴走』にストップをかけると唱え、アベノミクスの副作用を強調したが、具体的な代替案を示して有権者の心をつかむことができなかった。これでは自公連立政権の受け皿と認知されるのは難しい」と。
 16日の社説になるが、朝日は、次のように書いた。「民主党の海江田万里代表が衆院選で議席を失い、きのう辞任を表明した。民主党は11議席増の73議席を獲得したが、目標とした100議席には及ばず、安倍政権の1強体制を突き崩す足場は築けなかった。不意打ちのような解散だったとはいえ、選挙への準備を怠ってきた執行部の責任は重い」「295の小選挙区のうち、民主党候補が不在だったのは117選挙区にのぼる。有権者に選択肢すら示せなかったのだ」と。
 今回の衆院選は、投票率が戦後最低の52.66%だった。事前予測で戦後最低となることが予測されており、また各地での大雪の影響もあったが、ここまで低下したことは、政治家も国民もともに深刻な反省を要する。
 過去最低が前回24年の衆院選の59.32%だった。それを6.66ポイントも下回った。このままでは、今後の選挙では50%を下回ることが予想される。政党のあり方を含めて日本政治のあり方を問い直さねばならない。また有権者が国政を考え、積極的に選挙に参加するように、国民の意識改革を行う必要がある。

●日本再建の課題

 私は、これまでブログに書いてきたように、アベノミクスの完遂によるデフレ脱却と経済成長の軌道への復帰の次は、いよいよ憲法改正が課題だと考えている。憲法を改正しない限り、経済的繁栄は一時的なものになりかねない。憲法を改正して、国家の根本的な再建を行ってこそ、日本の平和と繁栄を確かなものに出来る。だが、今回の選挙結果は、選挙戦の序盤では300議席超、中盤では単独3分の2をうかがうという予測もあった自民党の議席が、300どころか、選挙前より2議席減らして291議席にとどまった。また改憲勢力のみんなの党は選挙前に解党した。次世代の党は、主要な政治家が多数落選し、今回最も大きな敗北を喫した政党となった。私としては残念な結果であるが、決して悲観することはないとも考えている。まず安倍首相は憲法改正に意欲的である。首相は15日、自民党本部で記者会見し、自公両党で憲法改正の発議に必要な3分の2(317議席)以上を確保したことを踏まえ、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に重ねて意欲を示した。
 また、毎日新聞が15日、衆院選の全候補者を対象に実施したアンケートを基に、当選者分を再集計した結果では、憲法改正に「賛成」と考える当選者は83%(390人)に上り、衆院で改憲の発議に必要な3分の2(317人)を超えた。憲法改正に自民党と維新の党は賛成がともに95%と高率で、公明党も76%が賛成した。民主党は「賛成」59%、「反対」27%だった。このように、憲法改正に向けての議論を進めていく環境は整っている。
 ただし、先の毎日の調査結果で、改正において最大の争点となる9条の改正については、24年衆院選時には賛成が72%を占めたが、今回、賛成派は57%と縮小した。発議要件を満たせる数字になっていない。自民党は9条改正に「賛成」83%、「反対」4%。維新の党は「賛成」43%、「反対」35%。これに対し、公明党は「反対」が70%で「賛成」は9%にとどまる。民主党も67%が反対している。それゆえ、憲法改正に向けては、9条を中心に、国防の強化の必要性を積極的に論じていく必要がある。国会で衆参とも3分の2以上の議員が9条の改正に賛成しなければ、本格的な憲法改正の発議はできない。また国民投票で過半数の国民が9条の改正に賛成しなければ、日本の国家安全保障は確固としたものに出来ない。
 安倍首相には、まずアベノミクスを完遂し、さらに9条を含む憲法改正を実現することを目指して、日本政治のかじ取りを積極果敢に行ってもらいたいものである。

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